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ミハルコフ監督が脚本、俳優、監督の1人3役をこなし、相手役にも前作同様、ロシアを代表するオレグ・メンシコフを登場させているが、様変わりしているのは愛娘ナージャである。前作では6歳のあどけない少女だったが、今回は24歳になり、事実上の主役として大人の女性を演じている。
乗っていた船がドイツ軍の戦闘機に攻撃されて沈没、真っ黒な海に投げ出され、機雷につかまって漂流したり、瓦礫の広がる戦場で死に瀕した若い兵隊を看護したり。さらには兵隊の必死の頼みを聞いて裸身をさらす・・・。まさに体当たりの演技を見せてくれる。
こうしたシーンの間に、前作のいたいけな少女時代の映像が流れ、その牧歌的な雰囲気に癒される。監督と娘が登場するシーンが多いのが気になる人もいるかもしれないが、家族を思いやる気持ちを、今の時代こそ大切にしたいという監督のメッセージが伝わってくる。
スピルバーグ監督の戦争映画「プライベート・ライアン」を観て、この映画のアイディアが浮かんだ、とミハルコフ監督は語っている。といっても、同じような作品をつくろうと思ったのではないことは明白だ。スピルバーグ監督と違って、随所にロシア的なユーモアや意外性をおり混ぜ、思わず笑ってしまう場面も多かった。いつの間にか、ミハルコフ・ワールドに引き込まれてしまったというのが実感だ。
もちろん、戦争物だから悲惨な場面やスターリンの粛清を示唆する場面も少なくない。とくにスターリン批判のモチーフは前作同様、一貫して流れている。だが、それ以上にミハルコフ監督のヒューマニズムがあちこちにちりばめられ、ともすれば「怖い」あるいは「残忍だ」といわれるロシア人のイメージを見直させる映画にもなっている。
この映画の上映開始は、今年のゴールデンウイーク(GW)で、本国ロシア以外で上映されるのは日本が最初だという。ロシアという、近くて遠い国を知るには、一番手ごろな教材だと思う。是非一度映画館に足を運んでみてほしい。あなたもきっとミハルコフ・ワールドのとりこになるでしょう。
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