シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

葛城事件

2017-09-11 | シネマ か行

WOWOWで見ました。短めの感想を書きます。

理屈っぽくで独善的で暴力的な父親三浦友和が君臨する家庭。母親南果歩は父親には逆らえず、徐々に精神を病みつつあるように見える。長男・保新井浩文は昔から良い子で父親には可愛がられていたが、気が弱く仕事はうまく行かず妻子を置いて自殺。次男・稔若葉竜也はデキが悪く父親には嫌われ、母親には甘やかされて育つ。一発逆転を狙って通り魔的に8人を殺傷し死刑宣告を受ける。死刑制度に反対する女性・星野順子田中麗奈は自分の信念を実践するためそんな稔と獄中結婚する。

家という名の小さな密室の地獄。家族の絆という名の鎖。その象徴のような出来事の積み重ね。

みんな「家族、家族」うるさい。「家族」というものに過大な期待をかけ過ぎだと思う。

しかしある意味で特に珍しくもない家族でもあるように思える。これくらいの家庭ならごろごろあるんじゃないかな。そのすべての家庭が殺人犯を出すわけではないのはもちろんだけど。

ターニングポイントはいくつかあったと思うが、稔がお兄ちゃんの子どもを殴ってケガをさせたと告白した時にお兄ちゃんがちゃんと稔を叱り飛ばしていたら、お母さんと稔が実家を出たときにお兄ちゃんがお父さんに2人の居場所をばらさなければ。でもそれができないのがこの家庭で育ったお兄ちゃんという人だったのだと思う。

星野順子が最後にこの父親に「あなたそれでも人間ですか?」と言ってしまう。星野順子の信念など、簡単に吹き飛ぶくらい寒気のするような人間性や相互の関係がそこにはある。



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