なんとまだ終わってませんでした紅楼夢レビュー。
もたもたしてると次の紅楼夢が始まってしまうぞマジで……。
・稗田阿求29歳合同 明日死ぬかも 稗田阿求30歳合同 明日死んでも?(第五惑星開発無計画)
まあこの2冊は実質合わせて一つの物語なのでセットでレビューします。
この合同誌は2冊合わせて初めて完成形だよね。
タイトルの通り、29歳を迎えた阿求、そして御阿礼の子の寿命とされる30歳になった阿求の物語を収録した合同誌。
収録作品もそのほとんどが続いているので、29歳、そして30歳という運命の年月を重ねてきた阿求の2年間を垣間見たような読後感でした。
阿求はいわゆる「短命を運命づけられている」「人生のほとんどをお役目に費やさなくてはならない」という典型的悲劇設定のキャラなわけですが、鈴奈庵での暴れっぷりを見るにつけ、こいつほんと人生楽しんでるなあ……と言った感じです。
本作に収録されている物語でも、阿求はしぶとく図太く楽しく生きていました。
その方向性もさまざまで、お役目から完全に開放されてアマゾネスと化したり、彼女にしかできない方法で幻想郷に異変を起こしたり、なんかもうほんとやりたい放題だな。
そして成長した阿求を取り巻く、時間の進んだ幻想郷とそこに暮らす人々の姿もまたそれぞれで印象的。
さすがに作品全てに感想をつけるのは難しいので、印象に残った作品に一言感想を。
「明日死ぬかも」収録
・10956日
素直に自然に「生きたい」という欲を表現する阿求の姿が印象的。
・七人の霊夢
実質阿求VS幻想郷とも言えるバトルもの。
阿求にしかできないケンカの売り方だよね。
・来世TOD
これがすべて盛大な伏線だったとはこの海のリハクの目を持ってしても見抜けなんだわ。
・HIEDA Revolution
これも全部伏線だったんだよなあ。
こうして2冊いっぺんに通して読むと、「明日死ぬかも」収録作品はほとんどがいわば「溜め」「仕込み」だったことがわかります。
「明日死んでも?」収録
・うづみ火の。
ナンデ!? アマゾネスナンデ!?
でもわんぱくでもいい、たくましく育ってほしい。
・阿求さんと恋する幻想たち
いや実際阿求は人間の領域を半歩踏み出してる存在なのでこういう騒ぎになってもおかしくはないとは思いますが、戦車はやりすぎだと思います。
・知行合一ハウスワーク
「でも最近やりたいことが多くて、物忘れがひどいんです」このセリフのなんと幸福なことか。
・野に咲く花のように
老いた阿求のこの生き様よ。
老いた阿求の姿はそれだけで胸に迫るものがあります。
・HIEDA Revolution
「ライブ感が違うわ」このセリフが素晴らしい。
・阿求は遠いところから来た
タイトル賞はこの作品に差し上げたい。
阿求と小鈴の距離感の表現が好き。
・ふぉーげっとみーのっと
実は「明日死ぬかも」からの仕込みも含めてこの作品が一番好き。
転生する御阿礼の子である阿求と、長命な妖怪である小傘の、とびきりの悪ふざけって感じ。
今日はここまで。