電脳筆写『 心超臨界 』

成功はそれを得るために捨てなければならなかったもので評価せよ
( ダライ・ラマ )

大いなる“小さな映画”――「宇宙戦争」

2024-11-16 | 06-愛・家族・幸福
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(2005年7月23日投稿)
「宇宙戦争」を見る。本当は、妻の希望で「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復習」を見るつもりだった。ところが「スター・ウォーズ」は満席。そこで第二候補の「宇宙戦争」となったのだ。人生に偶然はありえない。「宇宙戦争」は、見るべくして見せられた映画なのだと思う。

優れたSF映画は、しばしばコンテンポラリーな問題に対するメタファーとなる。
(スティーブン・スピルバーグ)

H.G.ウェルズの小説「宇宙戦争」は、1898年にイギリスで誕生する。帝国主義列強が戦争を繰り返していた19世紀後半、警世的な架空戦記が多く書かれ、ことにイギリスでは、鉄血宰相ビスマルク率いるドイツ帝国軍に侵略・占領される作品が量産されていた。

「宇宙戦争」は、一国の命運どころでなく、人類とその築き上げてきた文明そのものが、火星人によって蹂躙されるストーリーとして登場する。H.G.ウェルズは植民地主義に対する反発を原作に盛り込んだのだ。スピルバーグ監督は更に、人間の作った文明がエイリアンの侵略に対して、まったく効力を発揮しないという点は、産業革命を問題視する部分の表れだと見ている。

1953年に映画化された「宇宙戦争」も然り。当時のSF映画の多くはソ連との冷戦や核による大量虐殺の恐怖に反応して作られたものだ。

そして21世紀に入った今、9・11同時多発テロやイラク戦争が下地となって、新たな「宇宙戦争」が誕生する。スピルバーグ監督は「E.T.」や「未知との遭遇」に登場させたキャラクターと正反対のものを探求するチャンスを手にしたのだ。友好的ではないエイリアンが実際に地球にやってきたら、どうなるか。この映画では一度も難民となったことのないアメリカ国民を難民に変えてしまう。とにかくリアルで怖い映画なのだ。

ただしそうした侵略の恐怖は物語りの背景にしか過ぎず、映画の本質は、何より、一人の男の家族に対する愛情の物語にある。侵略の手から逃れるために、子供たちを守ろうとする父親の姿、また途方もない異常な出来事を舞台として、初めて目覚める父親の愛情が色濃く描かれていく。

スピルバーグ監督は、「家族のことを愛し、家族の安全を考えるなら、他国の侵略に賛成するなんて考えられないだろう。家族を愛することが、他国で戦争することよりもはるかに重要だということを分かって欲しい」と語る。
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1 コメント

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人生に偶然はありえない (橘 正弘)
2005-07-24 23:28:00
今夕、祇園祭の後の祭を観てきました。若衆たちが豪快に神輿を”差し上げ”る姿から、まだまだ日本は大丈夫だと思います。

神保哲生著「ツバル」は、読まさせられたようですね。人類は、温暖化という滝つぼに向かっているのも知らずに、屋形船の中で宴に興じているようです。いまなら、針路を十分変えることができるのですが・・・。
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