電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

ここにいる9割の連中は、今のオレより劣る―― D・ディーン

2008-12-30 | 03-自己・信念・努力
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実況も個性派ぞろい――「毒舌」の真実 復帰で証明
スポーツライター・丹羽政善
【「メジャーリポート」08.12.16日経新聞(夕刊)】

「ボイス・オブ・サマー」(C・スミス著)という1冊の本がある。大リーグのスポーツキャスターの歴史をまとめたものだ。今年夏、マリナーズの実況を担当するD・ニーハウス氏が殿堂入り。それを機に手にしたが、選手も絡めて追う構成は、リーグの歴史を別の視点からうかがう機会を与えてくれる。

個性派ぞろいの中でも、アナウンサーのD・ディーン氏の経歴がユニークだ。元選手の彼は1934年にカージナルスで30勝をマークするなど一時代を築いた右腕だが、ケガに苦しみ41年のシーズン限りで引退。その後、実況席に職を移したが、47年にセントルイス・ブラウンズで1試合だけ現役復活を果たしている。

その経緯が類をみない。

「ここにいる9割の連中は、今のオレより劣る」

彼は度々、ブラウンズ投手陣のふかいなさをマイクを通して口にしたそうだ。怒ったのは選手の奥様方。彼女らは球団に電話をかけ、「ディーンにそれを証明させろ」と迫ったという。

当時のB・デウイット・ゼネラルマネジャー(GM)は当初、もちろん取り合わなかったが、9月半ばに37歳のディーンと1㌦で契約する。婦人会がうるさかったこともあるが、ディーンもその気。なにより低迷する集客に、刺激を与えたかったようだ。

シーズン最後のシリーズ。初戦の観客は315人。2日目のダブルヘッダーは1031人。しかし、ディーンが先発した最終戦は、1万5916人に膨れ上がった。

ディーンも期待以上の好投で応え、6年ぶりの登板にもかかわらず、4回を3安打無失点に抑えた。3回に自らヒットを放つ活躍。しかし、それで走塁中に肉離れを起こし、4回を投げきったところで降板した。

足を引きずりながらマウンドを降りるとき、観客は総立ちとなり、口うるさかった奥様方も皆、惜しみない拍手を送ったそうだ。降板したディーンはその後、実況席で試合終了を迎え、「ケガをしたのが舌でなくてよかった」と笑いを誘ったとのエピソードが残る。

12月に入り、ディーンのもとにはチームからクリスマスカードが届いた。中には、ボーナスとして1000㌦の小切手が同封されていたとのことである。

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