飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

メドベージェフ大統領、「シロビキ」に挑戦状をたたきつける!?

2010年02月19日 10時37分36秒 | Weblog
 メドベージェフ露大統領は18日、内務省改革の大統領令を発令するとともに、内務次官2人と地方の警察トップら16人を解任した。一度にこれほど多数の幹部を解任するのは前例がなく、治安・情報機関の幹部を指す「シロビキ」への挑戦状ともいえる。

 メドベージェフ大統領はこれまで「シロビキ」へのパイプがなく、シロビキの統制はプーチン首相に依存しているといわれてきた。それが「弱い大統領」のイメージを国民に植え付けていたが、内務省の汚職撲滅を大義名分にして一気に攻勢に出たといえる。

 特に注目されるのは、内務省の次官2人を解任し、その後任に自分の側近である大統領府幹部2人を登用したことだ。大統領は「この改革は私が自ら担当する」と言い切っており、その決意を担保する人事だ。高官16人を含めた18人の幹部解任はプーチン大統領時代の8年間に解任した数を上回るという。

 大統領はリベラル派の大統領と期待されて登場したが、言葉では「自由は不自由より良い」などといいながら、これまで実行が伴わなかった。それだけに今回の改革断行について中立系の「独立新聞」は「今回の大統領の改革は、ロシア社会だけでなく、ロシアのエリートに対し、シロビキは大統領の権限内であることを示したもの」と意義を強調している。

 メドベージェフ大統領は就任からまもなく2年になるが、いまだにプーチン首相の陰に隠れ、大統領権力を掌握していないといわれてきた。だが、次期大統領選が2年後に迫り、いまのままでは再選も難しいとの見方も出ている。今回の改革はこうした見方を払拭し、プーチン首相の「傘の下」から自立したことを内外に示す改革といえるのではないか。これに対し、シロビキ側がどう出るか。ロシアの「政治の季節」はいよいよ目が離せなくなりそうだ。
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