雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

火村英生に捧げる犯罪

2012-02-17 22:23:00 | 
有栖川 有栖
文藝春秋
発売日:2008-09-25

有栖川有栖著"火村英生に捧げる犯罪"を読みました。
火村と有栖が活躍する連作短編集です。

"長い影"
夜中に廃工場が窓から見える家で足を折った家主が
工場から男が出てくるのを見ました。
ちょうど同席していた奥さんは男が角を曲がっていく
影を見ました。
工場の主に連絡して工場へ行ってみたら横になった
状態で首をくくった人が死んでいました。
トリックを使って時間を調整する話です。

"鸚鵡返し"
殺人の現場にしゃべる鸚鵡がいて「ハンニンハ、
タカウラ」と言います。
死ぬ間際に言った言葉を覚えたのかと思われましたが
そうではありませんでした。
鸚鵡が別のことも覚えていたためトリックがばれました。

"あるいは四風荘殺人事件"
有名な社会派推理小説家が亡くなりました。
本格推理小説をけなしていた人です。
遺稿として結末のない本格推理小説が残されていました。
遺族の娘さんから結末はなんだったか考えて欲しいと
持ち込まれます。
丸い庭を挟んで東西南北に客室としてロッジがあります。
北のロッジで二人の人が死んでいました。
雪が降っていて足跡が南のロッジから西へそして北へと
あります。でも帰っていった足跡がありません。
この庭とロッジが関係しています。
私はトンネル物かと思いましたがはずれました。

"殺意と善意の顛末"
この話は私でもすぐにわかりました。
同じマンション内で引越しをしていてその部屋の人が
殺されたというものです。
引越し後の家には一度もいってないと容疑者はいいます。
でも指紋が検出されています。
これは探偵が容疑者を引っ掛けた話です。
襖に指紋が残っていました。
襖は簡単に移動できるんですよね。

"偽りのペア"
与論島で知り合った男にストーカーされていた女性が
殺されました。
部屋に残っていた写真の男をいくら捜しても見つかりません。
火村の下宿のお婆さんがいったことばから事件は
解決しました。
それは別のスリッパを片方ずつ履いている火村を注意
した言葉でした。

"火村英生に捧げる犯罪"
有栖が自分の作品を盗作したと、行っている人がいる、
その人と会うため東京へ出て来てくださいという
電話が掛かってきました。
警察へは氷村宛と思われる脅迫状が何度も届きます。
同じ頃マンションで女性の死体が発見されています。
有栖をおびき出したいのはどうしてでしょう。
火村に言われて有栖が殺人事件の捜査に加わったら
あっさりと事件は解決してしまいました。

"殺風景な部屋"
これはダイイングメッセージ物ですね。
部屋で亡くなっていた人は仰向けで携帯を握っていました。
天井にあるのは照明です。
そう照明を連想する名前の人が犯人です。

"雷雨の庭で"
早瀬は隣人の轡田にいやがらせを受けていました。
轡田が頭を打って自分の庭で死んでいました。
雷雨の夜でした。
轡田は女性が家に連れ込まれているとかいいふらして
いました。
早瀬の家の庭には作業で使ったはしごが置き忘れ
られていました。
とっさの出来事でした。

軽く読める本でした。
電車の中で読むのに本にいいです。