雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ハナシはつきぬ!笑酔亭梅寿謎解噺

2012-02-24 20:43:00 | 

田中啓文著"ハナシはつきぬ!笑酔亭梅寿謎解噺"を
読みました。
笑酔亭梅寿謎解噺シリーズの5冊目です。
どこかにこの本がシリーズ最終巻だと書いてありました。
そうだったらさみしいです。
梅寿の弟子の梅駆こと竜二が主人公の物語です。
謎解噺という題名はちょっと違うなぁと感じます。
一冊目がちょっとミステリーじみていましたが以後は
落語家一門のてんやわんやの出来事を描いたものです。

竜二は修業もあけ、アパート住まいをしています。
一番下の弟子で今も師匠の面倒をみるのは竜二の
役目です。
竜二は出演できなくなった兄弟子に代わってテレビの
収録に参加することになりました。
みんなに混じって適当に合わせていればよかったはずが
突然マイクを向けられます。
先輩の梅雨が仲間うちで言ったギャグの「クイラトス」
と叫んでしまいます。
それがうけてしまって竜二はいちやく有名人に祭り上げ
られてしまいます。
ギャグ嫌いの師匠には打ち明けられないし、兄弟子には
人の持ちネタを盗んだと追求されることになります。

竜二の両親は早くに亡くなっています。
亡くなったのは実の両親だったのに有名になると、実の
母親を名乗る人が何人も現れます。
父親は写真が一枚あるだけでどんな職業についていたか
さえ知りません。
母親を名乗る人が現れたのは師匠がでたらめを
しゃべったためです。
父親は竜二と同じ落語家だったことがわかります。

どんどんテレビへの出番が多くなっていき落語から
離れていきます。
大型バイクを買い飲酒運転で事故を起こしたため
仕事はあっという間になくなりました。

竜二には梅の種という小学生の兄弟子がいます。
梅の種は引越しで離れて竜二は存在を知りませんでした。
師匠に梅の種との落語対決をするよう企てられます。
負けた方が落語家を止めるということになります。
結果は梅の種が勝ちました。
梅の種は実際には自分の負けだと、竜二の弟子になると
言いだします。

竜二は無免許運転を繰り返し、事故を起こして
あちこちを骨折して長期療養が必要となります。
おまけに落語家として大事な声が出なくなりました。

梅寿50周年記念の落語会で師匠が演じる「地獄八景
亡者戯」の前半をやるよう師匠に命じられます。
竜二は声がでません。
それでも姉弟子の稽古を受けて覚えます。
当日が来ました。まだ声はでません。
高座に上がっても声はでません。
紙芝居のように絵で客にわかってもらおうとします。

突然扇風機がまわり紙を吹き飛ばしてしまいます。
それが竜二の声が戻るきっかけになりました。
師匠が扇風機のスイッチを入れたのです。

今回は梅寿師匠がかっこいいです。
やっぱり長く生きてきただけのことはあると思いつつ
読みました。
竜二は若いだけにあっちこっちぶつかって失敗を
繰り返します。
失敗を繰り返して成長していくのだからしかたないけど
無免許のバイク事故はいただけません。
竜二は最期には落語が好きと落ち着いたようです。

そういえば梅寿は一度も竜二に稽古をつけてやったことが
ありません。師匠と呼ばれてそれはちょっとないのでは
ないか思います。