シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

もうひとりのシェイクスピア

2013-01-16 | シネマ ま行

シェイクスピアは別人説というのは、世界中で語られる謎である。その謎に迫る作品ということで興味があったのですが、監督がSFアクションが得意なローランドエメリッヒということで一抹の不安がありました。しかし、見始めるとそれがローランドエメリッヒの作品ということを忘れてしまうほどの歴史劇に仕上がっていました。

演劇の執筆は偶像崇拝だと主張する養父ウィリアムセシル宰相デイヴィッドシューリスに育てられたオックスフォード伯エドワードジェイミーキャンベルバウワーのちリスエヴァンスは養父に隠れて演劇を執筆し、人気作家ベンジョンソンセバスチャンアルメストロを買収して、作者不明のまま自分の書いた劇を世に発表する。最初の作品は大好評で、誰も作家を名乗らないのをいいことに舞台裏にいたウィリアムシェイクスピアレイフスポールという役者が自分が書いたと名乗り出てしまう。以来、ベンジョンソンはオックスフォード伯とシェイクスピアの橋渡し役となり、オックスフォード伯はシェイクスピア名義で次々に名作を発表する。

と、ここまでは「シェイクスピア別人説」のお話なんだけど、このオックスフォード伯という貴族の人生がなにやらややこしく、若き日のエリザベス女王ジョエリーリチャードソンのちヴァネッサレッドグレーヴとオックスフォード伯、その隠し子ヘンリーリズリーゼイヴィアサミュエルの話やら、ウィリアムセシルとその息子、ロバートセシルエドワードホッグが企むお世継ぎ問題などが絡まってなんだか複雑な様相を呈してくる。

ぶっちゃけ途中からは「シェイクスピア別人説」どーでも良くなっちゃった!みたいな雰囲気でした。どっちかっていうとイギリス王室をめぐる醜聞って感じ?エリザベス女王が置かれている状況とか世継ぎに名前が挙がっているジェームズ1世とかワケ分からなくなっちゃう人もいるかも。ワタクシはエリザベス女王を描いた映画「エリザベス」見といて良かった~と思いながら見てました。

でも、実はワタクシ、このオックスフォード伯とエリザベス女王の隠し子がヘンリーリズリーなのか、オックスフォード伯と親しくしていたもう一人の若者ロバートデヴァルーなのか途中でどっちか分からなくなってしまって混乱しました。それはワタクシがぼーっとしていたからで、作品のせいではないとは思います。

このオックスフォード伯の書きたい欲求というのと、エリザベス女王への愛みたいなことがうまくリンクしていればもっと物語は盛り上がったと思うんですが、ちょっとこの2つの筋がバラバラに存在してしまった感はありました。多少、シェイクスピアのいくつかの物語とリンクするような場面もありましたが、それも「恋におちたシェイクスピア」ほどではなかったかな。どうせなら、脅迫してきた役者シェイクスピアを殺してしまったオックスフォード伯が皮肉にも自身のキャリアにも終止符を打つことになってしまうとかいうプロットではどうだったでしょうね。あ、決してこの作品のプロットが面白くなかったという意味ではありませんが。

シェイクスピア別人説そのものよりも昔の時代の英国王室、貴族の物語を楽しむつもりで見たほうがより楽しめるかもしれません。

オマケ1エリザベス女王の白塗りはあの時代はあれが普通と分かっていてもやっぱりちょっとぷぷっと笑えてしまいます。

オマケ2若き日のエリザベス女王と晩年のエリザベス女王を演じているジョエリーリチャードソンとヴァネッサレッドグレーヴは親子ですね。ジョエリーリチャードソンってお姉さんのナターシャリチャードソンと区別がつかないんだよなぁなんて思いながら見ていましたが、よく考えてみたらナターシャリチャードソンは2009年に45歳の若さで亡くなってしまっていたことを思い出しました。



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