おてんきぷらぷら

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The Grand Sengai Exhibition

2016年10月16日 | Museum
10月14日、開館50周年記念『禅の心、ここに集う“大せんがい展”』出光美術館にて。
有楽町での映画帰りに立ち寄ったのは、笑いとユーモアを通じて禅の教えを広めたという"せんがい(1750~1837)"の企画展。美濃国に生まれた"せんがい"は、11歳の頃、清泰寺で臨済宗の僧となり、19歳にて行脚の後に月船禅彗の門下に入り、32歳で再び行脚の旅に。39歳より博多の聖福寺の盤谷紹適の法嗣となり、住持を23年務め引退。88歳で亡くなるまで、多くの洒脱・飄逸な絵画(禅画)を残しました。本格的に絵を描き始めたのは40代後半になってからといわれ、その絵は生前から大人気で、一筆ねだる客が行列をなすほど。「うらめしや わがかくれ家は雪隠か 来る人ごとに紙おいてゆく」と誰もが来ては紙を置いていくことを自分の家を便所に擬えた狂歌を詠み、83歳の時には、庭に「絶筆の碑」を建て断筆宣言をしますが、作品を求める人々は絶えることはなく、その絶大な人気ぶりが窺えます。ほんわかとしたユニークな作風は、大胆かつ軽快なタッチ、思い切ったデフォルメで、全く古めかしさを感じさせず、生み出される人物や動物たちは、元祖"ゆるかわキャラ"ばかり。また、"□△○"などはまんま現代アートと言って過言でなし。絵画に添えられる禅の教えも秀逸。曰く"鶴は千年 亀は万年 我は天年"。天年は天命の意ですが、天然でないのとツッコミたくなるほど。気の利いたコメントに絵画の取り合わせの手法は、武者小路実篤や相田みつをなど現代人にも通じますが、"せんがい和尚"の方が断然シャレオツでしょう。日本人好みのセンスの良さは万人向け。後世になってから改めて評価を受ける偉人の多い中、生前から今日に至るまで変わらぬ人気に大納得です。