陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

安芸の旅人 星羅な休日

2008年04月16日 | slow journey

ホテル星羅四万十は
四万十川を望む高台にある。

「温泉がいいなあ。」

列車でいける処で自然豊かな処
ということで見つけたホテルだ。

コンクリートの打ちっぱなしに
ベージュの石垣。そして
三角屋根のコントラストが美しい。
瀟洒でモダンなホテルだった。
用井温泉とあった。

三階の部屋から四万十川が見渡せた。
川へ下るのり面には満開の桜並木…
目の前の四万十川は春の陽光を受けて
穏やかにそしてとうとうと流れていた。

さっそく温泉に入る。
日暮れ前に浸かる温泉が好きである。
斜めに傾く日が湯に差してきて
湯面がきらきらするあの光景。
極楽浄土とはきっとこうなんだろう。

「はて、極楽浄土に温泉はあるのだろうか。」

幸運なことに誰も居なかった。
一面のガラス窓からは春を笑う山々
その間を四万十がたゆたう。
ふりちんで窓際に仁王立ちする。
大自然を目の前にすると、ことさら
裸を誇示したくなるのは何故だろう。
温泉に浸かっているのだから
もとより裸なんだが…。

「いい湯だ。」
こわばった心身が緩やかに溶けて行く。

泉質は
ヒドロ炭酸イオンにナトリウムイオン。
温度が低いため一度沸かしているが
正真正銘、四万十の天然湯である。

夕食は一階ロビー奥のレストランへ。
ゆったりしてソフィスティケートな
レイアウトのレストランは空間も広く
落ち着いて食事ができた。

四万十の鮎に川海老、そして
四万十牛のステーキを堪能。
特に青さのりの天ぷらは
味といい食感といいなかなかの逸品。
燗酒もこれは嬉し哉!
私の好きな銘柄土佐鶴だった。
これも好印象だなあ。

ここは星の街、夜は星羅万象
満天の星が降るとあったが
あいにく今宵は霞がかった夜空となった。
星の数も都会並みの見え方で残念。
久しぶりに漆黒の空にかかる天の川を
ただぼーっと呆けたように
眺めてみたいと思っていたのだが…。

翌日は列車の時間まで
近くのカヌー館へ行って自転車を借り
四万十の春をゆっくり散策してみよう。

春は爛漫。四万十のほとり
星羅の癒しに包まれたひと日。
そんなに生き急ぐことはなかろうと
生き様をちゃんと修正してくれる。
「自然ってやっぱいいいなあ。」
と思ってしまう私であった。

四万十の川面はゆらぐ 魂と
桜 菜の花。鶯の声 拙私有

お粗末です。

■ホテル星羅四万十
高知県四万十市西土佐用井1100
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トロッコ列車で清流四万十へ

2008年04月14日 | slow journey

高知のひろめ市場で
うつぼの唐揚げに鮪の握り寿司
そして鮪の炙りを買う。

ひろめ市場ではすでに多くの人たちが
思い思いの料理を楽しんでいた。
ここは市場とついているが、まあ言わば
市場と合体した海鮮屋台村である。
もうすでに出来上がっている人もちらほら。

高知駅でよく冷えたビールを2缶買って
午後1時50分発の特急あしずりに乗る。
2時43分に窪川に着き、3時02分発の
清流しまんと1号に乗り換えた。
土佐大正駅からは連結のトロッコ列車へ。
江川崎まで約1時間
四万十の流れと共に走る。
途中幾度とトンネルを通過。
そこはまるで天然の冷蔵庫のようだった。
その冷たさがとても気持ちいい。

外人さんも結構目に付いた。
四万十川は外国でも有名なのだろう。
不思議と外人さんと四万十の風景は
よく溶け込んで似合っていた。

ビールもお酒も飲めるし
列車の旅ってやっぱりいい。
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豪快土佐 鯨に鮪に鰹の赤

2008年04月13日 | slow gourmet

高知での仕事が終わる。
あとは週末の夜を楽しむばかり。
時刻は午後八時過ぎ。
四月とはいえ花冷えか、少し肌寒い。
大橋通りのバス停でしばし待つ。
午後6時過ぎに連れ合いが乗った飛行機は
伊丹空港を15分ほど遅れて離陸したらしい。

大橋通りの交差点一本裏にある路地へ
その路地には地の飲み屋が連なっていた。
その連なりの中に
感じのいい和趣をほどこした店構えが一軒
そこが今宵お目あての店「黒尊」だった。
高知に行けばこの店がおすすめだと
知人に紹介された店だ。店に入ってすぐ
この店は玄人好みの店だとわかった。
人気ゆえ予約は必須らしい。なにしろ
午後九時で閉店だから遅がけも利かない。
あの鰹の塩たたきを初めて出した店である。

「おたく初めて?」
「そうです。」

店内には有名人の写真が貼ってある。
大将は一見ぶっきらぼうそうだが
こういうタイプの大将がいる店は
たいがい美味いものを食わせてくれる。

料理はおまかせである。
まずは“のれそれ”のポン酢から
平目の子の煮付け。
今の時期獲れるイカのボイル。
そして

「全然臭くはないから
生姜ではなく山葵で食べて。」

と、くだんの写真の赤い身が出された。

新鮮が命ゆえ、そんじょそこらで
食べることはできないものらしい。
この赤の刺身は鯨であった。
分厚い!
これはこれだけで腹一杯になりそうだ。
まったく臭くはない。不思議な食感。
鮪と牛肉の中間みたいな味だった。

次は刺身の盛り合わせが出た。
さざえに平目、まぐろの炙りなど。
さざえを苦い先っぽまで食べたら
大将が気に入ってくれたようである。
さっき出たイカのボイルを
「まだあるよ。食べる?」
といって器に足してくれた。
意気の通じる優しい大将である。

次にメヒカリがでた。
高知の桂浜沖で獲れる深海性の魚だとか。
塩焼きだったがこれがまた絶品!
ほろほろと身がこぼれて
淡白だがしっかりと脂がのり
旨味があってやみつきになりそうな味だ。
またぐぐーっと
熱燗に加速度がついてしまった。
「いけん、いけん。」

そしていよいよ真打ち鰹の塩たたきが登場。
だが、大将が言うには
今の時期の鰹は最低の味らしいのだ。

この店の最低の味を覚えておくのも幸運だ。
そう思って口に含んでみたが
いやはや…どうしてどうして。
この元祖塩たたきのこの店で
最高に美味い時期の鰹なら
いったいどれほどのもんなんだろう!
舌が絶品の鰹の脂とともにとろけて
無くなってしまうのではなかろうか?

それにしてもいったい土佐の人は
どれほど美味いもんを食っているのだ!
これじゃあ、手の込んだ料理はいらんわなあ。
前の知事があるシンポジウムで
高知は美味い出汁を取るといった料理が苦手だ
というようなことを語っていたが…。
こんな美味い素材なら、手の込んだ料理は
かったるいだけだろうなあ。
さもありなん!じゃね。

いやあ。
豪快土佐の料理を今宵は堪能。
しかし豪快ゆえ訪ねる客も
相当な健啖ぶりが要求される。
美味しいものをちょこっと楽しみたい
というような胃袋の小さい人だと
ちょっとしんどい店かもしれない。

しかし美味い魚を思う存分食わせたい。
そういう大将の思いやこだわり、そして
世話好きな優しさが十分伝わる店である。
胃袋が丈夫な内にあともう一回は行きたい店。

■黒尊
高知市本町3丁目4-18
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春爛漫 花の情景 番外篇

2008年04月10日 | slow life

只今、春の野山を偵察中…。

「えへん!」
「おいらは花じゃないけどさあ
立派に春を彩る植物なんだよ。
カタツムリじゃあないよ。
まして宇宙人でもないんだよん。」

「え?何だって、あの
ウルトラQに出てくる怪獣みたいだって?」
「あんた。傷つくこと言うねえ。」

「おいらは羊歯の新芽だよ。
そう、ゼンマイだ。
羊歯だからって日陰者扱いしないでくれよ。
おいらもこうして春を謳歌してるんだ。
だから番外篇とは心外だなあ。」

「申し訳ありません。」
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春爛漫 花の情景 その参

2008年04月09日 | slow life

“水仙の 花の高さの 日影かな”
     河合智月

田舎の民家には
必ずと言っていいほど咲いている花。

こちらは“はちきん”と言うよりも
可愛い妖精かな。
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春爛漫 花の情景 その弐

2008年04月08日 | slow life

中央分離帯に咲き乱れる
菜の花とチューリップ
赤と黄のコントラストくっきり競演。
濁りの無い南国の陽射しに
よく似合う色だなあ。

南国土佐に咲く花は
やっぱり、はちきん?

■はちきん
女性の土佐的特性の呼び名。
元気が良くて男勝りで行動性に富む
生活力豊かな溌剌とした女性のこと。
まるで太陽のような女性だね。
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春爛漫 花の情景 その壱

2008年04月07日 | slow life

“花の季節になると
旅人はみんな森の花の下で
気が変になりました。”
(桜の森の満開の下 坂口安吾)

今年は満開の桜を高知で愛でる。

電車を待つローカル駅。
音もなく桜花
はらはらと舞うひと日。

■予土線 江川崎駅にて
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花のある部屋

2008年04月01日 | slow life

津山・道の駅で買ったノースポールが
桜より一足早く我が部屋で満開になった。

石原公子 岡山産 苗と
ラベルに書かれたこの花は
たったの50円で売られていた。
あまりの安さゆえ
何故だかいとおしくなって買った。

そんな値段がついていたともつゆ知らず
今、この花は一生懸命に咲いている。
水をやるととても元気になるのが不思議。
当たり前だけれど…。

「なんかけなげだなあ。」

花なんて若い頃は
女性に贈るものだと思っていたが…。
一人暮らしの部屋に花が咲いていると
友達がいるようで何故かほっとする。

花を買って帰る。
花のある部屋はいいと思う。
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