18年間モスクワ市政を牛耳ってきたルシコフ・モスクワ市長(74)は先月末、メドベージェフ大統領によって解任されたが、市長自身に引退させるはずが本人の激しい抵抗で不発に終わったことから「大統領の威信が低下した」との見方が広まりつつある。
大統領は地方自治体で長期政権を続けている“長老政治家”を次々引退に追い込んでいるが、ルシコフ市長は引退勧告に応じず、手を焼いてきた。このため大統領は政権の統制下にあるテレビ局を使って退陣キャンペーンを張ったり、退陣の見返りに名誉職を与えるなどの裏取引をひそかに続けてきた。
ところが、ルシコフ市長はオール与党の市議会を拠り所に退陣勧告を突っぱね、メドベージェフ政権に抵抗した。さらに、9月初めにはロシア紙に、大統領の統治能力を疑問視する意見を投稿し、政権に反旗を翻した。このためプーチン首相が事態解決に乗り出し、市長を解任する大統領令を支持する形で事態を収拾させた。
今回の解任騒動について評論家のラティニナ女史はモスコー・タイムズ紙に「今回のスキャンダルはプーチンがお膳立てした古典的な陰謀だ。ルシコフとメドベージェフが公衆の面前でやり合っているときに、プーチンがこれまで以上の強者として登場するという筋書きだ。メドベージェフはプーチンの許可がなければ解任という決定を出せなかったので、大統領の勝利とは到底いえない」と語っている。
一方、モスコー・タイムズ紙のボーム・オピニオン欄担当部長は、ルシコフ市長が妻のエレーナさん(47)が経営する建設会社に巨額の利益供与をしていたことが決定的になり、市長の庇護者といわれたプーチン首相も大統領の解任支持に回ったと指摘。そのうえで「今回の騒動の最大の勝者はプーチンと、彼が確立した垂直的権力システムだ」と述べ、プーチンが国政の実権を握っていることを改めて見せ付けたと結論付けている。
12年の次期大統領選に向けて、大統領の力を誇示しようとしたメドベージェフの狙いは逆効果に終わったわけだ。ロシア政界では、今回の騒動で大統領が失った威信は極めて大きいとの見方が強く、ラティニナ女史は「これでメドベージェフの再選は難しくなった」とみている。このためプーチン首相が次期大統領選に立候補して大統領に復帰するという筋書きが濃厚になってきたようにみえるが、そううまくいくのか。いよいよ面白くなってきた。
大統領は地方自治体で長期政権を続けている“長老政治家”を次々引退に追い込んでいるが、ルシコフ市長は引退勧告に応じず、手を焼いてきた。このため大統領は政権の統制下にあるテレビ局を使って退陣キャンペーンを張ったり、退陣の見返りに名誉職を与えるなどの裏取引をひそかに続けてきた。
ところが、ルシコフ市長はオール与党の市議会を拠り所に退陣勧告を突っぱね、メドベージェフ政権に抵抗した。さらに、9月初めにはロシア紙に、大統領の統治能力を疑問視する意見を投稿し、政権に反旗を翻した。このためプーチン首相が事態解決に乗り出し、市長を解任する大統領令を支持する形で事態を収拾させた。
今回の解任騒動について評論家のラティニナ女史はモスコー・タイムズ紙に「今回のスキャンダルはプーチンがお膳立てした古典的な陰謀だ。ルシコフとメドベージェフが公衆の面前でやり合っているときに、プーチンがこれまで以上の強者として登場するという筋書きだ。メドベージェフはプーチンの許可がなければ解任という決定を出せなかったので、大統領の勝利とは到底いえない」と語っている。
一方、モスコー・タイムズ紙のボーム・オピニオン欄担当部長は、ルシコフ市長が妻のエレーナさん(47)が経営する建設会社に巨額の利益供与をしていたことが決定的になり、市長の庇護者といわれたプーチン首相も大統領の解任支持に回ったと指摘。そのうえで「今回の騒動の最大の勝者はプーチンと、彼が確立した垂直的権力システムだ」と述べ、プーチンが国政の実権を握っていることを改めて見せ付けたと結論付けている。
12年の次期大統領選に向けて、大統領の力を誇示しようとしたメドベージェフの狙いは逆効果に終わったわけだ。ロシア政界では、今回の騒動で大統領が失った威信は極めて大きいとの見方が強く、ラティニナ女史は「これでメドベージェフの再選は難しくなった」とみている。このためプーチン首相が次期大統領選に立候補して大統領に復帰するという筋書きが濃厚になってきたようにみえるが、そううまくいくのか。いよいよ面白くなってきた。
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