電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

「そこにいる」だけで十分価値がある――曽野綾子

2024-03-19 | 03-自己・信念・努力
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
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多くの人が「気にする」のは、自分はこの世に生まれてきて果たして意味があったのだろうか、ということだ。ことに女性は会社勤めをして、利益をあげるのに貢献したという実績もないから、結婚して子供を育てたという事実があっても、功績を自覚しにくい。しかし私くらいの長い年月を生きてくるとわかるのだ。人は「その場にいた」ということだけで、必ず人の役に立ってきたのだ。


◆819 この世に生まれた意味/「そこにいる」だけで十分価値がある――曽野綾子
(「曽野綾子の透明な歳月の光」産経新聞 H30(2018).10.03 )

人生の後半に入ってくると、自分は何のために生きてきたのだろう、と話し合っていることがある。自分がそのサークルに入って喋っていることもあるし、そこにいる他人の話を、深い思い入れをもって聞いている場合もある。

多くの人が「気にする」のは、自分はこの世に生まれてきて果たして意味があったのだろうか、ということだ。ことに女性は会社勤めをして、利益をあげるのに貢献したという実績もないから、結婚して子供を育てたという事実があっても、功績を自覚しにくい。

しかし私くらいの長い年月を生きてくるとわかるのだ。人は「その場にいた」ということだけで、必ず人の役に立ってきたのだ。

長い夜道を、不安を覚えながら歩いている若い娘がいる。折あしく向こうから、黒いオーバーの襟を立てて歩いてくる男がいる。危険人物なのだろうか。

そんな時、いかにも主婦然とした外見の「私」が、一人通りかかっているだけで、若い娘は少し安心する。黒オーバーが悪い人でも、主婦らしい人は、自分と一緒に大声を出して助けを呼んでくれるだろう、と思う。

私の知人の女性がある時、友人からもらった掘りたてのジャガイモを手提げに入れて、電車に乗った。そして、ふとしたはずみに袋の持ち手の一方をはずしてしまった。ジャガイモは電車の床一面に転がった。

慌てて拾うのが当然だが、効率よくいかない。彼女ははいつくばり、車両の半分くらいの面積に散らばっているジャガイモを拾い集めた。すると中の一人のおばさんが席から立ち上がって手伝ってくれた。普通澄ました顔をしている都会風人種は、こういうことに手を出さない。しかしその人は自分の手提げを座席に置き、20個近くのジャガイモを拾い集めるのに手を貸してくれた。

ジャガイモの所有者は、その気さくな手助けに心を打たれた。逃げたジャガイモ共が、首尾良く「捕獲」できたところで、彼女は4、5個のジャガイモを相手に返した。

「お礼の気持だけですけど」

「あら、すみません。いいんですか? 新ジャガのお味噌汁はおいしいから、うれしいですよ」

聞いていた人は、ジャガイモはもらえなかったけれど、新ジャガの味を思い出して、明日はジャガイモを買おうと考えたと思う。

この場合、ジャガイモを床に落とした人も拾い集めてあげた人も、共にそこにいてよかったのだ。それどころか、ジャガイモを畑で作った人も、この重要な場面を創るのに人知れず役立っていたのだ。

人間生きていて、何かに役立たないことはない。

「私は一生何もしなかった」という人は、この手の陰のドラマを思い描くことに不慣れなだけなのだ。

私は作家としてごく当たり前のことだが、こういう表に現れない陰のドラマの部分を確認することに、長年楽しみを覚えて暮らしてきた。
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