雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ころころろ

2012-02-14 19:19:03 | 
畠中 恵
新潮社
発売日:2009-07-30

畠中恵著"ころころろ"を読みました。
若だんなの一太郎のシリーズの一冊です。
おもしろかったです。
たよりない若だんなが今回はしっかりしてるじゃないと
思わせる場面も何回かあります。
兄やんの佐助と仁吉も活躍します。

まだ若いのに娘にべったり寄りかかって娘を放そうと
しない母親がいます。
その母親が目を患っています。
医者が生目社という神社に七つの宝を埋めて再建すれば
目がよくなるといいます。
七宝が集まったところで医者が持ち逃げするのでは
ないかと一太郎たちは怪しみます。
宝は医者が持って逃げた時に川に落ちて河童の玩具と
なりました。
一太郎が十二歳の時の出来事です。

現在に戻って、ある日起きると一太郎の目が見え
なくなりました。
長崎屋では武家から魚の干物を伊勢から運んでくれる
よう頼まれます。他へ頼んで何度も失敗しています。
船で運ばれてきて長崎屋へ運び込まれますが
中身がありません。
大騒動になります。
一太郎が難題を解決します。

仁吉は一太郎の目を元に戻すため出たっきりです。
人形の姿の妖、ろくろ首、骨傘に妖が見える男の子に
頼られて困っています。
ひとりひとり行き先を決めてやります。
一太郎の目が見えなくなったのは生目神が何かしたと
いうことがわかります。
河童が前に川に落ちた玉をひとつくれます。

佐助は夢をみています。
夢の中で女房と店をやっています。
ほんの少しの時間で店はどんどん大きくなり雇い人
も増えていきます。
女房のおたきが消えてゆく時宝をひとつくれます。

生目神と会います。
問答に答えよといいます。
何問かに一太郎がうまく答えます。
最期に生目神が自分のことを話します。
昔娘と結婚しました。用事で娘の元をしばらく離れて
戻ったら娘も親をいなくなりました。
どうしてだ推測せよといいます。

この答えを一太郎がみごとに解きます。
生目神はどうしてなのかわかりませんでした。
ずっとうらんでいました。
生目神は話を聞いて驚き、納得します。
SF的ですばらしい発想です。
そうなのかと思います。
神様が知らなかったってそんなことあるの、
とは思いますけどね。
一太郎の目は元通りになりました。

図書館内乱

2012-02-13 20:05:02 | 
有川 浩
メディアワークス
発売日:2006-09-11

有川浩著"図書館内乱"を読みました。
"図書館戦争"の続編です。
図書館防衛隊員の堂上、小牧、手塚、郁と、郁の寮で
同室の柴崎が主要登場人物です。
最初のエピソードは郁の両親が郁の職場である図書館の
見学に来るところです。
戦闘職についていることを両親に隠している郁は
ばれないよう仕事のメンバーや柴崎に頼みます。
両親が来ている間メンバーごと図書館の通常業務に
ついてやり過ごします。

小牧には家族で付き合ってきたご近所があります。
その家の10歳ほど年下の女性の鞠江は現在高校生です。
鞠江は小学生の時から小牧を慕っていました。
中学生の時突発性難聴になり方耳が辛うじて聞こえる
状態になりました。
小牧はずっと鞠江を支えてきました。
図書館へ出入りする鞠江に本を紹介してやってます。
紹介した本の"レインツリーの国"が難聴者を描いた
ものであったためメディア良化委員会に難癖をつけられ
小牧が連れ去られる事件がおきました。
何日も精神的な拷問が続きました。

ここで手塚の兄慧が登場してきます。
図書館未来企画という組織の会長です。
検閲には反対の立場ですが一旦検閲に賛成しておいて
図書館を現在の地方の組織下から国の組織下にして
徐々に検閲を廃止に持っていこうという考えの組織です。
第3の組織の登場です。
良化委員会と図書館と両方と繋がりを持っています。

慧の助けで小牧は奪回されます。
慧は弟の光を仲間に引き込みたくてしょうがありません。
この後慧のせいでさまざまなことが起こります。

図書館のホームページから辿っていけるページに
一個人の意見と断り書きがついているとはいえ
出版物に対する批判、攻撃の意見が書かれる様に
なりました。
図書館から良化委員会について書かれた本が誰かの
手で破棄されました。
郁はその犯人とされ図書館内の派閥の行政派の査問会で
厳しく追求されることとなります。

今回の話は題名の通り図書館内の内乱です。
メディア良化委員会と図書館の戦いというのは現実味が
ないのですが今回の陰謀をめぐらし人を操り追い込んで
いく方法は現実実があってこわいです。
こんなに図書館を必死で守っているのに一般の人たちは
どう考えているのかまったく出てきません。
しょうがないとあきらめればそれに慣れてしまいます。
そんなこともあって図書館防衛隊は浮いているなと
感じてしまいます。
柴崎が活躍してます。実験構想中の情報部候補生です。

黒猫の遊歩あるいは美学講義

2012-02-11 23:30:29 | 

森晶麿著"黒猫の遊歩あるいは美学講義"を読みました。
アガサ・クリスティ賞を取った作品だそうです。
しっかし、難しい。
文学を学問的に研究している人ならふんふん、なるほどと
本の中の二人の隣に座っていっしょに議論できるのかも
しれません。
でもただ小説を楽しんでる身には目で文字を追っている
だけとなりました。
この本の中でよく引き合いに出されるのがエドガー・
アラン・ポオです。
ポオの作品は中学生ぐらいの時に有名な黒猫や黄金虫、
アッシャー家の滅亡を読みました。
文学の研究ってなんなのでしょう。
文学の研究をしている人に怒られそうですが何のために
しているのかという疑問が湧いてきました。
なんかの役に立つのですか? とお聞きしたらぶん殴られ
るでしょうね。
たとえばポオの作品をあれこれ探っても仲間うちだけの
好奇心を満たしているだけの様な感じを受けます。
でも、研究者にとって考え議論するのはわくわくする
感じなのだということは伝わってきます。

黒猫とは24歳で教授となった男性のあだ名です。
誰もがそう呼びます。
黒猫の付き人として登場するのが同じく24歳の博士課程の
女性です。
教授と付き人といっても友達の感じです。
彼らは大学時代の同級生です。
しょっちゅう黒猫の部屋へ行って黒猫の料理を食べ
会話をします。といって二人は恋人ではありません。
女性の方(名前出てきたかな)は淡い恋心を持っています。
アガサ・クリスティ賞を取ったというのですから
ミステリーです。
日常で出合ったちょっとした出来事を黒猫が解説すると
いう形式です。その前に文学的な講義みたいなものが
挿まれています。
人が死んでいることもあるのでちょっとした出来事
とはいえないかもしれません。

"月まで"
でたらめな地図に隠された意味

"壁と模倣"
しゃべる壁に隔てられた青年

"水のレトリック"
川に振りかけられた香水

"秘すれば花"
現れた住職と失踪した研究者

"頭蓋骨のなかで"
頭蓋骨を探す映画監督

"月と王様"
楽譜なしで奏でられる音楽

説明文は帯に書かれていたものです。
"壁と模倣"と"頭蓋骨のなかで"は似ているところが
あります。本来の人格の中に別の人格が入り込んで
しまった人が登場します。
黒猫も付き人もわかりやすいやさしい男女です。
シリーズになったら読むかといえば読まないと
思います。

職場での出来事

2012-02-10 21:50:10 | 最近の話題
職場での出来事です。
A4~A0までテストプロットして線や文字の太さが
が正しいかチェックをしていました。
同僚にこんなだったよ、と見せたらけげんな顔をして
「これ、誰が畳んだ?」
と聞きました。
あっ、やっぱり。何かおかしい、と思ったのです。
社会人1年目は図面折をしょっちゅうしてました。
あれほどやったのだから体が覚えていてもよさそうなのに
すっかり忘れました。
思い出しました。
A0は右端からA4の短い長さで短冊状に扇子のように
畳んでいって全部たたんだらA4の縦の長さで折って
A4の大きさにするのでした。
(この説明でわかってもらえるかな?)
それを縦、横の順番を逆にして折ってしまいました。
これでは開くのに苦労します。
今日実際に広げようとしてやりにくくていらっとしました。
A0以外の折り方も間違っていたかもしれません。

同僚は私が畳んだと知って苦しそうにうなっていました。
今回は丸めておくのが場所ふさぎだから折ったのです。
これから先、人に渡すため図面を折ることはありません。
いまさら間違っていると注意するまでもないと思った
ようで何もいいませんでした。

何かおかしいと感じる時は、本当におかしいことが
ほとんどです。
へんだと思ったらその時に調べた方がはじをかかなくて
いいです。

ずっと昔の話ですが蜷川さんという名前の人に社内便を
よく送っていました。
なんか変だと首をかしげてながら蜷川と書いていました。
当人が用事でみえた時「私の名前の字、違うんですが。」
と抗議を受けました。
当時の同僚に向かっての発言でした。
虫と巻を逆に書いていたのです。
巻虫、こんな感じです。
私がこう書いていたので同僚にこういう字なんだと
思わせてしまい、彼女も反対に書いていました。
蜷川さんにも同僚にも申し訳ないことをしたと、
今でも穴があったら入りたい心境です。

虹色天気雨

2012-02-09 19:10:15 | 
大島 真寿美
小学館
発売日:2006-10-20

大島真寿美著"虹色天気雨"を読みました。
読んだというより読み飛ばしたという方があっています。
こちらもどうも苦手です。
家族、友達との関係を中心にした話しです。
友達が娘を預かって欲しいといってくるところから
始まります。
夫が仕事も家庭もほかって行方がわからなくなりました。
探しにいきます。
特にどうって内容がある話しではありません。
友人はたくさんいます。
それぞれが知り合いで仲間うちで家の事情なんかも
知っているという関係です。

結局は夫は女性に目がくらんで家を出て行ったのです。
相手の女性はみんなから嫌われている、人に擦り寄って
くるタイプの人です。

何かが起こったような起こらなかったような毎日が
人生や家族というものなんでしょうか。

るり姉

2012-02-08 20:14:37 | 
椰月 美智子
双葉社
発売日:2009-04-15

椰月美智子著"るり姉"を読みました。
さつき、みやこ、みのりがるり姉と読んでいるのは
お母さんの妹で叔母さんです。
さつきは高校一年生です。
お母さんのけいこは看護師で不規則な生活をしています。
元気なるり姉はみんなが好きです。
るり姉は開人と三年前に結婚しました。
るりがカイと呼ぶので子供達は彼をカイカイと呼びます。
前はまあ兄と結婚していて当時も子供たちとまあ兄は
仲良くしていました。
けいことるりの母で子供達の祖母は一人暮らしです。
祖母とけいことるりと子供達、それにカイカイは
仲がいい家族です。
そろっていちご狩りに出かけます。
るり姉が病気になります。
入院して手術することになります。
かなり重い病気のようです。

さつき、けいこ、みやこ、開人、みのりと順に語って
いくのが章になっています。
病気の前のるり姉に関しての話しになります。
最期の章だけが4年後で一番下のみのりが高校
一年生になっています。
るり姉はどうしているかって、さあどうなった
でしょうね。

ハッピーエンドです。
家族の話です。
内容は悪くはないし、普通の家族というよりは
仲がいい家族の物語です。
でも読んでいてなんかつらくなってきます。
内容がつらいという意味ではありません。
こういう家族の話はちょっと苦手なんです。

サウンド・オブ・サイレント

2012-02-07 20:36:36 | 

五十嵐貴久著"サウンド・オブ・サイレンス"を読みました。
耳が聞こえない女性3人がダンスに挑戦してコンテストに
出場する話しです。
夏子は高校一年生です。中学時代にわけがわからない
うちに無視されるいじめにあっています。
春香は高校でいっしょになったクラスメイトです。
誰とも交わろうとしません。夏子は自分がいじめられない
ように春香をいじめの標的にします。
美佐は高校三年生、春香の中学時代の先輩です。

美佐がダンスを始めます。グループを作りたくて春香を
誘いますががんとして話しを聞いてくれません。
美佐は夏子に接近してきます。
実は美佐は耳が聞こえません。春香も聞こえません。
だけど春香は唇が読め、話すことができます。
高校では耳が聞こえないことを打ち明けていません。
夏子は美佐のダンスに惹かれてマネージャーをかって
でます。夏子にはダンスの素質がありません。
春香には二人で執拗に誘いをかけます。
健常者の世界で生きていけるよう耳の聞こえない人との
交流を断ちたいと無理しています。

春香は本心は踊りたいのでとうとう、誘いに負けて
いっしょにダンスをすることになります。
練習場所の福祉会館で澪に出会います。
大学生でダンスクラブに所属していました。
交通事故で耳が聞こえなくなりました。
彼女もグループの一員となります。

コンテストに出場することを目指します。
澪がコーチとしてつれてきたのは尾崎です。
元恋人です。事故が起きたとき車を運転していました。
初めはコーチをすることに難色をしめしましたが
やがてコーチを引き受けます。

大音響で音楽を鳴らしアンプが震えるのを手で感じて
音楽を記憶します。
記憶した音楽で踊ります。

ろう者ダンスコンテスト、健常者に混じってのコンテスト
と3人とコーチ、マネージャは突き進んでいきます。

夏子が春香と仲良くしているのを快く思わないクラスメートが
夏子に春香と付き合うなと言う場面があります。
わからないです。誰と付き合おうがとやかくいわれること
ではないのになぜなの。

耳が聞こえないダンサーたちのことが書かれていますが
耳が聞こえる人に置き換えても話しは成り立ちます。
いっしょうけんめい好きなことに取り組む姿はいいですね。

メイン・ディッシュ

2012-02-06 20:08:44 | 

北森鴻著"メイン・ディッシュ"を読みました。
北森さんには冬狐堂シリーズ、 香菜里屋シリーズ、
蓮丈那智シリーズ、佐月恭壱シリーズといろいろな
人たちが活躍するシリーズがあります。
でもこのメイン・ディッシュはどれとも趣きが違います。
古美術、絵画、民俗学、絵画修復等の難しい話がない
ので入りやすいです。
北森さんを知ったのはここ一、二年前です。
それなのに知った時にはすでにお亡くなりになっていて
もう新しい本が読めないのはとても残念です。

題名の通り料理の話しが良く出てきます。
三津池修、ミケと呼ばれています。
劇団紅神楽の代表で女優の山岸亜佐はあねごと呼ばれて
いたのが短くなってねこ先輩と呼ばれています。
ミケは冬の日にねこに拾われ同居しています。
劇団員がねこの部屋に集まる時はミケが料理の腕を
ふるい皆を堪能させてくれます。

連作短編集です。
劇団員の話が主ですが間に別の話しが混じります。
最初のうちはそれぞれぜんぜん別の短編なんだなと
読んでいました。
だんだん関係のある話しなのがわかってきます。

もうひとつの話しは仲が良かった大学生たちの話です。
男四人に女一人の間に起こった出来事です。
一人の男が建物から飛び降り自殺をしています。
その何年か後には女性も病死しています。
何か彼らの間に起こったことを匂わせます。

劇団の仲間はわきあいあいとしてます。
座付き作家は小杉隆一です。
劇団員たちはどんどんテレビの世界へ引き抜かれ
ていってしまいついに劇団員がいなくなってしまいます。

ねこが昔同棲していた男の名前を聞いて、ミケは
黙って消えてしまいました。
どのように二つの話しが繋がってミケはどういう人
だっかのか、また戻ってくるのだろうかと思わせ
つつ話しは進みます。

劇団員たちのやり取りは楽しいしミケは料理が
じょうずでつぎはどんなものを作るのだろうか
楽しみです。
ねことミケは相性が良さそうだから必ず帰ってくる
だろうなとは感じながら読み進みます。
ミケの秘密はたいしたものではありません。
だけども人生ずいぶん損してないかと思います。
とはいっても回り道した経験が人生を豊かにしてくれる
ことはおおいにありますから、損だとはいえない
のですけどね。

劇団員の話題の部分はストレートですが、間に挟まれた
話しはかなりひねりがきいています。
本当の話なのか作り話なのか誰が語っているのか、
ごまかされてしまいます。
楽しい本でした。

あたり [魚信]

2012-02-05 19:43:56 | 
山本 甲士
文藝春秋
発売日:2008-06

山本甲士著"あたり"を読みました。
釣りの話しの連作短編集です。
「奇跡を信じたければ釣りをするがいい。」という
いいつたえが残っている川で釣りをする話です。
それぞれの話しには基本的につながりはありません。
でもこちらの話があちらの話とちょっとだけ関連して
たりします。
同じ川の話しらしいとだんだんわかってきます。
いろんな魚が取れます。
漁業権はなくて誰でも釣っていい川です。
きれいな川で取れた魚は食べられます。
知らない者どうしが釣りで仲良くなります。
釣った魚を共に料理をして楽しそうに食べる場面が
出てきます。こういう仲間いいですね。

"おいかわ"
失業中でいらいらして喧嘩をしてしまう北畑新吾は
子供のころを思い出して川に行きます。
釣りをしていた人に教えてもらって釣りを始めます。
いろんな人と出会い、そのうちの一人の工場で働くことに
なります。穏やかな心になって今度は人に釣りを教える
側にまわります。

"らいぎょ"
やはり失業中の鵜川潤平はらいぎょ釣りをしています。
アパートのとなりの部屋の男の子にらいぎょ釣りを
教えてやります。
男の子はお母さんと二人暮らしです。
お母さんは夜働いていています。
男の子が幸せではないと思っていましたが、男の子に
お母さんの面倒は見られると言われて見方が変ります。

"うなぎ"
出張で故郷にやって来た石庭政志は心にくったくが
あります。
上司に頼まれ嘘をいうはめになったのです。
子供の時にうなぎ釣りを教えてくれた人がいます。
その人は暴力団員で車で人を撥ねて自分も死んだと
新聞に載りました。
死んだはずのその人に川で出会います。
実はこの人が被害者で写真が間違って載ったのです。
上司から悪かった、本当のことを公表すると電話が
あります。

"あゆ"
白谷俊也は父親が社長の会社に入社します。
希望の部署に配属されました。その部署の人が一人
辞める事になったと聞きます。
自分が希望したばかりに人を犠牲にしたと、その人を
訪ねていきます。
あゆ釣りをしているのに出会います。
どうして来たのかうちあけずにあゆ釣りを教えて
もらい、いっしょに釣りをするようになります。
実は彼は小説家を目指しており集中するために
仕事を辞めたのでした。

"たなご"
森西篤史は泥棒に出会います。
似た格好をした男に出会い警察に似ていると連絡しました。
しかしその男は犯人ではありませんでした。
その男に謝りにいくとミヤコタナゴを釣っていると
いいます。
いろいろ話しをしているうち彼とは異母兄弟だと
気づきます。

"まぶな"
車からバッグを盗んだら四千万円もの大金が入っていました。
郷野基一は自分を孫と間違えた老人のアパートについていきます。
老人の家で何日か過ごします。
バッグのお金は裏金で警察には届けられていません。
お金を探していた持ち主に出会い返しました。
川へ行くと前の話に関係ある人たちの亡霊があらわれては
生きている人に伝えてくれと伝言を頼まれます。

釣りの楽しさが伝わってきます。
一人から周りの人々に伝わって釣り仲間が増えていきます。
釣りができる川がある環境は守らなくてはいけませんね。
私の故郷も子供のころは魚がいて、蜆がとれて、どじょうも
いるところでした。
ところが数年のうちに何もかもいなくなってしまいました。
魚が住める川がある生活は豊かです。
奇跡が起きる話しですから辛くなったり嫌な思いをする
話しはありませんからゆったりと読めます。

図書館戦争

2012-02-04 19:59:16 | 
有川 浩
メディアワークス
発売日:2006-02

有川浩著"図書館戦争"を読みました。
楽しく読める本です。
主題は著作、出版等の自由です。
でもこんなとてつもなく真面目で大切なことを扱った
本がベストセラーだなんてなんか信じられません。
いえ、本自体はエンターテイメントで楽しいのですよ。
それでも本当に、と聞きたくなります。

図書館の自由に関する宣言
一、図書館は資料収集の自由を有する。
二、図書館は資料提供の自由を有する。
三、図書館は利用者の秘密を守る。
四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。

本の最初に掲げられている宣言文です。
図書館はこうであって欲しいと思います。
本当のこというとちょっとは疑っていますけどね。
図書館の情報からは多くのことがわかります。
本気で情報収集しようと思ったら図書館員が知らない
うちに出来てしまうでしょう。
そんな世の中になってはなって欲しくはありません。
言論の自由の弾圧はある日気がついたらにっちも
さっちも出来なくなっていたというものなんだろうと
思います。

メディア良化委員会と図書館特殊防衛隊との戦いを
描いた話しです。
真面目に考えたらありえないことですがそれがお話しです。
少しでも書かれていてはいけない言葉が入っていたら
排除したい良化委員会と図書館だけでも収集してそれを
守りたい図書館側が戦います。
銃を持ち撃ち合いまでします。命を落とす人がでます。
図書館の数なんてたかがしてれます。本当に潰したいなら
あっというまにひねり潰せるでしょう。
それなのにそこまではしません。

主人公は郁、高校生の時本屋で良化委員会に出会い本を
取り上げられそうになったときにさっそうとあらわれた
図書館防衛隊員に助けられ、図書館防衛隊員を希望します。
訓練時の教官でのちの上司の堂上には厳しくされます。
やはり教官で上司の小牧、同期の手塚、同期で寮の同室の
友人の柴崎などが登場します。
みんな性格がしっかり形作られています。
上司と部下という立場でありながらはっきり言い合う
堂上と郁のやりとりはおもしろいです。

巷から消えてしまった本を読めるのは図書館だけと
いいます。
でも図書館所蔵の数冊の本を読みたいからと順番待ちを
していたら人生終わってしまうのではないかと思います。
本好きとしてはそれはつらいですね。
続編があります。読んでみたいです。

絶叫城殺人事件

2012-02-03 20:39:34 | 

有栖川有栖著"絶叫城殺人事件"を読みました。
犯罪社会学者火村と推理小説家有栖川が登場する
短編集です。
読み始めて前に読んだことがあることに気づきました。
有栖川さんの小説は何か物足りない気分になりますが
それでも手に取ってしまいます。
こういうのは気に入っているということなんでしょうか?

"黒鳥亭殺人事件"
火村と有栖は山の中の家を訪ねます。
画家の友人と小さな娘が住んでいます。
庭の井戸に以前の家の住人が落ちて亡くなっているのが
見つかります。

"壷中庵殺人事件"
上蓋を開けてはしごを使って上り下りする地下室の
部屋で家主が首をくくって死んでいました。
扉が内側から鍵が閉められ密室になっていました。

"月宮殿殺人事件"
川原にホームレスが廃材で建てた家は目をみはる大きさと
美しさで月宮殿と呼ばれていました。
その家が放火で燃えてしまった現場に通りがかりました。
放火犯はすぐ捕まりました。
家の持ち主は焼け死にました。
彼は自分で火の中へ飛び込んだそうです。
月宮殿と聞いてあれのことかとわかる人は植物好きですね。

"雪花楼殺人事件"
家出をして建築を放棄されたビルに住み着いた男女が
います。
シンナー、覚醒剤を使っています。
男性が屋上から落ちて死にました。
墜落で出来たのではない傷が頭にあります。
周りは雪で足跡がありません。
どうやって傷はつけられたのでしょう。
数秒の偶然で付いた傷でした。

"紅雨荘殺人事件"
映画の撮影に使われ有名になった紅雨荘があります。
その家の持ち主が紅雨荘という同じ名前のもう一つの
家で亡くなっているのが見つかります。
子供が3人います。3人にはアリバイがあります。

"絶叫城殺人事件"
女性をねらった連続殺人事件が起きます。
4人目の女性が亡くなっているのが見つかります。
'GAME OVER'と書かれた紙が残されました。
凶器も刺さったまま残されています。
彼女の部屋へ行ってみると、飼っていた小鳥がいなく
なっていることがわかりました。

美しいという紅雨荘、どんな家なんでしょうね。

アクアリウムへようこそ

2012-02-02 20:37:07 | 
朝起きたら雪が積もっていました。
空はどんよりで雪はまだ降っていました。
今日は出勤しない日なので雪が降っても平気です。
電車はきっと混乱しているだろうな、みんなちゃんと
会社に行けたのだろうかと気になりました。
寒かったです。ファンヒータは設定温度と実際の温度との
差が大きいと火力も大きいです。
今日は今まで聞いたことのない激しさでごおごお音を
立てて燃えていてちょっと恐かったです。
午前中に陽が照ってきて早いうちに雪は溶けていきました。
受験シーズンです。こんな日に試験だったら精神的に
まいりますね。
そういえば昨日取引先の人が大きなマスクをして
やってきました。
「風邪ですか」と聞かれて
「娘が受験で、外で風邪もらってきて娘にうつしたら
一生うらまれるから予防のためマスクしています。」
と答えていました。
今は風邪の季節でもあります。
風邪ひかないよう気をつけましょうね。

木宮 条太郎
実業之日本社
発売日:2011-03-17

大宮条太郎著"アクアリウムへようこそ"を
読みました。
児童図書の棚にありました。多分子供向けに書かれた
のだと思います。
仕事小説です。仕事小説の多くはこんな仕事があるのだ、
みんながんばっているのだな、楽しそうだなあという
読後感があります。
この本は悪くはありませんが満足感もありません。
意外性がなくて先が読めてしまいます。

内容とは関係ありませんが本の表紙の絵がかわいらしい
のはいいのですが、女の子の腰のあたりがどうなって
いるのかわからなくて考え込んでしまいました。
やっと上着を腰に巻きつけているのか、というところに
落ち着きました。
なんでこんな妙な絵を使うのでしょう。

嶋由香は市の観光課に勤めています。
市立水族館アクアパークへ一年間の出向を命じられます。
イルカ担当となり先輩の梶良平と働くことになります。
梶は無愛想な人です。
掃除、餌の用意の仕方から始めます。
C1というイルカがいました。
大切にされてきましたがある日突然弱ってしまいました。
いるかは浮き上がれなくなって沈んでしまったら死にます。
C1は死んでしまいました。
プールに飛ばされてきたビニールを誤って食べて死んだのです。

残ったイルカの中の一匹は水族館産まれです。
イルカというのは遊び好きなんだそうです。
芸を仕込むというより遊ばせるという感じでライブを
行っています。
ニッコリーと名づけられたこのイルカはとても頭が
いいです。
教えもしないことを仲間のまねでやりだします。

イルカとの交流や梶と由香がお互いに相手が気になる
存在なのになかなか近づいていかない様子などが
描かれます。
この本を子供達が読んで水族館で働くという選択も
あるのだと気づく子がいたらいいことです。
水族館で働くのはたいへんそうです。

タイムカプセル

2012-02-01 20:33:04 | 

折原一著"タイムカプセル"を読みました。
すっきりとしない話です。
中学生の時タイムカプセルを埋めることに参加した
人者達のところへ手紙が届きます。
夜中に「郵便」といって差出人が直接置いていきます。
10年後に掘り出す約束で埋めました。
その日が迫ってきました。
手紙には集まる日付が記されています。
石原綾香はタイムカプセルに参加しましたが事故で
骨折して卒業式もタイムカプセルを埋めるのにも参加
できませんでした。
今はカメラマンになるため努力してます。
石原綾香、湯浅孝介、鶴巻賢太郎、三輪美和、冨永ユミ、
笹倉文雄の六人と担任の武田亮二、そして不登校の
大河原周作と不破勇の二人が参加者です。
綾香はルポを書こうと思い立ちタイムカプセルに参加した
中学の同級生に当時のことや現在のことを聞いてまわります。
各人がタイムカプセルを埋めた当時の状況を語ります。
聞いてまわるうちに皆には隠してしていることがあると
わかってきます。
"ホール"という言葉を聞くと皆落ち着かなくなります。

不登校の生徒の家に何回か武田は訪れています。
大河内は途中から不登校になりました。
不破は引越してきた最初から不登校で家に行っても
顔を見たことがありません。
武田は本気で不登校の生徒と向き合おうとしている
わけではなく、責任は果たしているのだと言う
ためにやっているという感じの先生です。

以下ねたばれです。

綾香を除いた5人は卒業の記念にと夜中に集まって
学校の裏山にあるトンネルになっている防空壕の
探検に出かけました。
まっくらな中洞窟で点呼をとると6人目の人が
返事をしました。
恐怖にかられた彼らはあわてて逃げだし1人では
開けられない扉を閉めてしまいました。
その話しを誰にもしませんでした。
幽霊だと思いつつも彼らは人を殺してしまったと
いう気持ちをずっと持っています。

湯浅が行方不明になりました。
掘り出す当日に湯浅と大河内、不破を除くメンバーが
集まりました。
不破の入れたものを取り出して不破と呼ぶと顔を
見たことがなかった不破が現れました。
あの日の六人目だったと告白します。
助け出されていたのです。

湯浅は大河内の家に監禁されていたのを助け出されます。
大河内はみんなが謝りにくるのをずっと待って、部屋に
閉じこもっていました。
郵便を配って歩いたのは父親でした。

なんだか嫌な話です。
人だったかもしれないと思いつつ、人なら死んで
しまうとわかっていてそのままにしておこうとする
心情がわかりません。
これが普通の感覚だとは思えません。

不登校の人はいない人という感じです。
先生の態度も同様です。
これも人のことなんてどうだっていという世相なんで
しょうね。