ロシアのメドベージェフ大統領は10年ぶりに「軍事ドクトリン」を改定し、核抑止力を維持するとともに、米国に遅れを取っている通常兵器の近代化や戦略防衛システムの創設を課題に挙げた。米国にこれ以上軍事的に離されまいという意図が見える内容だ。
西側はロシアの新軍事ドクトリンをどう見ているのだろうか。オランダ国際関係研究所上級研究員のマーセル・ド・ハース中佐がロシア英字紙モスコー・タイムズに論文を寄稿しているので、その概要を紹介したい。
1、NАΤO主導の現在の安保体制には「冷戦の痕跡」が残っているので、モスクワが進めている、軍事行使を防ぐ新安保体制と取り替えるべきだとロシア側は主張している。それでは、ロシア軍が2008年にグルジアに対し行った軍事行使をどう説明するのか。
2、ロシア側はNАΤOがロシア国境周辺まで拡大していることを「大きな脅威」と指摘し、旧ソ連諸国をロシアの「特殊権益圏」と主張している。だが、グルジアなどの独立国の自主決定権を認めないのはおかしいではないか。
3、ロシア側が西側をロシアの安全保障への脅威だと主張するのは、西側にも責任はある。旧ユーゴのコソボの独立を認めたのが良い例で、これが南オセチアとアブハジアの独立承認に正当性を与えた。
4、では西側はロシアの新軍事ドクトリンにどう対応すべきか。西側はロシアとの協力関係をもっと積極的に追求すべきだ。モスクワを孤立化させるとロシアの過激化を招き、世界の「のけ者国家」や過激な運動との提携に追いやってしまう。
この考え方は、欧米で最も現実的な、説得力のある意見といえよう。要はロシアをいかに共通の安保体制に取り込み、協力を得られるかだ。ハース中佐は「双方が信頼構築措置に関与すれば、今後ロシアの軍事ドクトリンから『西側の脅威』という言葉が減っていくだろう」と締めくくっている。
西側はロシアの新軍事ドクトリンをどう見ているのだろうか。オランダ国際関係研究所上級研究員のマーセル・ド・ハース中佐がロシア英字紙モスコー・タイムズに論文を寄稿しているので、その概要を紹介したい。
1、NАΤO主導の現在の安保体制には「冷戦の痕跡」が残っているので、モスクワが進めている、軍事行使を防ぐ新安保体制と取り替えるべきだとロシア側は主張している。それでは、ロシア軍が2008年にグルジアに対し行った軍事行使をどう説明するのか。
2、ロシア側はNАΤOがロシア国境周辺まで拡大していることを「大きな脅威」と指摘し、旧ソ連諸国をロシアの「特殊権益圏」と主張している。だが、グルジアなどの独立国の自主決定権を認めないのはおかしいではないか。
3、ロシア側が西側をロシアの安全保障への脅威だと主張するのは、西側にも責任はある。旧ユーゴのコソボの独立を認めたのが良い例で、これが南オセチアとアブハジアの独立承認に正当性を与えた。
4、では西側はロシアの新軍事ドクトリンにどう対応すべきか。西側はロシアとの協力関係をもっと積極的に追求すべきだ。モスクワを孤立化させるとロシアの過激化を招き、世界の「のけ者国家」や過激な運動との提携に追いやってしまう。
この考え方は、欧米で最も現実的な、説得力のある意見といえよう。要はロシアをいかに共通の安保体制に取り込み、協力を得られるかだ。ハース中佐は「双方が信頼構築措置に関与すれば、今後ロシアの軍事ドクトリンから『西側の脅威』という言葉が減っていくだろう」と締めくくっている。