電脳筆写『 心超臨界 』

人は経験に比例して賢くなるのではない
経験に対する対応力に比例して賢くなるのだ
( ジョージ・バーナード・ショー )

自然現象の不思議には自分自身の眼で驚異しなければならぬ――寺田寅彦

2024-03-31 | 03-自己・信念・努力
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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 彼らの第4コーナー「寺田寅彦
  [1] 大病後、三足のわらじで歩む
  [2] 3人目の妻との葛藤
  [3] 「歩き方」教えた名伯楽
  [4] 不思議魂の源泉


寅彦はぼそぼそと話すので教壇での講義はつまらなかったらしい。が、研究室では座談の名手で、めっぽう話が面白かった。弟子たちの能力を引き出すのもうまく、様々なテーマをあてがっては、自由に研究させた。


寺田寅彦 [3]――「歩き方」教えた名伯楽
【「彼らの第4コーナー」09.04.19日経新聞(朝刊)】

学芸員の森香奈子さん(32)が高知県立文学館の寺田寅彦記念室の担当になったのは、2年前。「特に寅彦に引かれたのは『ねー君、不思議だと思わない』と弟子たちに話しかける姿勢です」と話す。

記念室のコーナーはおよそ140平方㍍。遺族から寄贈された愛用の蓄音機やチェロ、タイプライター、本人の手による論文や随筆、手紙、油絵などが展示され、寅彦ワールドにどっぷり浸れる。中でも目を引くのは「門弟(寅彦山脈)」と題した系譜に載った人物の多彩さだ。

雪氷物理学の中谷(なかや)宇吉郎、海洋学の宇田道隆、回折格子研究の藤田由夫、地震学の坪井忠二、気象学の藤原咲平、実験・動物心理学の高木貞二、膠質(こうしつ)物理学・墨流しの芝亀吉、魚類学・随筆の末広恭雄(やすお)。熱電気現象研究の筒井俊正、……。寅彦を起点に科学人脈がなぜ、こうも広がりを見せたのだろう。

中谷は、寅彦が胃潰瘍(かいよう)から回復して、職場に復帰してからの弟子だ。1923年からは東京帝国大学物理学科で、25年からは理化学研究所の寺田研究室で3年間、寅彦の指導を受けた。

やはり中谷も『中谷宇吉郎集第1巻』の中で、火花放電の研究中、火花が稲妻形に遠回りすることに、「ねえ君、不思議だと思いませんか」と話しかけられたエピソードを紹介。「自然現象の不思議には自分自身の眼で驚異しなければならぬ」ことを気づかされたと書いている。

同巻では、寅彦が弟子たちと研究室で週に一回開いた雑談会についても紹介している。「寺田小学校」と呼ばれ、誰かが論文を発表し、後は寅彦が買ってきた菓子を食べながら討論や雑談をする。ある日、中谷が会を抜け出し、さぼっていたら注意された。「オリジナリティというものは、何もない所から出るものじゃなくて、出来るだけ沢山の人のやったことを利用して初めて出せるものだからね」

寅彦はぼそぼそと話すので教壇での講義はつまらなかったらしい。が、研究室では座談の名手で、めっぽう話が面白かった。弟子たちの能力を引き出すのもうまく、様々なテーマをあてがっては、自由に研究させた。

1926年3月の日記に、学生の教育について寅彦は綴(つづ)る。「大学が事柄を教える處(ところ)でなく、学問の仕方を教へ学問の興味を起させる處であればよい、本当の勉強は卒業後である、歩き方さへ教えてやれば卒業後に銘々の行き度(た)い處へ行く」

二女の弥生も『父・寺田寅彦』に「先生とお弟子さん運には恵まれた人でした」と書いている。寅彦は、弟子の育て方を、師と仰ぐ夏目漱石、その俳句の師である正岡子規から受け継いだのであろうか。弟子を育てながら、弟子からも学び、自分をも育てたに違いない。

(特別編集委員・足立則夫)
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