陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

街の面白看板 トーアロード

2024年02月09日 | slow culture

神戸にはカタカナ表記の通りの名前が結構ある。代表的なものを挙げれば、トアロード、フラワーロード、メリケンロード、ハンター坂、サンセット通り…etc。中でもトアロードは港町の面影が残る通りで、神戸っ子が愛する坂道である。私もこの通りは昔ほどメジャーではなくなったが、神戸の中でもとても好きだ。

このトアロード、以下はWikipediaからの引用だが、歴史的には「兵庫(神戸)開港に伴い、神戸外国人居留地との居留外国人の住宅地(雑居地)とを結ぶ目的で開通し、発展した。」とある。西東三鬼の「神戸・続神戸」には戦前戦中のこのトアロードの様子が、面白くそして活き活きと描かれている。当時は東京よりもハイカラな最先端の地であったことが伺える。

このトアロードの表示であるが、道路標識などはほとんどというか全部「トアロード」となっており、その名称が一般には周知している。ただ面白いことに、JR元町駅の線路の高架に掛かってる標識には「トーアロード」となっているのである。アップで見るとこんな感じだ。

トアロードという名は、坂の北端に存在した「トアホテル」がその由来となっていると言われている。これもWikipediaからの引用だが(以下も同じ)、トアロードの名称が登場する最古の文献は、1925年発行の『文芸時代』大正14年2月号に掲載された稲垣足穂『神戸漫談』だという。

トアホテルは外国人向けには「Tor Hotel (トアホテル)」、日本人には「東亜ホテル(トーアホテル)」と称していたとある。そして発音で言えば、英語の「tor」の発音はイギリスでは「トー」または「トール」、アメリカでは「トア」に近いとあった。

そしてドイツ語の由来もあるらしく、ドイツ語では「門」を意味するドイツ語・Torに由来するとある。この説によると、「トア」という語は神戸を日本の世界への門戸ととらえる意味が込められているのだとか。そしてドイツ語の「Tor」の発音は「トア」または「トアー」「トーア」らしい。ただし、トアホテルのトアがドイツ語のTorに由来することを示す客観的な証拠は存在しないのだとか。

つまり両方の言い方が存在していても間違いではないのだ。ただ今は圧倒的に「トアロード」が人口に膾炙している。ただ、わたし的にはJR元町駅高架下の「トーアロード」というこの標記は、往年の港町神戸の雰囲気を伝えてくれているようで、そのレトロ感がとてもいいなと思っている。何より、神戸の街はヨーロッパ文化の街なのだ。対して横浜はアメリカ文化の街と言われている。だから「トーアロード」という名はその神戸のヨーロッパ文化の香りを今でも残しているような気がするのである。

JR西日本さん。この元町駅高架の表記はずっとここに残しておいてくださいまし。

早春のトーアロードに三鬼の名

コメント