ISOな日々の合間に

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持続可能な漁業:取り組みの一面

2007年07月25日 | 健康と食
「仕組みが違うと効果がまったく異なる」

日経新聞では、「欧州連合(EU)の農漁業相理事会で11日、ヨーロッパウナギの稚魚の漁獲量規制が承認された。ヨーロッパの稚魚は中国で養殖、加工され日本に輸入されており、輸入業者やうなぎ専門店は価格への影響は避けられないとみて、先行きへの懸念を口にした。」と報じていた。

海洋資源の大量消費については、FAO(国連食糧農業機関)が2004年に以下の警告を発表している。「漁業資源の7%は枯渇し、16%が乱獲されている。全体の57%は(乱獲と枯渇を防ぐため)緊急に管理が必要である」と。更には、BSEや鳥インフルエンザの影響で欧米に置いても安心な蛋白源として魚が見直され需要が拡大している。このため持続可能な漁業に関する議論が活発になっている。

テレビ東京(NHK?)が数日前に放送した番組では、鯖漁に関する日本とノルウェーの漁獲量規制方法の違い、そしてその効果の違いを紹介していて、印象深かった。

日本もノルウェーも、さばの漁獲量には年間総量枠が設定されている。日本は全体の漁獲量枠しか設定していないが、ノルウェーは更に個々の権利者に漁獲量枠を設定している。

日本の規制方法では、漁期になると皆一斉に早い者勝ちで漁をする。一方のノルウェーでは、それぞれに割り当てられら漁獲枠の中で、如何に付加価値の高い魚を取るかに腐心する。

その結果、日本では魚齢に関係なく我先に量確保に走るため、魚齢1年や2年物も大量に捕られてしまうので漁業資源の枯渇の危険性が極めて高い。一方、ノルウェーでは油が乗って美味しい魚齢4年を主体に漁することになるので、資源の枯渇の懸念が少ないと言う。

漁獲量規制でもその枠組みの設定方法の違いで、持続可能性を阻害したり、促進したりする実例として「目から鱗が落ちる」心境でした。