今さら景気後退などと言っても何の驚きでもない。「異次元の金融緩和」だの「黒田バズーカ」などと囃し立てた景気浮揚策に陰りが見えていた中、コロナ禍に遭ってはひとたまりもなかった。先日(17日)「20年4ー6月気のGDPは前年比27.8%減」と速報が発表された。落ち込み幅は、リーマンショックによる世界金融危機時(09年1-3月期)の17.8%減をはるかに超えた、戦後最大の減少とされている。
景気の応急回復策としてGo To キャンペーンが華々しく打ち上げられたものの、コロナの感染再拡大でしぼんでしまい、JR6社のお盆期間(7~17日)の利用者は昨年の4分の1に激減したという。JR東海では「Go To トラベル開始後も乗客数は変わらない」と昨日の新聞にあった。
私も最近講習会の仕事で新幹線によく乗るが、3月からは(講習会が中止された4,5月を除き)はいつも客席はガラガラであった。背もたれは大きく倒して足を伸ばせるし乗客にとっては有り難いが、一方では寂しい。じつは今日午後から名古屋・静岡へ出かけるところであるが、状況に変わりはないだろう。
今日(20日)の朝日新聞のインタビュー記事が興味深かった。福島原発事故後、初代の原子力規制委員長に就任したTさんへのインタビュー記事で、紙面1ページの6割を占めている。原子力規制委員会では科学は政治から独立を堅持できたと自負するTさんは「今のコロナ識者会議は政治に絡め取られて専門家が大きな方向性を示せていない」と明言する。「それはメディアの責任も大きく、メディアが引っ張り出した『にわか専門家』たちが根拠もないことを言っている」と続ける。「専門家と政治がそれぞれ役割を果たすには透明性を徹底することが肝要。議事録も残さないコロナ識者会議では無責任がはびこる」と言うのである。
テレビのチャンネルを回すと見慣れた顔の『専門家』があちこちの番組で”解説”をしている。メディアがコロナの核心を握っている、というようなスタンスである。Tさんの自己の成功談もきついが、今のコロナ専門家への批判も傾聴に値するところがありそうだ。