字の書き初めもしたことだし、
ここらで絵の描き初めもしておこうと、紙に向かった。
さあて何を描きましょうかと、
折々にメモっておいた携帯のメモや
自分のブログを参照しながら
頭をひねったがなかなか思いつかない。
仕方なく、近所をぶらぶら歩いてみた。
田んぼは稲の刈り後も茶色く
雑草もなにやらふにゃふにゃと元気がない。
赤茶色のロゼッタが
あぜ道一面を覆っているが
これも色のお勉強にはいいだろうが、
平面的過ぎて面白くない。
もとより、生き生きとした自然の姿が
途絶えがちなこの季節だ。
歩いていても思ったような画題はなかなか見つからない。
結局家に帰って、
庭を眺めてみてようやく思いついた。
そうだ庭の片隅で華やかな色彩を放っている
「葉牡丹」を描こうと。
早速スケッチをすることにした。
ところがこれがなかなか難しかった。
葉の形や一枚一枚の複雑な重なり具合、
影のつき方などが思いのほか描きにくい。
加えて、アウトラインをとったところで、
微妙な色のつき具合に
実際に絵具を置くときには苦労をするのは目に見えていた。
庭で凍えながら何とかスケッチを終えて、
それに向かって実際に絵具を持ってみたら、
やはり想像通りに難航した。
重なった葉に色を塗るのは難しい。
一枚一枚を区別するために
微妙に色を変えねばならない。
実際、自然の中には全く同じ色の葉なんてほとんどない。
重なった葉は重なって見え、
一体化して見える葉はないからね。
そんなことを思いながら、
見たままに書くだけなのに、
まったく思うように描けない。
濃い色の葉に薄い色の葉脈
と言うのも難しい要素の一つとしてある。
結局半分ほど色を塗ったところで、
こりゃどうにもならんと挫折。
無念さに顔をしかめながら、
スケッチブックの一枚を破り捨てた。
ということで、結局今年の
「描初め」は不発に終わってしまった。
へこむ~。
自分の描力のなさをこんな時には
もろに突きつけられる。
とはいえ、それは今に始まったことではなく、
こんな経験はこれまで何度も何度もあった。
一番印象に残っているのが、
昨年ヒガンバナを初めて描いた時だ。
単に「ああここにあるから描こう」じゃ仲々描けないもの
ということをいやと言うほど教えられた。
ヒガンバナを描きたいけど
うまく描けない。
さてどうしたものかと思いつつ。
足しげく現場に通って
何度も何度もじっとそばに寄り添って、
目と耳を傾けてみたら初めてそれらしく描けた
という経験がある。
それは一昨年から1年越しで描けた絵だった。
ボランティアで絵を教えてくれている先生は、
植物を描くときは必ずしも細かく精密に書く必要はないけど、
その植物を虫眼鏡を使ってでも
じっくり観察する必要はあるとおっしゃっていた。
野外のスケッチに連れて行ってもらい、
先生の教えに沿ってじっくり観察しながら描いた、
何の変哲もないヘクソカズラの葉っぱが、
自分でいうのも何だけど、
鉛筆一本でとってもよく描けたときには
その教えをなるほどと思ったものだ。
その時のスケッチがこれ。
どうやら、絵を描くときには
できるだけじっとそばにいて友達になり、
どう描けばええのと質問し続けて
はじめてようやく「描いてもいいよ」
という植物の許可がおりるのかもしれない。
残念ながら、
植物は永遠にその形では残らない。
今シーズンに友達になれなかったら、
また来年ということなので、
ヒガンバナ同様
葉牡丹もまた一年越しと言うことになりそうだ。
でももうしばらくはあきらめず、
もう一度友達になるところからやってみよう。
そんなことを考えた2014年の「描き初め」となった。