ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『サイドウェイ』

2005-02-06 12:56:46 | 新作映画
-------むむっ、なんだか昨日はお話がなかったような気が...。
「いやいや、それは.....フォーンがぐっすり寝てたから。
起こすのが悪かったからね.....」

-------なんか歯切れが悪いにゃあ...。まあいいか。
ところで今日の映画は何なの?
「『サイドウェイ』、今年のアカデミー作品賞の
有力候補の一つとして急浮上している」

------地味そうな映画だね。
「そうなんだ。20世紀フォックス映画の中でも
主に作家性が強い作品を扱っているフォックス・サーチライトの作品。
それでも本国アメリカでは、フォックス・サーチライト史上、
ナンバーワンの興行収入を記録しているらしいよ」

-------『サイドウェイ』って“寄り道”のことでしょ?
これは人生の寄り道のこと?
「うん。主人公は離婚のショックから立ち直れないでいる作家志望の男マイルス。
ワイン通の彼は、結婚を目前に控えた友人ジャックと連れだって
カリフォルニアのワイナリーへとワイン・ツアーに出かける。
ところがジャックは少し落ち目とはいえ現役の俳優。
女の子をナンパすることしか頭にない。
そんなふたりの前に、ワイン好きな女性マヤが現れて....」

-------えっ?ということはその女性をめぐるシビアな三角関係が生まれるの?
「いやいや、そうしないところがこの映画のよさ。
好感が持てるところ。
マヤが自分よりマイルスに気があると見抜いたジャックは、
マイルスにマヤへのアプローチをけしかけ、
自分はマヤの友人ステファニーをナンパする。
一方、マイルスとマヤの関係はじっくりゆっくり。
でもそんな彼らにもやがて愛を交わすときが訪れる。
ところがジャックが目前に結婚を控えてることがバレたことから
楽しかった休日が.....というお話さ」

-------ふうん。たいした話でもないし、
有名なスターも出ていない。
どこがそんなに評判になったんだろう?
「この手の映画を評するとき、一番使われるのが
“熟成したワインのような味わい”という言葉。
ぼくはそんなヴィンテージもののワインなんて飲んだことないし、
とてもそういうことは言えない。
それでも、観終わったときよりも、こうして喋ってるときの方が、
いろんなシーンが脳裏に甦り、
わずか2日前の映画なのにもう懐かしささえ感じる。
陽光を受けて一面に広がるブドウ畑、草の上のランチ、ワイナリーでの試飲。
それらは日曜日とかに山梨のワイナリーに行けば手に入る程度のこと。
でも、小さなその“寄り道”をしたからこそ、
目にできる風景もあれば、出会いもある。
そしてその小さな出来事の一つ一つが、
新たな自分の発見にもなり、一歩を踏み出すきっかけともなる。
そう、この映画は、人生のどんな小さな寄り道にも意味がある。
つまりは人生はすべてに意味があるということを、丁寧な画の中に描いているんだ。
そして、それは決して特別なことではなく誰にでも起こりうること....。
おそらく監督はそんな意味を込めて
この比較的無名なキャスティングにしたんだと思うよ」


(byえいwithフォーン)

※人生晴れたり曇ったり度


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