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64

2012年12月29日 | NON
『64ロクヨン』横山秀夫(文藝春秋/刊) 例年とおり“このミス1位”を帰郷しゆっくりと読書タイム。
宝島社「このミステリーがすごい!2013年版」国内編にて1位。週刊文春「2012年ミステリーベスト10」国内部門1位の、横山秀夫さんの『64』。
「このミス」1位・作品は、毎年満を持して、年末年始休暇にハードカバーで読むことに。横山秀夫氏とは、2003年に宝島社「このミス」1位の『半落ち』で出会い、『クライマーズハイ』で再会、以降文庫本は出版社を超えてほぼ全作品読破。今年は映画版『臨場』を観賞しましたし、広島旅行で訪れた「呉市海事歴史科学館‘大和ミュージアム’」で『出口のない海』で取り上げられた人間魚雷「回天」にやるせなさを覚えたり、横山秀夫さんの作品を小説としてではなく思い出す年でもありました。そして年の瀬に再びの横山秀夫作品。
『64』は、作者の“D県警シリーズ”の最新作。『陰の季節』『顔 FACE』は短編集であったのに対し、本作は長編大作。警察小説ながら刑事や捜査現場を描くのではなく、警察管理部門の人間が主役を張り、主役の私生活、家族愛、組織対組織の葛藤、組織人の悲哀などを織り交ぜながら、根幹を貫く事件の謎解きと、人間ドラマあり心理ミステリーありの怒涛の展開に引き込まれてしまいます。平成元年に非ずたった7日間で幕を閉じた昭和64年、1月5日発生したD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件“ロクヨン”をバックボーンに警察内部の組織権力抗争の狭間に揺れる広報官:三上義信のストーリー。やがて“ロクヨン”の謎が亡霊のように甦る至高のミステリー。警察内部独特の事情説明が少々重たく感じますが、“D県警シリーズ”ファンとしてはこれも面白みのひとつ。
一気に読み終え大満足の昼下がり。我が人生にとって昭和64年は唯一無二の年。天皇陛下がご崩御、昭和から平成になった1月、時代の区切りに夫婦で本当に長子がほしいと願った1月。無事に10月に長男が生を受けた平成元年です。そんなことも頭をよぎりながらの『64ロクヨン』。
今年〆の読書となりました。






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