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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

◆タイムリー・タイム

2025-07-05 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
                                    *時間の量と質

◆タイムリー・タイム

人は時計時間のみで生きているのではない。米国で生まれた科学的管理法は、時計時間の削減に傾斜しすぎて人間の創造性を軽視していた。創造のエネルギーは、時計時間の発想だけでは生まれない。21世紀では、時計時間で足腰を鍛えつつ、適時時間の場を組み込みながら、知を総動員する経営が求められる。そろそろ時計時間の呪縛(じゅばく)から逃れるべき時が来ている。

野中郁次郎・一橋大学名誉教授
(「あすへの話題」2007.04.20日経新聞(夕刊))

時間は、二面性を持つ。常に同じ速度で流れる「時計時間」(クロック・タイム)は、量的・客観的である。人間が生理的・心理的に感じとる「適時時間」(タイムリー・タイム)は、質的・主観的性質が強い。前者は規則的だが後者は不規則で可逆的でさえある。ジャズや演劇に見られる即興は、適時時間の典型である。

資本主義の伝統的な生産方式は、ひたすら時計時間を軸に発展してきた。一方で判断を伴う戦略は、ここぞと思うタイミングを感知する適時時間の世界である。トヨタ生産方式では、ラインの稼動は時計時間で管理されている。だが、ひとたび問題が起これば、瞬間的な人の判断でラインを停止しその場で問題解決を図るプロセスが組み込まれている。また、キヤノンでは、経営陣が特定の議題を設けない「朝会」を毎日行っている。出席者は自然体でこの会に臨み、即興的に議論し創発され、議題を共有化することで素早い経営判断・行動が可能になる。時計時間の無駄に見えることも、適時時間で経営効率を支えている。場の経営で知られる前川製作所は、顧客と適時時間を共有しつつ顧客さえわからないニーズを適時発見し、自由度の高い組織を編成し、その実現は時計時間で走りまくる。

人は時計時間のみで生きているのではない。米国で生まれた科学的管理法は、時計時間の削減に傾斜しすぎて人間の創造性を軽視していた。創造のエネルギーは、時計時間の発想だけでは生まれない。21世紀では、時計時間で足腰を鍛えつつ、適時時間の場を組み込みながら、知を総動員する経営が求められる。そろそろ時計時間の呪縛(じゅばく)から逃れるべき時が来ている。


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