ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『2013 フォーンと“天国にいちばん近い島”で観るならこの映画』(年間ベスト)

2013-12-30 23:17:23 | 新作映画
----あれれ、今年は“無人島”じゃないんだ。
「うん。
2013年、最大のできごとはフォーンが天国に旅立ったこと。
幸いに、こうやって時空を超えてお話しているけど、
それはあくまでウェブでのお話。
やはり、どこかで会いたいなと…。
そう考えていたら、この島、
天国にいちばん近い島”かなと…」

----このお正月は、
そこで一緒に映画を見ようってワケだニャ。
変なのを選ばニャいでよ。
「もちろん。
観ているのがつらくなるようなヘビーな作品は、
それが映画として“意味ある”ものでも
あえてはずしてある」

----たとえば?
「そうだね。
『ぼっちゃん』だとか『日本の悲劇』だとか。
あと『共喰い』 なんかもベスト1級に好きだけど、
お正月にフォーンと一緒に南の島で観るにはふさわしくないからカット。

ということで、今年の初めから順番に振り返ってみようか?
●1日目●『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
これは外せないね。もとより3Dが苦手なぼくに、
SFとは別の方向性を指し示してくれた。
水面を蒼く光らせるクラゲの大群、蒼いクジラの親子…。
生死の境でギリギリの闘いを続けている者に、
神がそっと見せてくれた大自然の神秘。
その幻想的な時間は、
これなら漂流してもいいかもと、
とんでもない錯覚に襲わせてくれた。
それだけで十分だね。
●2日目●『横道世之介』
今年の日本映画のベストを選べと言われたら、
ぼくはこの作品か『共喰い』 だな。
自分の生きてきた人生のどこかにいたような、ごく普通の人の、なんてことのない日常。
でも、それが心をじわ~っと、甘酸っぱく懐かしく、
そして幸せな気持ちでいっぱいに満たしてくれる。
思うにそれは、この時代が、
普通に生きることさえ難しくなってきているからなんだな。
その意味ではこれは
映画という形で今の社会にもの申している作品でもあるんだ。
声高らかに主張を叫ばずとも内なるメッセージは伝えられる。
そのことを実証したのがこの『横道世之介』なんだ。
●3日目●『王になった男』
これはイ・ビョンホンの演技を楽しむ映画。
そっくりな顔立ちと言うだけで、
意識不明に陥った王の影武者を務めることになった道化。
それまで政治とはとんと無縁だった彼が今の政治の在り方に疑問を抱き、
自分の意志で政治に関わっていく。
しかし、それは彼を影武者としての役割しか望まない周囲にとっては余計なこと。
王の政敵は元より、意識を取り戻した王も、彼の命を狙い始める。
果たしてその運命は?
映画ならではの高揚と感動に縁取られたこのラストは
今年屈指の感動だったね。
●4日目●『ジャンゴ・繋がれざる者』
ここからはちょっとはしょって…。
これは、マカロニウエスタン好きにはたまらない一本。
冒頭から『続荒野の用心棒』へのオマージュが炸裂。
●5日目●『キャビン』
ホラーからはこの作品を。
とにかくキャッチコピーがうまい。
『あなたの想像力なんて、たかが知れている』
『死霊のはらわた』、そして『CUBE・キューブ』と、
過去の名作ホラーをなぞるかに見えて、
まったく違う方向へと映画は走りだしていく。
いったい今、何が起こり始めているのか?
次々に飛び出すクリーチャーに口をあんぐりしているうちに、
とんでもないとどめの一発が…。
この衝撃は漫画『幻魔大戦』連載最終回の衝撃に並ぶ。
●6日目●シュワルツェネッガー『ラストスタンド』
マカロニウエスタンを現代の甦らせたのが『ジャンゴ』だとしたら、
この映画は
往年のハリウッド西部劇を
シュワルツェネッガーという、今や伝説の域に入ろうとしている大スターで楽しもうという作品。
それだけに、ここには昨今流行りのブンブン振り回すカメラもなければ、
めまぐるしい編集も耳をつんざく効果音もない。
そう、監督がシュワルツェネッガーの存在に映画を任せているんだ。
なんという潔さ!
いとおしく、そして胸のすく映画だったね。
●7日目●『シュガー・ラッシュ
これも泣ける映画だったな。
タイムリミットサスペンス、ヒューマンドラマ、ラブストーリー…。
そこにカーレース、プリンセス・ストーリーなど、
ディズニーの得意とするモチーフもいれ込んでいく。
それぞれに解像度が違うゲームが入り乱れるという“絵”のオモシロさも忘れ難い。
●8日目●『華麗なるギャツビー』
リメイクからはこの一本。
これも3Dの新しい魅力を見せてくれた。
狂乱のパーティもさることながら、
観る人の網膜に余韻を残すラストカットが秀逸。
なんと監督バズ・ラーマンは光と闇だけでその<余韻>を創りだしている。
ゾクゾクするエンディングだったね。
●9日目●『パシフィック・リム』
これは、みんなが大絶賛!
あえてぼくが言う必要もないだろう。
個人的には、平成ゴジラ以前の東宝特撮映画、
なかでも『フランケンシュタイン対地底怪獣』
そして『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』が持っていたホラー・テイストが織り込まれていたことが嬉しかった。
平成ゴジラ以降はクリアすぎて、返ってしらけちゃっていただけにね。
●10日目●『パッション』
双子、シャワー、マスク、鬘、殺人、悪夢、覗き、ベッド、ナイフ…。
ここには、ブライアン・デ・パルマ監督の初期作品を形作っていたモチーフがいっぱい。
サスペンス・スリラーとも言えるし、サイコ・ミステリーとも言える。
その映像ギミックやオチも含めて、
自作の焼き直しにすぎないと見る向きもあるだろうが、
ファンにとっては些細なこと、
いや、むしろ歓迎すべきことかも。
●11日目●『42 世界を変えた男』
『相手の低いレベルに自分を落とすな』。
『好かれなくてもいい。敬意もいらない。でも自分には負けたくない』。
『必要なのは――“やり返さない勇気”を持つことだ』
今年、もっとも涙を流した映画がこれ。
●12日目●『鑑定士と顔のない依頼人』
この映画は、監督の語り口を愉しむ作品。
あとで考えたら、よくあるオチ。
でも観ている間にはそのことに気づかせずに、
ただ、ことの成り行きが気になってしまう。
モリコーネの音楽も
あ~、映画を見ているなっていう
少し懐かしい雰囲気に浸らせてくれた。
●13日目●『陽だまりの彼女』
これは今年のスペシャル枠。
映画の出来不出来以前に、
その設定が泣かせる。
特にフォーンが旅立ったこの年はね。
●14日目●『ペコロスの母に会いに行く』
「記憶は愛である」と言う森崎東監督、
ベストセラーのマンガを原作としながら、
自らが映画の中で追求してきたテーマの延長線上に位置する
“作家の映画”へと仕上げて見せた。
クライマックスでは現実と記憶が邂逅――。
これを映画と言わずして何を映画と言おう
後に、テレビで森崎東監督自身が認知症に冒されながら、
この作品を取り上げたと知り、さらにビックリした作品。

ということで、この映画の中のセリフを今年の。締めに
『生きとかんば。何が何でも生きとかんばならん』――」

----そう言われても、フォーンは雲の上だしニャあ。


フォーンの一言「もう少し寝ると、新しい年なのニャ」
もう寝る

※そのほかにも忘れられない作品がいっぱい…。
『はじまりのみち』
『箱入り息子の恋』
『さよなら渓谷』
『みなさん、さようなら』
『麦子さんと』
『舟を編む』
『あの頃、君を追いかけた』
『ウルヴァリン: SAMURAI』
『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 etc…

※2012年の五つ星だ度


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