去年に引き続き、さまざまな同人ゲームが一同に介するイベント「ゲームパビリオン」、今年も開催されるということで参加してきました。
会場は前回と同じく梅田スカイビル10階のアウラホール。電車一本で簡単に行けるのがありがたい。関西に引っ越してきたことのメリットがさまざまなイベントに気軽に参加できるようになったことですね。
開場は11時でしたが、コミケみたいに混雑するでもないのでお昼すぎからゆっくり行くことに。前回は企業が多かったようなイメージですが、今回は一般サークルの比率が大きかったように思います。
今回もたくさんのゲームを試遊させていただいたほか、twitter(頑なにXとは呼ばない)にてレビューを送らせていただいた方にも直接お会いすることができました。
それでは、前回と同じく試遊したゲームの感想をまとめていきます。
・Revolgear Zero体験版(びっくりソフトウェア)
「グレイズカウンター」を制作したサークルさんの新作は、同じく譲許に合わせて多彩な武装を使い分けていく横STG。
自機には攻防一体の装備「ビット」があり、これを状況に合わせて分離・合体させることで強力な攻撃で硬い敵を一気に倒したり、雑魚の編隊をなぎ倒したりするという戦略性の高さが魅力。
前作に当たる「グレイズカウンター」でも感じましたが、びっくりソフトウェアさんのSTGは「問題(状況)に対して複数の回答(行動)を選べる」という点を非常に重視していると感じられます。本作ではノーマルショットの他にゲージを消費して放つ強力なレーザー「サンダーランス」、ビットを切り離して投げる「ビットシュート」といった攻撃手段がありますが、どれもリスクとリソースがありただ単に撃っていればどうにかなるというものではありません。そこをどうするかが戦略性なわけですが、その戦略的な行動にプレイヤーをうまく誘導するためのガイドとなっているのが敵配置なんですよね。
ゲーム中にはいちいちここでこうしろああしろというメッセージが表示されるわけではありません。しかし、敵配置を工夫することでプレイヤーを誘導することができるわけです。特に攻撃手段が多いSTGは、システムに習熟するまではどこでどの攻撃を使えばいいのかわからないといったことも多いもの。しかし本作は自然に場面ごとに有効な攻撃を理解できるようになっている、いわば非常に優れたおもてなし精神がある作品だと言えるでしょう。
・鬼ヶ谷いんくらいん(求道庵)
「インクライン」とは傾斜鉄道のこと。本作は、武具を奪われた退魔師を操って鬼を抱え上げ、傾斜鉄道に乗せて鬼を封印できる魔法陣のところにまで運ぶという一風変わったシステムの3Dアクションゲーム。
敵となる鬼には赤・黃・青の3種類があり、それぞれの攻撃はジャンプ、しゃがみ、距離を取ることでかわせるという仕様になっています。プレイヤーには直接攻撃手段がないので、鬼の種類によって回避手段を使い分けつつ鬼を抱え上げ、インクラインに放り投げます。
このゲームのキモとなるのはここから、インクラインの乗降口が閉じて魔方陣がある階上に到達するまで、プレイヤーは狭いインクライン内でひたすら鬼の攻撃を凌がなくてはいけません。ここで堅実に1体ずつ鬼を運ぶか、リスク覚悟で一気に数体運んでしまうかという選択が生まれるのが面白いところ。今回プレイしたところでは残念ながら魔法陣に辿り着く前にゲームオーバーとなりましたが、おそらく熟達していくと3体4体同時に運べそう。
あと今この感想を書いてて、違う種類ではなく同じ種類の鬼を集めたほうが安全かつ大量に運べるのでは……?と今更気づくなどしました。
・点睛-TENSEI-(ProjectPegasus)
空中に浮いた足場や山の頂上を、3段ジャンプやバウンドといったアクションを駆使して上へ上へと登っていくアクションゲーム。
本作の最大の特徴と言えるのが水墨画調のグラフィック。すべてのグラフィックが筆で描いたようなモノクロになっており、それがこのゲームの雰囲気と非常によく合っています。ゲーム自体は前述の通り各種アクションを使って上を目指していくという「動」のゲームなんですが、この水墨画調のモノクロの画面は明らかに「静」のもの。ゲームパビリオン公式ページの紹介ページにも「煩忙な日常を離れ、無心になれるひとときを提供します」とあるように、不思議な静けさを感じられるゲームです。
そして、前言を覆すようですがその「静」の中にも「動」があるのが奥深いところ。プレイヤーキャラは黒くて丸い球体なんですが、ジャンプを繰り返すごとにウサギやカエル、鳥といった動物に姿を変えます。そして空中のリングを一定数くぐり抜けることでまさに画竜点睛、龍と成る!
龍になったプレイヤーは龍の勇壮さそのままに、空中を一気に駆け上ることができます。これすごく好き。ゲーム的なメリットと画面の美しさが同居してるのがいいですね。
・RE_ACTOR体験版(きゅぷらぼ)
「デッド・インヴィトロ」を制作されたサークルさんの新作体験版。基本は前作と同じく弾幕系STGで、モードを切り替えることでゲージを消費して放てる強力な攻撃であるパワーショットが特徴。さらにノーマルショットとは別に近距離を攻撃しつつ敵をロックオンするアタックがあり、積極的に前面に出ていってガンガン敵を倒していくプレイスタイルが非常に爽快。
プレイした感じではボス戦に大きく比重を傾けた作りになっていると感じました。継続的な高火力で攻撃してくるボスに対して、こちらは瞬間的な高火力で対抗するという対立構図がいい。
また、グラフィックが非常にシンプルかつカラフルなのでアイテムジャラジャラ感がありつつも画面のごちゃつきが感じられにくいのが良かったです。
・RAYGING BLUEアナイアレーション体験版(sectionS)
ノーマルショットとパワーショット、そして自機を一定時間大幅に強化する「覚醒」を使い分けて進んでいく縦STG。
覚醒は再使用までのスパンがかなり短いので、遠慮せずにガンガン使っていける感じです。自機は3種類でキャラも設定されており、覚醒使用時にはカットインが入るのがキャラを前面に出してて好き。またゲーム中では敵を連続で倒していくコンボ数もあるので、どこで覚醒を使うかを考えるのが楽しそう。
PVによれば、全6面の第1部と熟練プレイヤーに向けた第2部の2部構成となっているようなので、完成版ではかなりのボリュームが期待できそう。
・MACHINA X GHOST(KT.SOFTWARE)
本作はかつてはちょくちょく見かけられたものの、現在ではほぼ絶滅したと見られている全方向任意スクロールSTG。
全方向STG自体はまあまああるかも知れませんが、本作の舞台となるのは宇宙空間や空中ではなく敵基地の中。プレイヤーは区画に分けられた敵基地内をレーダーを頼りに探索していきます。レーダー内に赤い点で示された大型の敵をすべて倒すとボスエリアへのゲートが開きボス戦という流れです。このタイプのSTGが令和6年のこの世で開発されているというのはもっと周知されるべき。
特徴的なシステムとしては、敵のビーム系攻撃に対しては完全無敵のバリアを張れると言う点。ミサイルなどの実弾兵器は防げないので、敵の攻撃を躱すか防ぐかという判断が戦略の鍵を握る感じです。
このバリア、右スティックでショットを撃つのを止めると即座に展開され、時間制限もないというかなり思い切った仕様。一見無敵のように思えますが前述の通り実弾兵器には無力なので、一瞬の判断で敵の撃破かシールド防御かを選ぶのが面白いです。
その面白さが顕著に現れるのがボス戦。何段階もの多彩な攻撃パターンを備えたボスに知恵と工夫と一瞬の判断で立ち向かうという構図になるのがとてもいい。
・REDNEG ALLSTARS SWING-BY EDITION体験版(あうとさいど)
「コスモドリーマー」「ライクドリーマー」を制作されたサークルさんの新作は、かつてフリーゲームとして配布されていたボスラッシュ系STGのフルリメイク。
道中をばっさりカットしてボスラッシュオンリーにしたことで全2作とは全く異なる方向性を打ち出してきた本作、プレイ感としてはアクションゲームに近い感じがありました。そして相変わらず敵弾やアイテムの視認性がすこぶるいいので、対戦相手のバラエティ豊かな攻撃をストレスなく楽しめます。また、ボスラッシュオンリーということでキャラクターも多いので、どんなキャラが出るのか楽しみ。
・GRAND CROSS ReNOVATION(ES4/EternalSphere4)
もうすでに製品版をプレイしてレビューも書かせてもらっている作品。
いわゆる横画面縦シューは横方向の移動距離が必然的に長くなるので、敵を撃ち漏らしやすいということが多くなる傾向にあります。
本作の超強力な武装である「太陽剣」は、ただ単に強力な武装と言うだけでなく横や後ろの敵にも瞬時に攻撃できるという点でも非常に重要なシステムとなっています。また、STGは当然のことながら「自機前方に弾を撃つ」という固定観念がありますが、太陽剣のおかげで文字通り縦横無尽に攻撃し縦横無尽に攻撃されるという構成が成立してるわけですね。
また、こうしたイベント会場で見ると顕著なんですが本作は画面が派手なので目立つ目立つ。その証拠にかなり長蛇の列ができていました。来年のイベントではぜひとも75インチの4Kモニターを持ち込んで頂きたい。
・精霊機 エレクファルター体験版(Project rolling Gunner)
名前で分かる通り、「ローリングガンナー」を開発したサークルさんの新作縦STG。今回は世界観をガラッと変えてファンタジー系となっています。
自機であるエレクファルターには2種類から選べるオプションが装備されており、自機の動きに合わせてショットの角度を変えることで前方以外の方向にも攻撃可能。そしてボムに加えて一時的なパワーアップシステムも備えているので、かなりきつめの弾幕に対しても耐えられる仕様となっています。本作もガンガン攻めてアイテムを稼いでいくスタイルのSTGで、ローリングガンナーで遺憾なく発揮されていた美しいグラフィックと合わせて爽快感のある仕上がりとなっています。
STGの魅力はたくさんあると思いますが、爆発が美しいSTGはいいSTG。特に本作のボス撃破時の爆発は、一瞬ディレイがかかるところも含めてとてもいい。完成版では美しい爆発とボスの華麗な死に様で魅せてくれることでしょう。
・デビルブレイド リブート体験版(SHIGATAKE GAMES)
精緻なドット絵に熱いBGM、そして敵に接近することで倍率がかかるスコアシステムとどこまでも硬派なSTG。
われわれオールドゲーマーはドット絵を拝めば手を合わせ、ラスタースクロールを拝めば咽び泣くわけですが、本作のドット絵はまさに「頂点を極めた」という表現がふさわしいもの。スクショだけでもその素晴らしさは五体投地モノですが、これが動いてるさまを見るとさらにその凄さが分かるというもの。
自機や敵キャラはもちろんのこと、炎に浮かび上がるビル街や迫りくるレーザーなど鮮やかに描写されており見ているだけで泣けてきます。
そして今回の試遊版で驚いたのが、ボス撃破後の演出。本作は前述の通りすべてのグラフィックがドット絵で描写されているんですが、ボス撃破後に方向を変えてアップになるシーンの自然さに驚きました。これをドット絵で表現してるのすごすぎる……。完成が待ち遠しい1作です。
・夜光蛾9試遊版(あきら小屋)
血と肉と骨のいのち輝くSTGを精力的に作っているサークルさん、今回は最新作である「夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち」に加えて、次回作となる「夜光蛾9」の試遊版をプレイさせて頂きました。
これまでの作品でも、あきら小屋さんでは「攻めの姿勢」「シンプルさ」「避けを強要しないスタイル」を前面に出したゲーム作りをされていましたが、本作はその中でもシンプルさを突き詰めて、なんと自機の武装はボムすらないショットのみ。両側のオプションの方向を前後左右に切り替えつつ360度から襲ってくる敵を倒していきます。
いきなり画面後方から出てくる敵に後ろショットを当てるという場面があったりしてなかなか面食らいましたが非常にシンプルなので慣れてくると楽しい。STGはシステムが複雑化しすぎると何がどうなってるのかどの武装をどこで使えばいいかわからなくなってしまいがちですが、ここまでシンプルになるとSTGのプリミティブな楽しみである「撃って稼ぐ」を純粋に楽しめるので、なんというか麺とスープの旨味で味あわせてくれるラーメンと言った感じです。
……といった感じで会場ではさまざまなゲームに触れさまざまな方とお話できました。しかし我らにはその先がある!
というわけで次は危険なトークが満載の打ち上げ編だ! 待て次回!