
これは見に行くかどうか迷っていたんですが、時間が合ったので見に行きました。デビットボウイの息子ダンカンジョーンズの監督作品ですね。これはデビットボウイの息子とはいえ、親の七光りとは言えない作品ができあがっているのではないでしょうか。
ワタクシは特にSFファンというわけではないのですが、一応映画ファンとして「2001年宇宙の旅」とかは見ているので、なんとなくこの作品がその辺りへのオマージュかなってことは分かりました。全体的な雰囲気も低予算で作られたこともあってかとても70年代チックにできあがっていましたね。
さて、近未来人類は必要なエネルギーを月で採掘していて、その任務に着いているのがサムベルサムロックウェル。なんでこの人がたった独りで任務に着いているのかちょっと疑問なんですよね。ネタバレしちゃいますけど、彼はクローンだから独りでも良いってことなのかな?ここにいるクローン人間は独りなんですが、彼を手伝うAIがいてそのAIは画面にニコちゃんマークがついていて、それでちょっとした感情を表しているところが妙に可愛かったです。
ケビンスペイシーが声を演じているこのAIのガーティはHALのような感じなのかなーと思って見ていたんですが、なぜかガーティはクローン人間サムベルの味方をしていましたね。てか、それはなぜ???その辺も掘り下げてくれるともっと良かったかも。
なんせ登場するのがこのクローン人間1号と、すれ違いで誕生したクローン人間2号。(ここには何体もサムベルのクローンが寝ていて3年ごとにガタがくると次のクローンが起されるという仕組み。そして、その仕組みにクローンたちが気付いてしまって、というお話)つまりどっちもサムロックウェルが演じているわけでさながら彼の独り芝居。彼が見事に3年目でガタが来ているほとんど死に掛けの1号といま起きたばかりの元気な2号を使い分けていて、見た目はもちろんまったく同じ人間なのにまったく別人格のように思えてくる。設定として特に目新しいわけでもないこの作品がこれだけ高い評価を受けているのは彼の演技によるところも非常に大きいと思う。この役者さんは、ほんとに役によって好きになったり嫌いになったりしてしまうんですよ。イヤな奴のときはほんまにムカつくし。ようするに、それだけうまいってことですよね。
にしても、、、上映時間を見ると97分なんですねー。なんか長く感じた。セリフが少ないのと全体的に無機質な感じがしたからかなぁ。まぁ悪い意味だけではないのですが。
設定に色んな無理を感じながらもこのクローンたちの悲哀というのが感じられてなかなかに切なかったですね。知らないうちに成長した我が子(とクローンが信じさせられている子)と通信がつながるところなんかは、やっぱり辛かったな。SFノスタルジック悲劇ってとこでしょうか。最後の最後の展開を見ると悲劇で終わるわけではないのかな。でも、大企業のズル賢さでサムベルのクローンの訴えなんてひねりつぶされるのでは?と思ったり。
オマケこの未来の大企業、韓国籍みたいですね。少し前なら確実に日本だったような…時代の流れでしょうか。(ワタクシは日本の経済が世界の中でトップにいる必要はないと思っている人間ですが)
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