ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『サラエボの花』

2007-10-17 10:26:58 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:CRBVICA)

----今年、ボスニアをテーマにした映画って多くニャい?
『あなたになら言える秘密のこと』『こわれゆく世界の中で』
そしてこの『サラエボの花』。
そのいずれも銃弾が飛び交う戦時下を描いたものではなく、
その地獄を経験した女性たちの<現在>が描かれている」

----今回は、外から見た視線じゃなくて
サラエボ生まれの女性監督作品だよね。
「そうだね。
ヤスミラ・ジュバニッチ。
彼女は言う。
『戦争が勃発したとき、実は喜んだんです。
なぜかと言うと、数学のテストがキャンセルになったので』。
このあたりはジョン・ブアマンの『戦場の小さな天使たち』にも
描かれていたよね。
続けて彼女は言う。
『当時ティーンエイジャーだった私の一番の興味はセックスでした。
愛の最上の形がセックスだと信じていました。
でも1992年からはすべてが変わりました。
自分がまさに戦争のまっただ中に生きていることを実感したのです。
セックスは戦争戦略の一つとして、
そして女性に屈辱を与える手段の一つとして利用されました』。
長々と引用したけど、
ボスニアの最大の悲劇は、
そこで行なわれた民族浄化のための集団レイプという
おぞましい行為にあると言える」

----どうしてそんなことを!?
「敵の民族の子供を産ませることで、
所属民族までを辱め、後世に影響を残すことが
作戦として組織的に行なわれたわけだ」

----まるで悪魔だ!
「なぜ、この背景を喋ったかと言うと、
それを知らなくてはこの映画の意味が分かりにくいと思うから。
この映画の主人公エスマは12歳の娘サラと二人暮らし。
政府からの生活補助金と裁縫で得る収入だけでは生活が厳しく、
子供がいることを隠してナイトクラブでウェイトレスとして深夜まで働いている。
一方のサラは、エスマから父親はシャヒード(殉教者)と聞かされていたが…」

----事実は違うんだね。
でもそんなこと、早めに明かしちゃっていいの?
「いいと思うよ。
そのためにさっき長々と背景を話したんだ。
エスマは娘とじゃれているとき押さえつけられ、
急にはねのける。
また、バスの中での男の胸毛に気分が悪くなったり、
ナイトクラブでタバコを手にした男の手が
セクシーな衣装で働く女の胸に近づくのを見て
気分が悪くなってトイレに駆け込む。
つまりこれらは12年前の辛い日々を彼女に思い出させているわけだ。
彼女はセラピーの場に通ってはいるけど、
決して口を開こうとはしない」

----でも、娘が母親の
そして自分の出生の秘密に気づいてしまうワケだね。
「うん。そこはこの映画のハイライト。
母と娘の感情が爆発する」

----でも、そこまでいって
どうやって収束するんだろう?
『ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた』じゃないけど、
エスマは赤ちゃん(サラ)を胸に抱いたことにより、
すべてが変わったことを告白する。
映画のラストも含め、
子供たち、次世代に期待するポジティブな映画になっていたね」

(byえいwithフォーン)

※この記事、実は12時間以上も未完成のままアップしていました。
お恥ずかしいところをお見せしてごめんなさい。


フォーンの一言「人間はどうしてここまで残酷になれるのかニャ」悲しい

※ベルリン映画祭で平和賞受賞も分かる度
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画像はオーストリア・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。

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4 コメント

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望まない妊娠 (シャーロット)
2007-12-23 23:14:48
最後の最後までエスマの辛い過去にはピンときませんでした;だってそんな境遇での妊娠出産した娘でも、とっても可愛がっていた様子だったのですもの。
出産によってそんな辛い過去以上にその赤ん坊との未来が明るく見えたのでしょうし、また、そんな劇的な自分の気持ちの変化をもたらす出産とはとっても崇高なものですよね。どんな状況下で妊娠したにせよ、無事に生まれてきてくれてありがとう…と素直に喜べる気持ちがとても嬉しかったのでした。・・・でも、子育ての現実はきっと厳しかったと思うのですよ;だからこそ、エスマの凄さが身に沁みてきます。
母と娘という設定ではかなり印象的な映画でした。
■シャーロットさん (えい)
2007-12-24 16:34:51
こんにちは。
ぼくはこのクライマックス以降を
『ウェイトレス おいしい人生のつくりかた』に重ね合わせて観ていました。
もちろんすべての女性に当てはまるのではないでしょうけれども、
妊娠、そして出産が、それぞれの女性に
決定的な瞬間をもたらします。

『ウェイトレス おいしい人生のつくりかた』では、
出産の瞬間、彼女の中にそれまで思ってもいなかった感情が芽生えます。
あの(『ウェイトレス~』)ラストはとても美しく幸せですが、
この映画(『サラエボの花』)でも描かれるように、
それからの人生がまた戦いなのではないでしょうか。

なんて書いていますが、男の自分にはそう「思える」だけでしかなく、
言葉が軽くなっていることに、反省しきりです。
えいさん、こんにちわ♪ (エミ)
2008-06-15 16:25:58
コメントありがとうゴザイマシタ♪♪

近年、冷戦以降の紛争を描く作品が多くなって我々が見て勉強することができ良いことだと思ってますが、今回は流石に同性ということもあってなんとも言えない気分に・・・(汗)
もし自分がエスマのようになったらと考えると余計にツラいです。

こんなことが二度と起こらないためにも少しでも多くの人にこの作品を観て欲しいと思いました。
■エミさん (えい)
2008-06-16 11:34:40
こんにちは。

レビューを拝見させていただきまして、
観た時の感動が甦り、
思わずコメントしてしまいました。

サラエボの悲劇を描いた作品は、
『あなたになら言える秘密のこと』
『こわれゆく世界の中で』も観ましたが、
いずれも女性が受けた傷を取り上げていました。

このテーマは、言葉にするのがとても難しいです。
おっしゃるとおり、少しでも多くの方に
その目で観ていただくしかないような気がします。

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