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ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ブロークバック・マウンテン』

2006-03-26 12:20:54 | 映画
----この映画って昨年の映画賞のほとんどを受賞しながら
アカデミー賞を逃したと言う曰く付きの作品だね。
「うん。ゲイを扱ったことから
アカデミー会員には敬遠されたのではないかと言われている」

----実際に観てどうだった?
「その前に一言。
映画館の観客があまりにも少なかったのには驚いたな。
アカデミー賞を逃すとこういうものなのかな。
映画は確かにゲイのふたりが主人公なんだけど、
観る前に予想していた内容とはだいぶ異なっていたね」

----どう違ったの?
「ブロークバック・マウンテンで関係を持ったイニス(ヒース・レジャー)と
ジャック(ジェイク・ギレンホール)のふたりが山を下りた後、
それぞれに自分たちの結婚生活を営み、
数年経ってジャックが現れ、ふたりの関係が戻る……ここまでは予想通り。
ただ、最初思っていたのは
<ふたりは気づかないように密会を続ける。
しかし妻は次第に怪しみだし、町の人の噂にもなり、
その好奇と批判の目にさらされる>というもの。
ところが実際は
<イニスがジャックを熱く抱擁する現場を
イニスの妻アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)はすぐに目撃>。
映画は思わぬ秘密を知ってしまった妻の苦悩にもスポットを当てる」

----夫の秘密を知った妻という映画、最近多くニャい?
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『隠された記憶』だね。
しかしそれらの映画に比べてこの映画はもっとエモーショナル。
言葉は少ないながらも、
どのショットからもそこにいる人の<想い>がにじみ出してくる。
もちろん映画はふたりの<想い>を軸に、
とりわけジャックのガラスのように傷つきやすく
また気高い<想い>が軸となるわけだけど、
この映画が魅力的なのは
登場人物すべての<想い>を映像化したところにあると思う」

----ふうん。と言うことは彼らに敵対する人たちにも切り込んでいるわけだ?
「切り込んでいると言えるかどうかまでは分からないけど、
この映画は登場人物それぞれの<反応>が印象に残る。
それも寡黙な中の饒舌な反応」

----よく分からニャいな?
「じゃあ、印象に残ったシーンをいくつか書いてみよう。
※アルマがイニスに「釣り箱」を忘れていると教え、
イニスが使いもしないその釣り箱を持ち去るときのアルマの表情。
※ジャックとラリーンの父がテレビのチャンネルのことで言い争い、
ジャックが「あなたはゲストだ」と彼を席に座らせたときの
義理の父の悄然とした姿、
そしてそれを見守る妻ラリーン(アン・ハサウェイ)の満足げな視線。
※ジャックの実家を訪れたイニスが
クローゼットから見つけたジャケットとシャツを持って階下に降りてきときの
寂しさの中にかすかに光が煌めくジャックの母親の目。
それは、つい先ほどまで「家の墓には息子の灰は入れない」と言っていた
老父の心をも溶かしてゆく。
他にもイニスの長女が父に寄せる親しみ、
ジャックが声をかけたロデオ道化師の冷たい拒否、
そしてジャックを誘う牧場主の隠れた媚態など、
それぞれに言葉は少ないながらも
主人公ふたりへの<沈黙の反応>、
その<想い>が映画を満たしていく」

----う~ん?でも今日、あんまりストーリーを語ってないね?
「ぼくは早めに映画を観た映画は、
お礼の意味もあって、
その映画の内容と見どころを少しでも詳しく伝えようと
少々くどいまでに書いているんだけど、
この映画は、もうすでにいろんなところで紹介されているし、
ぼくがあえてストーリーを書く意味はないと思うんだ。
これまでにも劇場で公開された後に観た映画は
そういうスタンスで喋っている。
あっ、ただ、その目が覚めるように美しいブロークバック・マウンテンが実は最初だけで、
それ以後、ふたりが訪れるときには
楽園としての輝きを失っていたことは喋っておきたいな」

----そう言えばプログラムも買ってなかった?
「うん。これが最高のでき。
なかでも米文学者・翻訳家の米原真治さんの文章(P40~41)は読み応え抜群。
ラストのイニスのセリフ、字幕の『ずっと一緒だよ』が
どうもナマすぎて引っかかってていたんだけど、
ここは原作では『僕は誓う』となっているらしい。
これを読んで納得したね」

----『ずっと一緒だよ』だったら『輪廻』だもんね(笑)。
               (byえいwithフォーン)

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『ミュンヘン』

2006-02-05 00:43:47 | 映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方が…かも。


----この映画、今日から公開だよね。
フォーンも観たけど、どうだった?
「う~ん、ぼくは勘違いしていたね。
まずは物語を要約してみよう。
ミュンヘン・オリンピックの開催中、
パレスチナ・ゲリラによる襲撃で
イスラエルの11人のアスリートたちが殺害される。
イスラエル政府はその報復として暗殺チームを結成。
リーダーに任命された一人の男、アヴナーは、
妊娠7ヶ月の妻を残してヨーロッパに渡る……」

----ん?その通りじゃニャい?
「いや、そこからが違うんだ。
ぼくが予想したストーリーは次の通り。
『正義』を信じて任務を引き受けたアヴナー。
彼は人を殺すという任務に、次第に疑問を抱き始める……。
しかし、実際はこうだ。
アヴナーは、
『私たちは正しいのか?
果たしてこの任務に終わりはあるのか?』と疑問を抱きつつも、
さらなる報復を続けていく。
しかもそのまた報復として仲間が殺されたことから、
彼は、その暗殺対象をテロリスト指導部11人以外にも広げてゆく」

----そうだったね。
アヴナーは徐々に深みにはまっていってた。
「そうなんだね。
最初は巻き添えによる被害を避けようと心砕いていた彼も、
人を殺すことの葛藤よりも
私的報復心の方が勝つようになってくる…。
確かにこの方が、
スピルバーグのメッセージを伝えるには
より強烈だと思う」

----つまり、
「報復には限りがない」と言うことだよね。
「そう<不毛>。
この映画、ハンディカメラで不安定な映像、
しかも粒子の粗いドキュメンタリータッチで
正直、観ていて落ち着かなかった。
でも、あの強烈なラストカット。
もう公開されたから言ってもいいかな。
指令を出す男とアヴナーの会話が行われるその場所はニューヨーク。
そして背景にそびえるのは<今は亡き>ツインタワー。
これにはゾクゾクっと来たね。
ここで映画は見事に9.11とリンクしていく。
1973年には、まだ存在していたこのビルは
2006年の今はもはや影も形もない。
つまり、この映画のラスト以降も
現実社会では
憎しみによるアラブとイスラエルの報復合戦が続いてゆき、
ついには<風景>さえも変えてしまうわけだ。
このツインタワーの映像が撮りたかったがために
スピルバーグは『ミュンヘン』を創ったのでは?
そう思うと体の震えが止まらなかったね」

----そうか。そして9.11の報復から
イラク戦争が始まる……ありゃりゃ。フォーンは気づかなかったよ。
なんか尻切れとんぼの終わり方だニャなんて思ってたけど、
これはもう一回観なくちゃかな。
 (byえいwithフォーン)

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『博士の愛した数式』

2006-01-30 00:19:47 | 映画
----「ぼくの記憶は80分しかもたない」。
これってどういうこと?
「正直、ぼくにもよく分からないんだ。
この映画では家政婦としてやってきた女性(深津絵里)と
その記憶障害を持つ博士(寺尾聡)、
そして√ルートと呼ばれるその女性の息子が過ごした大切な時間を
成長して数学教師になった√ルート(吉岡秀隆)の回想で描いてゆく。
最初、このプロットを聞いたときには、
80分経ったら、会った時のことまで忘れて
最初の挨拶からやり直すのか…と思った。
しかしよくよく考えると、
80分しかもたないということは、
80分前のことは忘れたとしても、
新しい80分は覚えていると言うことになるし…。
前提が<80分しかもたない>だから
その意味だけはクリアにしてくれないと」

----翌朝になったら前のことを80分だけしか覚えていないとか?
「いや、そういうのでもなかった。
これがまったく覚えていないだと、
『50回目のファースト・キス』になるんだけどね」

----あ~、そうか。
じゃあ、お話は、その記憶を持続させようとする
家政婦さんの奮闘を描くわけ。
「(笑)それも違うな。
むしろ博士の家政婦への数学の説明、
あるいはそれを教室で生徒に話す√ルートの話の中から、
数字の持つオモシロさが浮かび上がる映画となっている。
そういう意味では、
(これは本を読んだだけだけど)『ダヴィンチ・コード』を思い出したな。
もっとも、あちらはサスペンスミステリー。
この映画はそれとは対極ののどかな作品になっているけどね」

----キャスティングもそんな感じだよね。
「監督が晩年の黒澤明に助監督としてついていた小泉尭史。
しかも出演が寺尾聡、吉岡秀隆。
映像のテイストもどことなく昭和的で懐かしい感じがした。
よかったのは季節が春に限定されていること。
早春の淡い日だまり的なあたたかさを感じる。
たとえ記憶は続かなくとも
その時間その時間を慈しむように生きる…
こういうことなのかな…」

----そう言えば浅丘ルリ子も出ているんだよね?
「あっ、これは少し違和感を感じたね。
彼女は博士の義理の姉の役で、
博士と過去に関係を持っている。
その描き方がなぜかメロドラマ風なんだ。
なかでも不思議なのは彼女が川面を見つめるシーンで
彼女の奥にあるはずの水面のさざ波が
頬の上に映っていること。
これって合成したとしか思えない。
浅丘ルリ子の持つ日活ムードアクションの記憶が、
このようなメロドラマ的手法になったのかも知れないけど、
全体の流れには合わなかった気がするな」

               (byえいwithフォーン)

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『ホテル・ルワンダ』

2006-01-18 23:13:35 | 映画
「憎しみからは何も生まれない」

----これってインターネットの署名運動によって
日本公開が実現した映画だよね。
「そう。昨年度のアカデミー賞で
ドン・チードルの主演男優賞ほか
全3部門でノミネートされた話題作だ」

----そんな映画なのに
なぜオクラ入りしそうになったの?
「まず一つは
遠いアフリカ大陸での
フツ族によるツチ族への虐殺と言う
きわめてヘビーな内容だったこと、
さらには主演がビッグネームではないこと、
そして賞レースに名乗りをあげたことで
権利料が跳ね上がったことなどがあげられる」

----そうか、ドン・チードルって初主演だっけ?
「うん。ハリウッドのメジャースタジオは、
デンゼル・ワシントンやウィル・スミス、
またはウェズリー・スナイプスといったビッグネームを希望。
しかし監督のテリー・ジョージは
ドン・チードルにこだわったらしい。
今こうして出来上がった映画を見ても
その選択眼はさすがという他はないね」

----さっき、少し話していたけど、
この映画は遠いアフリカのお話だよね。
虐殺って何があったの?
「1994年。多数派のフツ族と少数派のツチ族が
長年争ってきたルワンダでは、
内戦がようやく終結し、
フツ族大統領が和平協定に応じようとしていた。
しかしフツ族のラジオからは公然とツチ族非難が流され、
ついには「フツ族大統領がツチ族に殺された」という
ショッキングなニュースが飛び出す。
ラジオの報道を鵜呑みにしたフツ族は武器を手に、
ツチ族を一人残らず抹殺しようと大虐殺を開始するんだ」

----そんな…………。
「ぼくは当時この大虐殺を報じた新聞記事を
たまたま目にして、
スゴいショックを受けたものだった。
というのもその記事では犠牲者の数もさることながら、
虐殺の中身が詳しく報じられていたんだ。
しかしそれも後になって分かったこと。
国連は平和維持軍であり仲裁はしないという立場を取っていて
ほとんど何もしなかったという。
この映画はそんな中にあって、
ルワンダの高級ホテルに勤めていた一人の男が、
ホテルマンとして培ってきたスキルによって
1200人もの命を救った姿が描かれる」

----それがドン・チードルが演じている役だね。
「うん。実際にモデルになった人は、
もっと体格もよくて
ある意味『この人なら…』って感じらしいけど、
彼が演じる支配人ポールはごく普通の男。
ただ機転はきくし、ときには賄賂も辞さない。
でも、久しぶりに真のヒーローを見た気がしたね。
あ~、だけどこの映画は語りだすときりがないな。
すべてのシーンに怒りと悲しみを感じて
久々に号泣しそうになったよ」

----あまり、えいのタイプの映画ではなさそうだけど?
「確かにぼくは、映画は楽しみたいタイプ。
しかも映画を観る時は
映画である必然性、
また、どれだけ映像で語っているかなどに重きを置いている。
でも、こういう作者の強い思いが込められた力強い作品に出会うと、
その<映画であらねば>という構えが後退するんだね。
心の琴線に触れてぼろぼろになってしまう。
たとえば、
事態が切迫して外国人たちがホテルを去るとき、
ホアキン・フェニックス演じる記者が
仲良くなったツチ族の女性と別れるシーンがある。
行かないでくれと泣き叫ぶその女性に
彼はお金を握らせることしかできない」

----それってひどいよ。
「でもその後、彼は振り向きもせず一言
『恥ずかしい』と自嘲して吐き捨てるんだ。
ここでぼくの感情の壁は崩れたね。
あとは、もう涙腺が緩むのを押さえるのが大変」

----そう言えば主題歌も話題になったね。
「 05年度ゴールデン・グローブ賞オリジナル主題歌賞にノミネートされた
ワイクリフ・ジーンの「ミリオン・ヴォイセズ」。
その中に次のような一節がある。
『アメリカがアメリカ合衆国ならば
なぜアフリカはアフリカ合衆国でないのか?』
もう、ここでは嗚咽が出そうになったよ。
いまはただただ、この映画の日本上映を実現させてくれた
すべての人に感謝したい気持ちでいっぱい。
今日、観に行ったシアターN渋谷では上映スクリーンを追加。
それでも毎回立ち見が出ていてスゴい混雑だった。
それだけでうれし涙が出そうになったよ」

               (byえいwithフォーン)

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2005年ベスト10 B面(「これは楽しめた編」)

2006-01-05 19:13:23 | 映画
----あれっ。もうB面、発表しちゃうの?
「うん。三が日のうちにと思っていたけど、
さすがにそれは難しかった。で、せめて松の内に(笑)」

----「このセレクトは“おススメはしにくいけど、でもぼくはこれが好き”」
だったよね。
「そう。いわば<裏>ベスト10。
最後まで、時間を忘れて観ていたと言うのがポイント。



●その無視はないんじゃないの?
『アビエイター』

(one comment)これってディカプリオ版『ジャイアンツ』と
思ったんだけどなあ。
そう言えばリドリー・スコット『キングダム・オブ・ヘブン』
だれも何も言わなくなりました。


●大好きな60~70年代テイスト
『フライト・オブ・フェニックス』

(one comment)まだSFXなんて言葉が普及していなかったあの頃。
アクションは映画の華でした。
『フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い』のアクションもゾクゾク。
ホラーだと『蝋人形の館』
コメディだと『ディック&ジェーン/復讐は最高!』あたりがその匂い。
みんな大好きです。


●映像テクニックに酔った作品
『シン・シティ』

(one comment)これこそ今の時代の映画なんでしょうね。
そう言えば、これもだれも何も言わなくなったけど
『コンスタンティン』なんてのもありました(笑)。


●もっとも涙した映画
『Shall we Dance?/シャル・ウィ・ダンス?』

(one comment)涙もろいので、暗闇の中、すぐ涙ぽろぽろ。
『HINOKIO(ヒノキオ)』 『狼少女』 『ALWAYS 三丁目の夕日』
あっ、ルール違反だけど「いぬのえいが」もヤバかった。
日本映画が多いなあ。やはり子供と動物には弱いです。


●もっとも胸に刺さった青春映画
『マルチュク青春通り』

(one comment)男の失恋映画、最近はなかなかないですね。
ハン・ガインを見つめるクォン・サンウの目がたまりません。
女性版『スタンド・バイ・ミー』と言われた
『旅するジーンズと16歳の夏』も忘れられない一本。
あっ、『サイドウェイ』も遅れてきた青春映画と言えるかも。


●もっともゾクゾクしたエロス
『秘密のかけら』

(one comment)エロチック・サスペンスならぬエロチック・ミステリー。
イスラム社会との融和をさぐった二本の映画
サリー・ポッター『愛をつづる詩』 ケン・ローチ『やさしくキスをして』
その重いテーマとは別にかなりエロチック。
アトム・エゴヤンはもちろん、鬼才たちが作ると、そのエロスも濃いです。


●もっとも想像とは違っていた映画
『スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと』

(one comment)邦題から想像するのは、希望に満ちあふれた母と子の映画。
でもその実…。
そうそう『大いなる休暇』
タイトルやメインビジュアルから受けた印象とは違って、
けっこうヒネリが…。


●もっとも心やさしくなれた映画
『50回目のファースト・キス』

(one comment)このラストに驚かなかった人は、まずいないでしょう。
そう言えば『ビフォア・サンセット』も観ている間、頬が緩んでいました。
(ただしハラハラしながらですが…)。


●もっとも腹を抱えた映画
『ドッジボール』
(one comment)よく「女を捨てている」という言葉がありますが、
この映画のベン・スティラーは「スターであること」を捨てています(笑)。



※これは番外特別編

●もっとも度肝抜かれたオープニング
『ブレイキング・ニュース』
(one comment)7分間、クレーン&スレディカムのワンショット。
これはほとんど神業に近いです。

●もっとも鮮烈だったラストシーン
『ディア・ウェンディ』
(one comment)まさかラストであの曲が流れるなんて!?

●もっとも余韻のあるラストシーン
『蝉しぐれ』

●もっとも恐るべき子供たち
「カナリア」 『ある子供』

●もっとも体を張っていた映画
『7人のマッハ!!!!!!!』

----結局、10本には絞れなかったわけだニャ(笑)。
「ごめんなさい」A面(ベスト10「これはいいよ編」)もよろしく

               (byえいwithフォーン)

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猫ニュー


2005年ベスト10 A面(「これはいいよ編」)

2006-01-02 21:30:48 | 映画
----うん。A面ってどういうこと?
「ベスト10って基準が難しくって。
『だれにでもおススメ。これはいいよ』なのか
『おススメはしにくいけど。でもぼくはこれが好き』なのか…」

----つまり主観か客観かってこと?
「まあ、おおざっぱに言えばそういうことだね。
ということで、
今回はまず「2005年ベスト10 A面(「これはいいよ編」)」から。
あっ、これは公開順ね」


『パッチギ!』
(one comment)「帰れ。帰ってください」……笹野高史に助演男優賞をあげたい。
「風に吹かれていた」あの時代。「悲しくてやりきれない」。
『エレニの旅』
(one comment)「もう、思う人が誰もいなくなった」エレニの慟哭。
水上の葬儀、白布の丘での別れの演奏、見せしめに吊された大量の羊、
そして圧巻の水没の町。
あまりにも贅沢なアンゲロプロス映画芸術。
『ミリオンダラー・ベイビー』
(one comment)「これは自分の娘との疎遠な関係に苦しみ、
必死でボクサーとして 名を挙げようとする若い女性の中に自分の娘の姿を見出す
一人の人間のラブストーリーだ」(イーストウッド)
「映画はある瞬間から変化していく。思わぬ方向にね」(ヒラリー・スワンク)
『マラソン』
(one comment)キーワードは<足>ではなく<手>。
彼の片手はコーチとつながれ、もう片方の手は草をなぜてゆく。
映画はセリフで語るものでなく<画>で語るもの。
幻想の中を走り抜けるチョウォンに熱い拍手を。
『ヒトラー~最期の12日間~』
(one comment)戦争は負けた側の視線から写すことでその本質に迫れる。
ベルリン包囲網を抜け出すユンゲと少年。
自転車という小道具に託されたものは…。
『リンダ リンダ リンダ』
(one comment)映画とは、俳優という<素材>の中から、
その人だけが持つ固有の<輝き>を掬いあげ
フィルムの中に封じ込めようと言う 大胆な野心。
『亀も空を飛ぶ』
(one comment)「これは子ども時代を持たないまま、
大人にならざるを得なかった若者たちについての映画なのです」
(ゴバディ監督)。
『キング・コング』
(one comment)髑髏島で、そしてエンパイアステート・ビルで……
ふたりで見つめた紅の水平線。
いつまでも続いてほしい時間。
スローモーションで捉えられた氷上のスケーティング。
『天空の草原のナンサ 』
(one comment)「 広大な空と地平の草原で家族だけで生きる彼らが、
孤独の入り込むすきのない濃密な時間を生きていることに私は涙をこぼした」。
詩人・佐野洋子さんの評がこの映画の奇跡を解き明かす。

※番外特別賞
『スター・ウォーズ エピソード3・シスの復讐』
(one comment) タトゥイーンで養父母に預けられるルーク。
それは銀河宇宙にとって『新たなる希望』であった。
彼らの上に輝いているのは、あのルークが見つめた二つの太陽。
1976年の始まりの時へいまぼくらはワープする。
ルーカス、すてきな29年をありがとう。

----はいはい。酔わない酔わない。
次はB面(ベスト10「ぼくはこれが好き編」)だね。

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『キング・コング』

2006-01-01 22:47:43 | 映画
----いやあ、ついに行ったニャあ。
「はい、ついに行きました(笑)」
----ようやく観れただけに感慨もひとしおってとこ?
「そうだね。3時間超える長さも苦にならなかった」
----なんで、そんなに観たかったの?
これって、昔の『キング・コング』のリメイクでしょ?
「だって、あの『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督が
『王の帰還』で頂点を極めた次の作品。
しかも彼が映画を志すきっかけになったのが
オリジナルの『キング・コング』だと聞けば
これは観ないわけにはいかないじゃない」

----『タイタニック』のジェームズ・キャメロンが
あれで気力を使い果たしたかのように
以後、長い間何も撮ることができなかったのに比べたら、
スゴく精力的だね。
「そうなんだよね。まずそこが驚きだ。
この映画、すでに公開されているし、
オリジナルもあまりにも有名。
ストーリーを語るのは止めにして、
見どころを少しだけ話そうかな」

----でも、それは想像つくニャあ。
オリジナルが作られた頃に比べて特撮技術は発達しているし、
大スペクタクルになっているんでしょ?
「いや、そればかりじゃないんだ。
ワンカットワンカットがすべて無駄がなく
ひと続きの絵画を観ているかのよう。
隅々まで神経の行き届いた丁寧な画作りには
それだけで心揺り動かされる。
しかも映画の根底に流れるのは美女を愛した野獣の悲しみ。
『美女が野獣を殺した』の名セリフは忘れがたい。
もちろん緻密に再現された30年代のニューヨークや
CGによるコングとクリーチャーのバトルは
最大の見ものではあるけれどね」

----美女を愛した野獣かあ…。
「そう。
けっこう泣けるポイントが多いこの作品、
最初にグッとくるのが、
髑髏島でコングが美しい夕景を
彼女アン・ダロウに見せようとするところ。
テクニカラーを思わせる絵画的色調で捉えられた
その雄大な自然もさることながら、
コングの姿があまりにもさみしそう。
そう、この夕景をコングはずっとひとりで見てきたわけだ。
あのシーンでぼくは
手塚治虫の『火の鳥・鳳凰編』の我王を思い出したよ」

----ふうん。この映画って、泣けるんだ。
「うん。
ニューヨークの凍った池で滑る二人も素敵だった。
このシーンはスローモーションで映し出され、
その幸福な時間を観客に引き伸ばして見せることで
情感をより盛り上げる。
しかしピーター・ジャクソンってほんとうに
スローモーションの使い方が巧い。
コングの元から戻ってきたアン・ダロウ。
ところがそこでは船のクルーたちが
コングを捕らえることに余念がない。
そう、彼らはコングで金儲けをしようと
そのことで頭がいっぱいなわけだ。
そしてここでもやはりスローモーションが使われる」

----でもそんなところに使って意味あるの?
「欲にかられた人々を目にしているのは、
命からがら生還を果たしたアン・ダロウ。
彼女の目から見れば、
彼らはすっかり違う人間に変わってしまったようにしか見えない。
そしてそれは
自分とは異なる時間が動いていることにも等しい。
その違和感をビジュアル化するべく、
ピーター・ジャクソンはスローモーションと言う形で
映画の中の時間をいじって見せるわけだ。
ここが強烈に印象に残るのは、
彼女の受難のすべてを手に汗握りながら見守ってきた観客も
またアン・ダロウと同じく
彼らに同じ違和感を感じているからなんだ」

----はあ、分かったような分からないような。
「じゃあ別の見どころを…。
先日話した 『PROMISE』
暴走する猛牛の大群に驚かされた話をしたけど、
ここでは首長竜を始めとする恐竜がやはり暴走。
ほぼ同じカメラアングルだったあの作品に比べて、
こちらはスリルを盛り上げるべく
めまぐるしくそのポジションを変える。
いやあ、こういう映画を作らせると
やはりハリウッドはたいしたものだね」


              (byえいwithフォーン)

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今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

2005-12-31 21:31:03 | 映画
---いやあ、もうすぐ2005年も終わるニャあ~。
「そうだね。
この一年、ほんとうにたくさんの出会いがあったよね。
昨年の12月30日は173pvで111ip。
ところがなんと今年の30日は1279pvで716ip。
とても自分のブログとは思えない。
始めた頃には思ってもみなかったよ」

----なに?そのpvとかipとか言うの?
「pvは閲覧数でipは訪問者数。
同じ人が違うページを見てくれることもあるから、
pvの方が多くなるってわけ」

----ふうん。これまでトータルするとどれくらいになるの?
「gooがipを公表したのが昨年の11月末だから、
途中からしか分からないけど、
いま数えてみたら12月30日段階で176353ipだった。
pvだと、その1.5倍から2倍くらいかな」

----じ、じゅうななまん!うわあ。信じられないね。
「これもひとえに
ここに立ち寄ってくださるみなさんあってのもの。
ほら、フォーンも挨拶して」

----はい。

今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
よいお年を。


    (byえいwithフォーン)


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2005年TB ベスト10

2005-12-30 19:51:36 | 映画
----何のかんの言って「トラックバック・ベスト10」も
これで3回目だニャあ。
「うん。
でも今回はこの一年に映画館で公開された映画限定というところが新しい。
……なあんて自分で宣伝してるけど、ぼく自身も興味あるんだ。
前にも話したけど、
トラックバックというのは、
その映画について、みんなが自分のページに書いているということだよね。
これはどの映画がブロガーたちを強く刺激したかを知るバロメーターになりうる」

----フォーンもわくわくだニャあ...。
「まず、その前に……
今回の10本の中に邦画は1本。
また人気の韓国映画も1本。
さあ、それは何かを考えながらおしゃべりを聞くと楽しいかもよ」

------邦画は『踊る大捜査線』のどっちかかなあ?
韓国映画だと『私の頭の中の消しゴム』か『親切なクムジャさん』?
「いいところ突いているね。
まず惜しくも第11位となったのが『アイランド』66TB」
--------あらら、そういう映画もあったね。
「第10位『私の頭の中の消しゴム』67TB
第9位『バットマン』71TB
第8位『ティム・バートンのコープス・ブライド』78TB
第7位『ミリオンダラー・ベイビー』83TB
第6位『ALWAYS 三丁目の夕日』86TB」

------ニャるほどこれがあったか?だけどスゴいな、この「夕日」人気は…。
「さて上位5本。実はこの5本だけが三桁。
第5位『Mr.&Mrs.スミス』101TB
第3位『ハリー・ポッター/炎のゴブレット』102TB
第3位『シン・シティ』102TB
第2位『スター・ウォーズ/シスの復讐』116TB」

-----えっ、『シスの復讐』1位じゃニャいんだ?となるとなんだろう?」
「いやあ、今年はこの人の年でしょう。
それは『チャーリーとチョコレート工場』129TB」

------ふう~む。そう言われてみるとそうだ。
「ティム・バートンはブロガーたちの間では高い支持を集めていた。
そうそう単館系の1位は
『ヒトラー 最期の12日間』。これは46TB。
またドキュメンタリーでは『皇帝ペンギン』が43TBと、
こちらも人気が高かったよ」

-------ふうん。でもいま公開中の映画もあるし、
すぐに入れ替わりそう。

「そう。これはあくまで2005年12月30日19:50PM現在のお話。
明日にでも『ハリポタ』は単独3位になりそう」

------さて、いよいよ次は、えい個人のベスト10だね?
「あまり期待しないでね(笑)」
           (byえいwithフォーン)

※05年12月30日19:50PMのTB度
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猫ニュー

『妖怪大戦争』

2005-10-10 17:40:47 | 映画
-----この映画、まだやってたんだ。
「そう。都内ではとっくに終わってるんだけど、ちょっと遠出をね」
----三池崇史って、あんまり相性がよくないんじゃなかったっけ?
「うん。この映画を観てその理由が分かった気がする」
----どういうこと?
「監督が映画のここを見せようと力を入れるポイントと、
ぼくが観たいと思うポイント。
両者の<思い>が違うんだね」

----??????いよいよ分からない。
「その前に、
オフィシャルにこの映画のストーリーが巧くまとめられているので、
そこから引用してみよう。
『泣き虫でいじめられっ子の少年サダシが、
ひょんなことから世界を守る正義の味方《麒麟送子》となり、
日本全国に住む妖怪たちと力を合わせ、
世界の壊滅を目論む魔人・加藤保憲率いる悪霊軍団に世紀の戦いを挑む』
と、実に分かりやすい話だ。
もちろん、その中にさまざまなエピソードが織り込まれている。
その中のひとつ、もっとも感動的となるはずのエピソードが、
《すねこすり》との友情」

----《すねこすり》?へんな名前だね。
「この《すねこすり》というのは大人には見えない、
とっとこハム太郎に似た妖怪。
サダシの頭の上に乗って一緒に冒険をする。
ところが捕まってターミネーターのような
醜悪な《機怪》に姿を変えられてしまう。
自分が何者かも分からなくなった《すねこすり》と
《麒麟送子》が戦いを交える涙のシーンがあるんだけど…」

----だけど・・・?
「《すねこすり》が最初からぬいぐるみみたいな作りで、
どうみたって生き物には見えない。
表情もなければ動きも直線的。
そのためまったくこちらの感情移入ができないんだ。
これだけのお金をかけているんだから、
映画の軸をなす《すねこすり》は、
せめて『グレムリン』のギズモなみに、きちんと作ってほしかったな」

----でも、三池監督のことだから、
わざとはずしてそういうことやってるのかもよ?
「うん。それは考えた。
着ぐるみがあまりにもわざとらしいしね。
でもメッセージが意外にストレートなんだ。
《機怪》というのは、妖怪にヨモツモノが取り憑きくことで生まれるんだけど、
このヨモツモノというのは人間が不要になって捨てたものの怨念。
『モノを大切にしよう…』、教訓的な設定だよね。
また、タダシと一緒に戦う川姫は、
人間への復讐を迫る加藤保憲に
自分は人間を恨んでいるが、復讐をしたらそれは人間と同じになると拒否する。
そしてとどめは戦いがすんで、ある妖怪が言う言葉。
『戦争はよくない。腹がへる』。
エンディングは、
大人になって自分が見えなくなったタダシを悲しむ《すねこすり》の前に
加藤保憲が現れるという、これまた象徴的なものだ」

----ニャるほど、本来ならこれは子供たちに見せたくなる映画だね。
「ところが子供に見せるということに関しては、ある問題が…。
《機怪》に捕らえられた《すねこすり》が電子レンジに入れられるシーンがある。
いくらぬいぐるみとは言え、思わず目を覆ってしまったね。
その前後に妖怪たちが飛行機の翼に乗って移動するシーンがあって、
『危険ですからマネするのは…』みたいなテロップが出る。
もちろんこんなことやれるわけないから、
このテロップが冗談なのは分かるけど、
これはこの電子レンジのシーンの方にこそ必要だと思ったね。
そう考えると、やはりぼくと三池監督とは
<思い>の部分が違うという気がする」

----今日のえいは、まじめだニャあ。
「そうでもないよ。
《鳥刺し妖女・アギ》役の栗山千明のボディライン、
《川姫》役の高橋真唯のむき出しの太ももに目は釘付けになったもの(笑)」



※いろいろ出る度

※劇中のセリフは正確ではありません。m(_ _)m

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猫ニュー

『メゾン・ド・ヒミコ』

2005-09-19 00:25:36 | 映画
(※注:けっこう辛口です。犬童監督や『メゾン・ド・ヒミコ』をお好きな方は
お読みにならない方がいいかも)


------今日は、立川のシネマシティ2に行ったんだよね。
映画は『メゾン・ド・ヒミコ』だっけ?
おや、なんかイライラしてニャい?
「う~ん。どこから喋ろうか?
先日、『タッチ』を観て思ったことにもつながるんだけど…」

------確か、あのときは「『死に花』は犬童監督向きではなかった…とか?
「うん。でも覚えてるかな。
『悪く言えばサプライズに乏しい』みたいなことも言ったんだけど…
今回『メゾン・ド・ヒミコ』観てみて
『タッチ』がものたりなかった理由が見えてきた気がするんだ」

------どういうこと?
「誤解を恐れずに言えば、
犬童一心監督にはデヴィッド・クローネンバーグのようなところがある。
大ヒットした『ジョゼと虎と魚たち』の
<せつない純愛>に思わず目がいきがちだけど、
犬童監督が取りあげる素材はいつも、ある種の不全さを伴っている。
『金髪の草原』の主人公、日暮里は自分が20歳だと思っている80歳の老人。
『ジョゼと虎と魚たち』のジョゼは脚の不自由な少女。
そしてこの『メゾン・ド・ヒミコ』は同性しか愛せない老人たちだ」

-----あれれ大丈夫?それって差別で言ってるんじゃないよね?
「もちろん。そういうつもりじゃない。
むしろ、犬童監督はそのような
日常ならざるものを持ってくることで、
視覚芸術である映画における
自分の世界の個性を造形しようとしている。
そこには、そういったいわばマイノリティ、
社会から阻害されている人々への共感さえ感じ取れる」

-----あ~あ、そういうことか。
「つまり、『タッチ』がなぜものたりなかったかと言えば、
あのような明朗青春映画は、彼の描く世界とは真逆の世界。
心の悩みはさておき、社会から欠損と観られる要素は全くない。
むしろ『死に花』ではなく
『タッチ』こそ、彼向きではなかったわけだ」

-----なかなか大胆な意見だね。
確かに『死に花』も老人たちが主人公だったけど…。
でも、今回の映画にも不満があるとか?
「うん。彼の描く世界をクローネンバーグに例えて敬意を表しても、
それでもどうもあの監督の描き方、
<予定された感動に向かって言葉で結論を出す手法>には納得がいかない」

-----と言うと?
「たとえば、
ゲイのみんなが街に繰り出し、クラブで踊るシーンで、
女装したゲイの一人が酔っぱらった昔の知人に会い、絡まれ侮辱を受ける。
そこで沙織(柴崎コウ)は「あやまれ!」と食い下がる。
『えっ、なぜ?昨日まであんた自身が差別してたじゃない...』と思ってしまった。
また、やはりゲイの一人が不治の病となり、
何も知らない実家に送り返された後のシーン。
そのみんなのやり方を見た沙織がゲイたちに意見すると、
彼女をここに連れてきた春彦は
『ここはゲイが幸せになるところだ。あんたには関係ない。帰ってくれ』と言い放つ。
これも、『でも、あんたが連れてきたんだろうに…』と
思わずスクリーンに向かって言いたくなってしまった。
こういった、本来なら感動的であるはずのシーンが、
途中の感情の動きの説明なしに突然出てくるため、かえってしらけてしまう。
クライマックスであるはずの父親(田中)の『あなたが、好きよ』もそう。
このセリフは、あたりまえすぎて読めてしまう。
それでいながら映画を観る限り
『でもいつ、そんな気になったの?』との疑問が拭えない。
いずれも<感動>のために作ったシーンという感じなんだ」

-----なんか、言い過ぎじゃない?
「それに、ぼくがこの監督を苦手なのは、その性愛シーン。
『金髪の草原』の初体験の後の朝、
『ジョゼ虎』のラブホに行く前のジョゼの台詞、
『死に花』の(かつての日活アイドル)松原智恵子のセックス...。
今回は台詞、キスを始め、生々しすぎてとても書けない」

-----でも、この映画、なかなか評判いいようだね。
「うん。そういう評判のいい映画について書くのは勇気がいる。
好きな人はそんな悪評、目にするのもいやだろうしね。
だから最初に断り書きを書いたわけだ。
ただ、試写で観ていたんだったらスルーするんだけど、
今回は映画館で公開後。思い切って書いてみたわけさ」


(ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
この作品はきついこと書きましたのでこちらからTBはいたしません。
TBをいただいた方のみ、こちらからもお返しをさせていただきたく思います)

       (byえいwithフォーン)

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猫ニュー



『ノロイ』

2005-08-21 20:59:38 | 映画
-----実は、この映画、えいは約2ヶ月ほど前に観ていながら
あえて書くことを選ばなかったらしい。
その理由は、映画の宣伝展開が<事実>を強調しているからだという。

その内容とは
“一人の怪奇実話作家が<ノロイ>をテーマにした
ドキュメンタリーの最新作を完成させたものの、
その直後、作家の自宅は全焼し、妻が遺体として発見され本人は失踪。
そして<ノロイ>と名付けられたその作品は、
内容があまりにも衝撃的なため発売が見送られ、
映画という形でそれを再現した”というもの。

つまり、この映画はそれを<事実>とすることで観る者をあおっているわけだ。
えいはそれを<フィクション>と思ったものの、
<事実>か<創作>かについて書くこと自体、
すでにこの映画の宣伝戦略に乗ってしまうことになる....
そういう理由からだったようだ。

映画もようやく封切られた現在、
えいは、当時、同じくこの映画を観た映画ライターの人との
メールのやりとりを引用することで
この映画に対して、書くことを決意した(そんな大げさなものか!?)という。
さてその内容とは?   
                 (byフォーン)

フォーンありがとう。それではいきます(byえい)
まず7月1日、Aさんから次のようなメールが来ました。


「今日『ノロイ』観てきました。
えいさんはまだでしょうか?
信じるかどうかでその人の感じる怖さは違ってくるかと思うんですが・・。
後半は気味が悪くてどうしようもありませんでした。
あれ全部真実なんでしょうか・・・。
それ以前に、あれ公開していいんですかね?!問題ありすぎな気が。」


ん?これ、どういうことなんだろう?
それ以前に、この映画、とにかくヤバイ匂いがする。
試写状は不気味な殴り書きで実におぞましいし、
しかもスタッフもキャストも書いてない。
なんか、観るの怖いな。と、思いつつAさんに出したメール。


「まだ観てません。
どうしよう、耐えられるかな(怖がりです)。」


「恐いかどうかは微妙なんですが・・。
バカらしいと思う人も居るかもしれないですし・・。
ただ、私にとっては恐いというより意味不明で気味悪かったですね。
自殺者の死体を発見した瞬間や、失踪したという小林氏の家が火事になる
瞬間が全部カメラに映っているのですが、あれって公開していいんでしょうかね・・・。」


このメールを読んでいよいよ怖くなりました。
で、勇気を出して観た日。
帰ってきてからAさんに出したメールが以下のとおり。
これがその日のぼくの正直な気持ちです。


「『ノロイ』観ました。
いやあ、とんでもない映画ですね。
他の映画と同一線上で語っていいのかどうか?

観た直後は,さすがに怖かったです。
特に森の中の霊や,
最後に送られてきたビデオに霊が映ってるところ。

ただ、後で考えてみると
フェイク・ドキュメンタリーの可能性も捨てきれない。
「一部,新たに撮影した」と書いてありましたが,
どの映像も,故人の名誉や人権に引っかかってしまう。
もちろん肖像権も含めて,名誉侵害の恐れアリです。
それなのに、ここまで堂々と出して問題が起きないのだろうか?

でも、この映画については「ラムの大通り」で語ることを止めておきます。

と言うのも、どなたかが書いてられましたが
バイラルマーケティングの手法なのかもしれないからです。
それに乗っかってしまうのは、立場上,ちょっと問題のような気も。
プロデューサー、一瀬隆重はそれを計算して
ずいぶん前から仕掛けていたとも考えられますし,
こうやってぼくたちが「真偽」を話すことで,
すでに話題作りに加担してるとも言えます。

フェイクの疑問点は他にもあって,
(1)取材を受けた登場人物がみんな劇団員のような、
   ある程度整った顔と,しっかりした喋り方をしている。
   とちったり,くぐもったりということがない。
(2)もともとビデオ用に撮ったにしてはサイズがスタンダードでなくビスタ。
  (もちろんこれは最初からそう言う機材で撮った可能性もありますが)
(3)カメラが倒れたりしても対象をフレーム内にしっかり収めてる...。

なんとなく『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出してしまいました。

でも、監督が失踪して,実家が燃えて、奥さんが亡くなられて...というと、
こういう見方も弱くなるのですが....。
どちらにしろ,後味悪い映画でした」


というのが、観た直後のぼくの見解。
つまり、映画としてみた場合、これが「ドキュメンタリー」としては
あまりにも不自然ではないかと思ったわけです。

この後、さまざまな掲示板等でこの映画の真偽が騒がれ出しました。
その代表的なものが「2ちゃんねる」【かぐたば】ノロイ【真実?作り話?】


もちろん映画はその時点でまだ公開されてはいなかったため、
これら掲示板ではネットでの展開方法からの推理が主たるものとなっていました。
そこには、
奥さんの死の原因となった火事がなかったことなども、調査で明らかにされています。
このような宣伝の真偽面から、この映画の真偽を語ってもいいのですが、
やはり映画は内容勝負。
と言うことで、宣伝の裏側を詳説するのはやめておきます。

でも最初に書いたように、この映画をぼくが怖がったのは確か。
ま、不気味といった方が近いですが...。


※今回はAさんにご協力頂きました。ありがとうございました。
なお、コメント欄に追補を書いてありますので、
そちらもあわせて読んで頂けると幸いです。


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猫ニュー

「ムービーバトンなる企画に参加(回します)」

2005-08-19 20:51:19 | 映画
『コウの鑑賞人blog』さんから回ってきたムービーバトン。
参加させていただきます。

質問:1 「過去1年間で一番笑った映画」 
答え:1『ドッジボール』

笑った映画と言われて即座に思いついたのがこれでした。
最近の『釣りバカ日誌』なんかもバカバカしくて好きですけど。

質問:2 「過去1年間で一番泣いた映画」
答え:2『いぬのえいが』

ほんとうなら『マラソン』や『ミリオンダラー・ベイビー』、
日本映画なら『パッチギ!』をあげると格好がつくのですが、
涙が一番出たという意味では、この映画のラスト・エピソード『ねえ、マリモ』。
しかし、これはペットを飼ったことがある人にしか分からない反則技ですね。

質問:3 「心の中の5つの映画」 
答え:3『ラムの大通り』『映画に愛をこめて・アメリカの夜』『卒業』
    『シェルブールの雨傘』『八月の濡れた砂』

映画やヒロインへの<まなざし>を描いた映画が好きです。
そういう意味では『ロイ・ビーン』『ボギー!俺も男だ』なども入ります。

質問:4「観たい映画」
答え:4

もしフェデリコ・フェリーニがまだ生きていたら、CGを使ったのだろうか?
彼が現代のSFXを映画に取り入れた映画を観るのは、観てみたいような、
観ない方がいいような...。
あっ、ピーター・ジャクソンが『ホビットの冒険』を作るとのことで、
それは観てみたいです。


では、次にバトンをつなぐ方をご紹介致します。
『まつさんの映画伝道師』さん よろしいでしょうか?
ご迷惑でしたら無視してください。
(でも個人的にスゴく興味があります)
既にバトン(たすき)回されておられるようでしたら スルーして下さい。

・アンカーを走ります宣言もOKです
・次の方は何人でもOK
・ご面倒でしたらスルーして下さい
・記事をUPされた際にはトラックバックをお願いします

                  (byえい)

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猫ニュー

『リンダ リンダ リンダ』

2005-08-16 23:49:06 | 映画
-----やっと行けたみたいだね。
周囲の評判もよく、観る前から期待が高かったようだけどどうだった?
「これは間違いなく、今年を代表する一本。
観ている間中、息を呑んでスクリーンから目が離せなかった」

-----どこがそんなによかったの?
「物語そのものはシンプルなんだ。
文化祭でライブをやる予定だった女子高生バンドが、
ギタリストの負傷で分裂寸前になる。
そんな中、キーボード担当だった子がギターに回り、
韓国からの留学生をボーカルに迎え、練習を始めるというものなんだ」

----ボーカルはぺ・ドゥナだっけ。彼女の演技が評判だよね。
「うん。監督は『ほえる犬は噛まない』『子猫をお願い』など
これまでのぺ・ドゥナの主演映画をよく研究したんだと思う。
この映画は彼女自身のキャラクターが見事に生かされている。
でもぺ・ドゥナに限らず、他の女の子たち、
前田亜希、香椎由宇、関根史織も好演。
二度とは帰らない青春の一時期、その一瞬の輝きを、
フィルムの中に移し替えることに見事に成功している」

-----移し替えてるって、どういうこと?
「『映画は青春を描くもの』----
これは『パッチギ!』の井筒監督が言っていたことなんだけど、
ぼくはこの考え方に、ある意味で納得するところがあるんだ。
映画とは、俳優という<素材>の中から、
その人だけが持つ固有の<輝き>を掬いあげフィルムの中に封じ込めようと言う、
大胆な野心から始まっているという気がする。
演出だの、脚本だの、演技だのは、
その野心を満たすための補助的な手段にすぎないのではないかと...」

-----そ、それは言いすぎだ。ヤバイよ。
「ま、いいじゃない。これはぼくの感じ方。
なぜ、この映画がぼくをあそこまで感動させたかを考えると、
そこに行き当たらざるを得ないんだ。
つまりこの映画では、変に演技を付けていないからこそ、彼女らは輝いた。
近年では『がんばっていきまっしょい』がそうだった」

--------そう言えば、あの映画の田中麗奈はよかったよね。
「うん。あの田中麗奈の仏頂面----。
あそこには青春の理由なき不機嫌さがあった」

------そういえば、この二本には似たところがあるんだって?
「『がんばっていきまっしょい』では、
高校漕艇部の仲間たちが、
いつかこの日のことを思い出すときがくるんだろうか...と語り合う夜がある。
この『リンダ リンダ リンダ』でも、メンバーの一人が、
演奏そのものよりも、こういった練習や準備にかける時間の方が
将来、思い出として残るのではないかと語る。
ただ、他のみんながその話を軸に感傷を深めていった
『がんばっていきまっしょい』に対して、
『リンダ リンダ リンダ』では他のメンバーがそれを茶化したりする。
ま、ある意味、いま的ではあるけどね」

------映画自体もそうなのかニャ。
もしかして本番よりも練習のシーンの方が、より感動的とか?
「そうなんだ。もっとも印象に残っているのは、
だれもいない夜中の構内を、ヒロインのソン(ぺ・ドゥナ)が
日本語で文化祭の出し物の説明をしながら歩き、
ライブ会場の体育館へ向かうシーン。
壇上に上がった彼女はメンバー紹介の一人芝居を始める」

------それも日本語?
「いやいや。留学生の彼女はそれまで友達ができない中、
一人自分の中にこもっていた。
そんな彼女に初めて仲間ができたわけだ。
喜びの感情を爆発させるここは、当然に自国語だ」

------ニャルほど聞けば納得。
「メンバー4人が土手を歩く。それを長回しでカメラが捉える。
それだけで観る者の感情を揺さぶらせる監督の演出手腕も秀逸だけど、
古典的とも言える脚本の巧さも忘れてはならないと思う。
この手の映画というのは、途中、何かの障碍があって
最後はそれを乗り越えて至福のクライマックスへ向かう。
ここではその障碍をメンバー間の感情的な諍いには求めず、
<時間>と<雨>に、その役割を与える。
練習の疲れから寝すごしてライヴの時間に遅れてしまったメンバーを土砂降りの雨が襲う。
しかし、この雨によって人まばらだった体育館は
濡れるのを避けた生徒たちでふくれあがってゆく。
雨と言うひとつの自然現象に両義性を持たせる、これまた巧い」

-----聞いていると、大絶賛だね。音楽や演奏はどうだったの?
「そっちはぼくの専門外だから....。
でも、音楽、しかも歌をモチーフにするということは、
その映画では<声>が重要な意味を持ってくるわけだ。
ここでは、湯川子音の澄んだ声、山崎優子のハスキー・ボイスが、
もう一つのドラマを作っていた。
いやあ、つくづくよくできた映画だわ」

         (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

お盆特別企画:太ったあの人、痩せたこの人。

2005-08-13 23:48:20 | 映画
お盆と言うことで、いつも頑張って相手してくれるフォーンにも
少し休みをあげることにしました。
そこで、一人でもできるこの企画。
題して
[お盆特別企画:太ったあの人、痩せたこの人。]
さっそく発表です。

+25kg ロバート・デ・ニーロ    レイジング・ブル
+20kg ウィル・スミス       アリ
+20kg ラッセル・クロウ      インサイダー
+15kg エドワード・ノートン    アメリカン・ヒストリーX
+13kg シャーリーズ・セロン    モンスター
+ 6kg  レニー・ゼルウィガー    ブリジット・ジョーンズの日記

-18kg  マット・デイモン     戦火の勇気
-23kg  トム・ハンクス      キャスト・アウェイ
-30kg  クリスチャン・ベール   マシニスト 

 
※実はこれ。もうすぐリリースのビデオ(『マシニスト』)の注文書に
載っていたものなんです。
宣伝にもなるわけだし、おそらく著作権的な問題は起こらないと思いますが…。      

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