電脳筆写『 心超臨界 』

何もかもが逆境に思えるとき思い出すがいい
飛行機は順風ではなく逆風に向かって離陸することを
ヘンリー・フォード

約束は守らなければならないというのがローマ法以来の鉄則だ――柳井俊二さん

2009-12-25 | 04-歴史・文化・社会
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外交の基盤――柳井俊二・国際海洋法裁判所判事
【「あすへの話題」09.12.22日経新聞(夕刊)】

国同士の付き合いである外交も、国を代表する個人間の信頼関係がなければ成り立たない。機敏な情報は、相手が漏らさないという確信がなければ渡せず、漏れれば情報提供者の生命さえ危うくする。交渉相手の提案が本音か、約束を守れるか等の点について信頼がなければ交渉はまとまらない。約束は守らなければならないというのがローマ法以来の鉄則だ。

国際的な信頼関係は一朝一石にはできない。相手国の文化や言語を深く理解し、個人的な友好関係を築く努力を長年積み重ねてはじめて国際的な人脈ができ、国家間の信頼関係も構築される。専門家の意見も聞かず、根回しもなしに首脳がいきなり会って短時間話をしても成功しない。首脳会談はエベレスト登頂と同様、重い荷物を担ぎ上げる人が必要だ。主要国首脳会議(G8)の準備をする事務方責任者がシェルパと呼ばれる所以(ゆえん)だ。専門知識と長い経験を持ち、長期的戦略と冷静な判断力を備えたプロの外交官の仕事だ。他国の同僚たちとの協力も必要である。

外交にもインフラが欠かせない。日本外務省の定員は現在5703人だが、米国はこの4倍。フランス2倍弱、ロシア1.7倍、中国1.5倍で主要国の水準は高い。大使館の数も127で、米、中、仏、独、露、英に及ばない。発展途上国との友好関係構築に欠かせない政府開発援助(ODA)は、かつて世界一の規模だったが、年々予算が削られ、米、独、英、仏に抜かれて5位に転落した。韓国は、最近外交を支援する財団を創設したが、日本は後れている。資源も軍事力もない日本が熾烈(しれつ)な国際競争に勝つためには、外交のインフラ整備が不可欠だ。国の安全と繁栄は、只(ただ)ではない。

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