雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

フリーター、家を買う

2012-02-29 20:21:15 | 

有川浩著"フリーター、家を買う"を読みました。
ベストセラー小説は読む気がしなくて今まで手が
出ませんでした。
読みやすい本でした。
今は働くということが厳しい時代です。
いつも意識しているというわけではありませんが、
過去の人たちが努力して作ってくれたこの世の中を
少しでも良くして次の世代に渡したいと思って
生きてきました。
みんながそうだと思います。
それなのに世の中は悪くなるばかりです。
私達は今まで何のために働いてきたのか、最近は
ほんとうに空しいです。

武誠治は大学を出て就職をしましたが意に染まない
新入社員教育や、職場の雰囲気に三ヶ月で辞めて
しまいます。
その後求職活動はしますが決まらずアルバイトを
してお金が貯まれば辞め、部屋に閉じこもり食事を
母親の寿美子に部屋へ運ばせる暮らしをしています。
父親の誠一とは顔を合わせるのを避けています。

ある日、姉の亜矢子が家にやってきます。
母親の様子がおかしいのに気づかなかったのかと
激しく誠治と誠一をなじります。
引越してきたときの誠一の態度が近所の人たちの
反感をかって寿美子へのいじめとなって返って
きました。
何十年も続いたことです。
亜矢子は気づいていました。
亜矢子は結婚して東京を離れています。
引越しをすればいいものを誠一は耳を貸さず
寿美子はとうとう病を発症させてしまいます。
病名は全般性不安障害です。

亜矢子が帰った後は誠治が寿美子の薬の管理を
してます。
仕事に就こう、貯金もしようと誠治は夜の現場仕事を
選んでアルバイトを始めます。
夜の薬の管理を父親に頼みます。
ある日寿美子が自殺未遂を起こし手首を切ります。
薬を飲ませていなかったのです。
誠治はかんかんになって誠一に怒ります。

就職活動はうまくいきません。
誠一が誠治の履歴書を見てアドバイスしてくれます。
使いまわすな、丁寧に書け、修正液を使うなと
心構えを説いてくれます。
面接の時の受け答も教えてくれます。

夜のアルバイトは長いこと続いています。
仕事仲間には暖かく接してもらっています。
医療機器の会社がうまくいきそうです。
同時期にアルバイト先から正社員にならないかと
声をかけられます。
土木関係の会社ですが、親会社から分離して会社を
大きくしていきたいと社長は考えています。

誠治は大悦土木に入社することに決めます。
やることは山ほどあります。
仕事の流れをIT化します。
倉庫を片付け資材を取り出しやすくします。
事務も外注化をさけ内部で行います。
簿記を父親に教えてもらい資格試験に挑みます。
そして人を雇うための試験官の役目まではたします。

寿美子は薬をきちんと飲み改善してきています。
お金をため父親に協同で家を買いたいと打ち明けます。

家を買って引越しをすることになります。

こんなになるまで何十年と気づかない家族って
必要なものなのでしょうか。
だめな夫や息子、残酷な近所、でしたが少しづつでも
良い方向に向かっていてやれやれです。
誠治はしっかりと働き始めました。