電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

私たちは、病院に死を隔離(かくり)したのです――養老孟司さん

2013-03-09 | 04-歴史・文化・社会
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『自分は死なないと思っているヒトへ』http://tinyurl.com/bgx474t
【 養老孟司、大和書房 (2006/12/10)、p24 】

戦後、昭和30年代ぐらいまで、東京でも自宅で亡くなる人の割合が6割を超えていました。いまでは9割以上の人は病院で亡くなる。ということは、家庭は死と出会う場所ではなくったということです。私たちは、病院に死を隔離(かくり)したのです。これがいいか悪いかは別として、それだけ死が抽象的なものになってしまったということがいえるわけです。

「生老病死(しょうろうびょうし)」という言葉がありますが、これを四苦(しく)、四つの苦しみといいます。四苦とは人間が辿(たど)らざるを得ない運命ですが、私はこれを自然と呼んでいる。自然とは、「意識的につくらなかった」ということを意味します。私たちは、意識して生まれてきたわけではありません。自然に生まれた。そして、嫌(いや)だと思っても日を追うごとに老(ふ)け、最後には病気で死ぬ。これらは自分たちの意識となんら関係がないところで起こる。これは、当たり前のことです。

しかし、現代社会は、生まれるところは病院で、病気になったら病院に行き、死ぬのも病院と決まっています。「生老病死という、ほんらい人がもっている自然な部分は見ないことにするという社会」になってしまっているわけです。

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