おてんきぷらぷら

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ジェノサイド

2011年12月11日 | NON
『ジェノサイド』高野和明(角川書店/刊)。Jリーグのない週末は、寮の自室に篭もり読書の日に。
別冊宝島「このミステリーがすごい!」2012年版が12月10日に発表され、高野和明さんの『ジェノサイド』が1位を獲得。同作は12月1日発表の「週刊文春2011ミステリーベスト10」でも1位を獲得しています。
すでに「本の雑誌」2011年上半期ベスト1位、「日経おとなのOFF」2011年上半期ミステリベスト1位、さらに、第2回山田風太郎賞を受賞、第145回直木賞候補にもなり、これまでに30万部超を売り上げている2011年度のベストセラーです。
「このミス」1位・作品は、毎年満を持して、年末年始三が日にハードカバーで読むことにしていたのですが、我慢しきれずに購入し、いささか勇み足と思いつつ一気に読破してしまいました。
読後感ですが、この『ジェノサイド』は、ミステリーの域を超えたエンターテイメント小説としてまぎれもない傑作でしょう。日本で父の遺志を継ぎ与えられた使命に全力を尽くす研人、アフリカ・コンゴで息子のためにミッションを遂行するイエーガー、自己の正義をふりかざすアメリカ・ホワイトハウスの3つの舞台に繰り広げられるこの物語の壮大なスケールは超ド級。どこか「ゴルゴ13」ばりに、大国アメリカの傲慢・イラク戦争・アフリカ内紛内戦・先進国と途上国の関係やバミューダトライアングル至るまで世界情勢が散りばめられ、また、医学・薬学など緻密な描写のリアリティさは物語に引き込まれるに十分です。時節柄、人類滅亡と核の話はタイムリーですし、「人間とは」「人間の本性は善か悪か」の哲学的テーマ設定も考えさせられます。自分にとっては父と息子のストーリーとしても大いに楽しめました。