飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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ロシア国民の不満は「政治」から「暮らし」に移っている!!

2012年05月25日 11時26分07秒 | Weblog
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ロシアの「政治の季節」が一段落し、国民の不満が「政治」から「暮らし」に移っていることが、最新の世論調査結果から浮き彫りになった。プーチン政権への反発は消えつつあるが、暮らしへの不満から抗議行動に参加しようという国民は増えつつあることも分かった。

 この世論調査は有力な調査機関「世論基金」が今月13日から20日まで全国で実施した。25日付けのコメルサント紙(電子版)に掲載された調査結果によると、「近く現政権への抗議集会やデモが行われた場合、参加しますか」との質問に対し、一番多かったのは「現政権を支持も反対もしていない」で63%だった。これは昨年同期の調査に比べ、21ポイント増えている。「現政権に反対なので抗議行動に参加する」と答えた人は6%で、昨年同期より10ポイント下がっている。「現政権には反対だが、抗議行動には参加しない」は7%、「現政権を支持しているので参加しない」は10%だった。

 また、抗議行動に参加したくなるような不満を感じているか、との質問に、37%の人が「感じている」と答えた。この数字は調査開始の1週間前に比べ、7ポイント増えている。これに対し、「感じていない」と答えた人は59%で、逆に5ポイント減っている。

 一方、「抗議運動が増加する前提条件は何か」との質問に対し、最も多かったのは「生活水準の低さと貧しさ」と答えた人で11%。次いで「物価上昇とインフレ」と答えた人が10%だった。プーチン政権への不満を上げた人は6%、不正選挙を指摘した人は2%にとどまった。

 この結果について同紙は何人かの専門家の分析を掲載している。最近、抗議行動への参加意向が増えている点についてオスロン世論基金代表は「ロシア人は伝統的に不満を積極的に示さない傾向があるが、大統領選後の抗議デモに対し、政権側が治安部隊を出動させ、多数の参加者を拘束したため、反発する人が増えている」と見ている。

 一方、抗議行動の参加条件に政治への不満よりも暮らしへの不安が多かったことについて、グドコフ・レバダセンター代表は「社会への不満は、貧しい地方と豊かな都市部で異なる。地方は政権寄りなので経済的な要求を出す傾向があるが、逆に都市部は経済的要求をしない傾向が強い。インフレは昨年初めに目立ったが、すでに人々はこれを乗り切り、慣れてきつつあるのではないか」と分析している。

 今回の世論調査から、ロシア国民の大勢は3期目のプーチン政権がどうなるか、様子を見ているようにみえる。新内閣の組閣が終わり、いよいよ始動するが、これまでの政権と変わらないと分かれば国民は動き出すだろう。新内閣が金太郎飴と同じように、切っても切ってもプーチンの顔が出てくるようでは、国民も我慢できなくなるのではないだろうか。(この項おわり)





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