シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

マルコビッチの穴

2006-12-14 | シネマ ま行

なぁんかヘンテコな話ですよ、これ。
7と1/2階にある会社に就職した本業は人形遣いの男(この人が人形遣いっていうのがミソね)クレイグシュワルツジョンキューザックジョンマルコビッチの頭の中に15分だけつながる穴を発見する。
って、ここまで書いてすでにワケ分からんでしょ。だいたい7と1/2階ってなんじゃ?この階のことはきちんと映画で説明されます。このビルを建てた人の妻が小人病でそんな彼女が引け目を感じないでいられる場所を作ろうというわけで、他の階よりも天井が低い階を作ったのが7と1/2階。この映像を見てるだけで腰から首にかけてが痛くなりそうですよ。
そしてこのジョンマルコビッチの頭の中に15分だけつながる穴っていうのは説明不能なんですが、もうこれはそういう設定なのだからとあきらめるしか仕方ない。
不条理コメディですからね。分からなくていいのです。この不条理に身を任せて楽しんでしまいましょう。

この話ね、設定は不条理極まりないんですが、三角関係の話を中心に楽しむことができます。この人形遣いクレイグと同じビルで働き、彼と一緒にマルコビッチの穴で一儲けをたくらむ女マキシーンキャサリンキーナーと人形遣いの妻ロッテキャメロンディアスの三角関係。三角関係と言っても人形遣いの男を頂点とした三角関係ではありません。そこんとこがまた普通じゃない。魅力的な女マキシーンを頂点とした三角関係なのです。どういうことよ?って思う人もいますよね。そりゃそうですね。まず、人形遣いは動物好きでダサい妻ロッテ(キャメロンディアスがダサいって?って思う方もいるでしょう。この映画では髪の毛ボサボサのダサい妻を演じているのです)よりも、大人の色気たっぷりのマキシーンに惹かれます。そして、ロッテはマルコビッチの穴を体験したときに出会ったマキシーンに惹かれ、自分の新たな一面に気付くのです。そして、マキシーンはと言えば、マルコビッチに入っているときのロッテに惹かれているのです。ここもただの同性愛絡みの三角関係ともちと違う。

という、どこまでいってもヒネリが加えられている設定のお話で理解することをあきらめて、もう思い切ってこのジェットコースターに乗っちゃいましょう。それができれば、このワケ分からんワールドをなんだか楽しめるようになってくると思います。この三角関係以外の要素もあって、マルコビッチの穴の謎も一応この中では解説されるんですが、それがまた摩訶不思議でねぇ。この脚本を書いたチャーリーカウフマンの頭の中ってどうなってるんですかね?「アダプション」も「エターナルサンシャイン」も奇想天外だったけど、人の脳みその枠を取り除いちゃうみたいな感じとでも言うのかな?それでいてどこか哲学的というか…奇妙キテレツな発想をする人です。

ワタクシはキャメロンディアスとキャサリンキーナーが恋に落ちちゃうなんていう、ほんとにチャーリーカウフマン以外の脚本ではありえない設定をかなり楽しみましたし、ジョンマルコビッチの親友がチャーリーシーンっていうのにも笑いました。マルコビッチとチャリ坊って…ハリウッドの中でももっとも遠い存在ですもんね。

終わってみると、ほんで何やねん?っていう釈然としない気持ちに支配されちゃうんですけど、やっぱりそれは「不条理」という言葉で片付けられてしまうのでしょう。
どうせ入れるならワタクシはジョンマルコビッチは選ばないけど、彼のあのミステリアスさと才能と色気を考えるとこの映画的にはジョンマルコビッチを選んだのは絶妙と言わざるを得ませんね。



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