飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ウクライナ大統領選の決選投票、僅差なら混乱は必至!?

2010年02月05日 13時38分49秒 | Weblog
 ウクライナの大統領選決戦投票は7日に投票が行われる。ヤヌコビッチ前首相とティモシェンコ首相との接戦が予想され、もし僅差の場合は前回(04年)の大統領選の時と同様の街頭闘争が再発する恐れもある。

 前回の大統領選では、欧米派のユーシェンコ現大統領と親露派のヤヌコビッチ氏との間で決戦投票が行われ、中央選管はヤヌコビッチ候補の勝利と発表したが、ユーシェンコ陣営は「不正な投票が行われた」として首都キエフに支持者数万人を動員して抗議行動を展開、やり直し投票で勝利を勝ち取った。これが「オレンジ革命」と呼ばれている。

 当時、ティモシェンコ氏はユーシェンコ陣営にいて抗議行動を指揮したが、今回はユーシェンコ大統領の代わりに決選投票に進んだ格好。そのティモシェンコ首相が4日の記者会見で「もし決選投票で不正が行われたら、街頭闘争を展開する」と発言したことから、現地では緊張が高まっている。すでに、ティモシェンコ陣営が支持者を首都に向かうよう動員をかけている、との報道もあり、6年前の混乱が繰り返されるのでは、という不安が広がっているようだ。

 だが、前回と決定的に違うのは、欧米諸国がオレンジ革命が事実上不発に終わったことに失望し、あまり関心を示していないことだ。隣国のロシアも前回は様々な形で選挙に介入したが、今回は二人とも親露派ともいえることから、どちらが勝ってもウクライナとの関係好転のきっかけになるとみて静観している。このため、前回のような大混乱が起きる可能性は少ないとの見方が多い。

 とはいえ、ウクライナ国民は欧米に目を向けている西部・中部とロシアに親近感を持っている東部・南部とで真っ二つに分かれていて、91年の独立以降、事あるごとに対立を繰り返している。今回の第1回選挙結果でも、国民の分裂状態が明確に表れていた。国民を一つにまとめられるような新しいタイプの指導者が現れない限り、この国の再生は難しい。
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