シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

4デイズ

2014-09-24 | シネマ は行

ここ数年「〇〇デイズ」という題名の映画が多くて、どれがどれか分からなくなってきています。今回は4日間。

イスラム教に改宗したアメリカ人スティーブンアーサーヤンガーマイケルシーンによって国内3か所に核爆弾が設置され4日以内に爆発する。ヤンガーは自ら当局に捕まったがなかなか要求を言おうとしない。FBI捜査官のヘレンキャリーアンモスらはテロ関係者を逮捕したつもりが、実はその男は尋問のプロHサミュエルL.ジャクソンで、ヤンガーを拷問し爆弾の場所を吐かせる役目を負っていた。

拷問という手法に反対するヘレンだったが、政府はHの拷問に期待していた。Hは拷問の合間にヘレンに尋問をさせ、いわゆるグッドコップ、バッドコップの手法でヤンガーに自白させようとしていた。

Hの実際の拷問のシーンは思うほどエグくはないかな。内容はエグいけど、映像的にはそうでもないです。それよりもHとヤンガー、ヘレンとヤンガー、Hとヘレンの心理戦が結構面白かった。拷問の有効性について信じているか信じていないかという信条の部分もだし、有効性だけではなく人道性の部分でもぶつかりあうHとヘレンのやりとりが面白い。そして、ヤンガーの意図は一体なんなのか?その意図が分かった時のそれぞれの反応も興味深いものだった。

Hはヤンガーに対してもっとも過酷に接している人間でありながら、ヤンガーの中東からのアメリカ軍の撤退要求が出たときには、「奴の言うことはもっともだ。要求を飲んでやればいいじゃないか」と言う。しかし、テロリストとはネゴしないというアメリカ政府の方針は譲れない。まぁそりゃそうだわな。いくらヤンガーの言う事がごもっともだとしても、こんな方法で政府の外交方針を変更するなんて前例を作ったらこの先どんなテロ組織が同じ手法を取って来るか分からない。誰でも暴力に訴えれば政府の方針を変更できるってことになってしまうもんね。

ヤンガーの見せしめのためのプラスチック爆弾がモールで爆発して小さい子供を含むたくさんの人が死んでしまい、ヘレンがそのことについてヤンガーを責めるけれど、ヤンガーはあんなことはイラクでは日常茶飯事だ、お前たちアメリカ人は日々小さい子どもたちを殺しているんだぞと言われてしまう。そうなんだよな…このセリフを言われるとキツイよね。自分の目の前の一人が殺されれば大騒ぎするけれど、よその国でどれだけ多くの小さい子が自国の軍隊に殺されようと自分たちは関係ない。そういう顔して生きているのがいまの私たちなんだもんね。

Hも拷問したくてやっているわけではないのが垣間見えるのは良かった。でも、ヤンガーの奥さんをヤンガーの前で簡単に殺してしまうというシナリオはどうかと思ったなぁ。あれはヤンガーの前でわざとやってみせた芝居で奥さんはちゃんと生きているという設定じゃないと、Hがただ感情に任せて人を殺したことにしかならないよね。あとから生きている奥さんが裏で出てくることを期待していたんだけど、最後まで登場しなかったことを考えるとやっぱり本当に殺してしまったんだよね?

ようやく3つの爆弾の場所をヘレンに教えるヤンガーですが、Hはあまりにも簡単に場所を吐いたヤンガーを疑います。ここまで計算し尽してきた奴のこと、何か裏があるに違いない。ヤンガーの前で子どもを拷問しようとするH。それだけはやめてくれと懇願するヤンガー。Hは3つの爆弾の場所を吐いたということはこいつは4つ目を用意している!と言い子どもを拷問しようとしますが、FBIや軍もHを必死で止めようとしその間にヤンガーは奪った拳銃で自殺してしまいます。大失態。

そして、問題はここからです。ラストシーン。3つの爆弾を解除しに行っているFBI捜査官たちのいるとあるビル。そのビルの別のところに秘かにカウントダウンをしている時限爆弾。3、2、1、0。そこで映画は終わります。

やはりHの読みは正しかった。計算し尽したヤンガーの計画を読んでいたのはHだけだった。そこに甘っちょろい感傷の入るスキはない。

ただこのラストで公開されたのは日本だけらしいです。やはりテロリストの勝利となるラストで欧米で公開するわけにはいかなかったというところでしょうか。でもねぇ、映画としては、あくまでも映画としてはですけれども、このラストのほうが断然面白い、というかこのラストがなければ、なんじゃこの映画?ってなると思うんだよねー。そこまでの心理的な戦いとかHとヘレンのぶつかり合いとかが全部あのラストに集約されていると思う。ある意味このラストで見られたのはラッキーだったかも。



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