A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

寄生獣見てきました。

2015-01-08 19:54:08 | それさえも平穏な日々

 こないだからやってるニコ動のアニメ版寄生獣イッキ見してたら、やはりというかなんというか実写版の方も見たくなってきたので見てきました。
 さて感想なんですが、期待値をかなり低めに持っていたのを差し引いてもなかなかの出来だったと思います。意外に悪くなかった。予想外の出来。
 以下、感想を良かった展と悪かった点に分けて書いていきます。

・良かった点
 まず「おおっ!」と思ったのが尺の詰め方。
 シンイチの父がすでに死んでいる、信子を殺したパラサイトとAが同一人物という設定改変によってうまいこと尺を詰めている。
 原作でのシンイチが母の仇のパラサイトを探しに行くエピソードは確かに重要なポイントなんだけど、2部作の映画でそれ入れるとなるとかたきを討つまででまるまる映画1本分は消費してしまうだろうからなあ。
 そして、A襲撃と島田暴走のエピソードをひとつにまとめたのもうまい。
 この2点で、単行本がある程度の巻数出ている漫画の実写化の失敗ポイントのお約束である「尺が足りない」をうまく解決できていると思います。
 完結編はたぶんまるまる市役所での自衛隊VS広川一派となると思うし。
 宇田さんのエピソードが削られたのはもったいなかったけど、ここはまあしょうがないかな。
 完結編では加奈のエピソードも多分削られてるだろう。
 また、染谷将太演じるシンイチも予想以上に良かった。
 ミギーの言動にうんざりするところは笑えたし、村野とのやりとりも微笑ましくて好き。
 そして、秀逸だったのがAの自宅襲撃時と学校での島田の殺戮現場を目撃したシーン。
 ここの取り乱し具合、そして目撃シーンの時のそこからの回復はかなり真に迫ってて素晴らしかった。
 また、実写版の村野のほうが個人的に好き。アニメ版はちょっとおとなしすぎやしないかという印象があったので。
 シンイチにちょっかい出してるとことか好き。
 また、島田暴走時に間近にいて殺されそうになる描写が追加されたのは良改変。
 深津絵里演じる田宮良子も悪くなかった。
 特に、劇中しばしば見せる、なんというか「表情になりきれてない表情」が印象的。
 またパラサイト側のキャラとしては、島田が面白い改変をされてたな。
 立場は原作島田でキャラは原作三木という。
 この実写版島田はなかなかいいキャラに仕上がってたな。
 正体バレのシーンも良かった。
 で、この作品の主人公の一人であるミギー。
 以前予告編で声付きのを見た時はかなりの違和感を覚えたものの、実際に見てみるとそれほど悪くない……気がする。
 特に冒頭部分でのシンイチとのコミカルなやりとりは、ミギーのすっとぼけた感じが出ててよかった。
 あと、完結編での重要人物になりそうな平間警部補だけど、今作では関西弁のベテラン刑事になっててこれはこれで、って感じ。

・悪かった点
 うーん、やはり改変点にはいまいち、というか違和感を覚えたところもありました。
 まずシンイチが最初に遭遇したパラサイトである中華料理店の主人の行動。
 店に入ってきたシンイチたちに人肉を薦めるシーンはユーモラスではあったものの、パラサイトの行動としてはかなり不自然だった。
 次にミギーの造形。
 自在に形を変えることができるミギーですが、実は実写版では一つ目と小さな両手の基本形、人差し指に目玉、両手が刃になった戦闘モードの3つ以外の形態はほとんどとってないんだよな。ここはちょっと残念。
 またミギーの言動がかなり感情的なのも違和感が。
 特に会話の際に身振り手振りがかなり多いのが非常にらしくないというか、悪い意味で可愛さを出してしまってるというか。
 コミカルなシーンではこの特徴はいい方に働いてたと思うけど、シリアスなシーンではかなりらしくなく見えてしまう。
 戦闘シーンも迫力はあったものの、やはりちょっと違和感が。
 細かいところなんだけど、人間部分が勢いをつけて触手を振り回すって動作がなんか違うなーと。
 原作及びアニメ版みたいに、人間部分は棒立ちで寄生部分のみが超高速で……という方が、「化け物同士の戦い」感が出てていいと思う。
 そして……多くの人が「これはねーよ」と思ったであろう、Aに寄生された信子の体が、シンイチへの攻撃を妨害するというシーン。
 こういうシーンがあるってことは実はtwitterとかで流れてきた感想で知ってたんだけど、思ったほど鼻につく感じではなかったにせよ、やっぱり本作でいちばん余計な改変であることには変わりないよな。
 これ以前に、Aとシンイチが最後に戦うシーンのシチュエーションもかなり不自然なんだよなー……。
 火傷云々も、原作及びアニメ版ほど効果的に印象付けられてなかったと思う。
 あれはシンイチに説明させちゃダメだろ……。
 尺を詰めるって側面ではうまくいってるAが信子に寄生したって展開だけど、このへんで齟齬が出てる感じ。
 あと、「命令」云々のセリフを田宮良子でなく後藤に言わせたのは失敗だと思う。
 あのセリフを言うのは絶対田宮良子でないといけないだろう。
 本作最後にシンイチは、一連の事件を経て、パラサイトを全滅させるという目的に到達するわけだけど、これもちょっと違うかなーと。
 そもシンイチの心理的な変化はミギーと混じったことに起因するものなはずだけど、実写版だとむしろ身近な人間が殺されたり危険にさらされたりしたことにに対する怒りがそうさせたように見えてしまうんだよな。
 まあそっちのが動機付けとしてはシンプルでわかりやすいとは思うけど。

 こんな感じかなー。
 冒頭にも書いたとおり、思ってたよりはだいぶ良作ではあったので、完結編も見に行こうとは思ってます。

コメント
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