シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

コーカサスの虜

2005-10-27 | シネマ か行

「踊る」「下妻」ときて、ここでいきなりがらっと雰囲気が変わります。

この作品を知っている、または観たという人はかなりの映画オタク映画ファンではないでしょうか?ワタクシはコアな映画オタクの方々と交流がないので、この映画を観たという人にまだ実際に会ったことがありません。ですが、もし、レンタル屋などで見かけることがあったらぜひ観てほしいです。

ロシアのチェチェン共和国への軍事介入を背景に描かれた作品ですが、トルストイの同名小説が原作だそうです。(この点についてはのちに解説を読むまで知りませんでした。有名な作品なのかな?トルストイだから、有名なんでしょうね。無知ですいません)舞台がチェチェンということで(撮影は隣国で行われたそうですが)日本人からするととても「現代」とは思えない雰囲気ですね。

けど、ここ何年かロシアで起こっている一般人を巻き込んだテロ事件は、ほとんどチェチェン紛争が元になっていますから、これがまぎれもなく「現代」の「現実」なんですよね。

チェチェンで捕虜にされたワーニャとサーシャ(軍人)はロシアに捕えられた人質との交換用の人質としてチェチェン人アブドゥルに買われます。ロシアと人質交換の交渉がうまく進まない中、必然的に捕えた側と捕えられた者とが共に暮らす時間が長くなっていきます。こういうシュチュエーションは結構あって「ストックホルム症候群」というやつでしょうか。映画として取り上げやすいテーマだと思うのですが、この辺りの描写がとても抑えた感じでドキュメンタリー風の演出なので映画に慣れてない人にはちとしんどいかも。ワタクシはこの演出がすごく良かったと思っていますが。

こういう撮り方だからこそ戦争の無意味さやむごさなどがことさらに強調しないでも伝わるのではないかなと。

淡々と物語が進行する中、果たして人質はどうなるのか?

チェチェン人のアブドゥルはおそらく自分でも分からない理由で主人公の命を取ることを断念します。が、、、最後に起こる悲劇。チェチェン攻撃に向かうロシア軍のヘリの群。あまりにもつらく悲しい現実。大国の思惑に犠牲になる人々。最後の主人公の「止めろー」という叫びが胸に突き刺さります。静かな涙が自然に流れ、見た後もずっと忘れられない、思い出すたびに胸が痛くなる作品です。

 

 


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