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中国の弱点暴く知恵――湯浅博・東京特派員
【 「くにのあとさき」産経新聞2013.03.30 】
米国を震撼(しんかん)させたハッカー攻撃の本拠地は、ご存じ、上海の中国人民解放軍傘下の秘密工作チーム「61398部隊」だった。今年1月、温家宝前首相の怪しげな個人資産を暴露した米紙ニューヨーク・タイムズがハッカー攻撃にさらされ、かえって発信源を逆探知できた。
もっとも、米研究機関によると、この部隊は中国の信号情報を扱う“シギント”のスパイ網12局のうちの第2局でしかない。日本を攻撃しているのは、青島にある第4局の「61419部隊」であるという。しかも、これらサイバー戦に、13万人が従事しているというから常軌を逸している。機密情報を盗むだけでなく、水道、電気、交通などライフラインを攻撃する気であるらしい。
前防衛大学校教授、太田文雄氏の「孫子の現代的意義」によると、世界の兵学書の中でも『孫子の兵法』は、計13編のうち「用間篇」として敵味方の間にうごめく間諜、つまりスパイを重視している。なんと2600年前に編まれた兵学書で、彼らは情報を重んじていた。
相手国に食い込むスパイは「内間」として扱う。昨年5月にスパイ疑惑が発覚した中国大使館の前1等書記官はこれにあたるだろう。直接の容疑は外国人等録証の不正取得だが、実際にはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加しないよう農林水産省に働きかけた節がある。ほかに、敵のスパイを買収して二重スパイにする「反間」がある。ちなみに現在、自衛官の外国人妻は800人を超え、その8割が中国系だというから驚く。
こうなると、戦争の定義は大きく変わる。19世紀の帝国主義時代や20世紀の各時代とは別の時代局面に入ってしまった。中国には、かの心理戦、世論戦、法律戦の「三戦」があり、沖縄県の尖閣諸島が「歴史的に中国領」などとウソを連ね、問答無用で攻め立てる。
前防衛相の森本敏氏は国家ビジョン研究会のシンポジウムで、三戦に経済戦や情報戦も加えるべきだと言った。中国は台湾企業を使って沖縄の土地や無人島を買いまくり、那覇空港や米軍嘉手納基地の日米両軍機の離着陸データを集積するからだ。
研究会の主題は「中国に如何(いか)に向き合うか」。お決まりの方法は、中国に国際法を守らせ、日米同盟で抑止を図り、挑発しないこと。だがチベット出身の桐蔭横浜大学教授のペマ・ギャルポ氏は「彼らに法治意識なし。国際法は都合のよい時だけ守る」と具体例を挙げた。
すかさず立命館大学教授の加地伸行氏が、中国の弱点は石油と食料と水の不足にあると突く。日本は石油ショックの経験から、約半年分の石油備蓄がある。ところが中国は、「石油がほぼ1カ月分しかないから、そう簡単に戦争はできない」と継戦能力の欠如を見通した。
しかも、耕地面積の少ない中国は小麦を輸入に全面依存しているから、「小麦を買占め、価格をつり上げよ」と加地先生の鼻息は荒い。水不足はさらに深刻で、北西部は雨量が少なく、地下水は限られ、人工雨計画を模索するほどだ。水を求めて、日本の水源地買収まで策しているとの情報も飛び交う。
問答無用の軍事大国に対しては、手を出せば返り討ちにする「強い日本」になることは当然として、中国の弱点をあぶり出す知恵の出しどころである。
【 これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています 】
中国の弱点暴く知恵――湯浅博・東京特派員
【 「くにのあとさき」産経新聞2013.03.30 】
米国を震撼(しんかん)させたハッカー攻撃の本拠地は、ご存じ、上海の中国人民解放軍傘下の秘密工作チーム「61398部隊」だった。今年1月、温家宝前首相の怪しげな個人資産を暴露した米紙ニューヨーク・タイムズがハッカー攻撃にさらされ、かえって発信源を逆探知できた。
もっとも、米研究機関によると、この部隊は中国の信号情報を扱う“シギント”のスパイ網12局のうちの第2局でしかない。日本を攻撃しているのは、青島にある第4局の「61419部隊」であるという。しかも、これらサイバー戦に、13万人が従事しているというから常軌を逸している。機密情報を盗むだけでなく、水道、電気、交通などライフラインを攻撃する気であるらしい。
前防衛大学校教授、太田文雄氏の「孫子の現代的意義」によると、世界の兵学書の中でも『孫子の兵法』は、計13編のうち「用間篇」として敵味方の間にうごめく間諜、つまりスパイを重視している。なんと2600年前に編まれた兵学書で、彼らは情報を重んじていた。
相手国に食い込むスパイは「内間」として扱う。昨年5月にスパイ疑惑が発覚した中国大使館の前1等書記官はこれにあたるだろう。直接の容疑は外国人等録証の不正取得だが、実際にはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加しないよう農林水産省に働きかけた節がある。ほかに、敵のスパイを買収して二重スパイにする「反間」がある。ちなみに現在、自衛官の外国人妻は800人を超え、その8割が中国系だというから驚く。
こうなると、戦争の定義は大きく変わる。19世紀の帝国主義時代や20世紀の各時代とは別の時代局面に入ってしまった。中国には、かの心理戦、世論戦、法律戦の「三戦」があり、沖縄県の尖閣諸島が「歴史的に中国領」などとウソを連ね、問答無用で攻め立てる。
前防衛相の森本敏氏は国家ビジョン研究会のシンポジウムで、三戦に経済戦や情報戦も加えるべきだと言った。中国は台湾企業を使って沖縄の土地や無人島を買いまくり、那覇空港や米軍嘉手納基地の日米両軍機の離着陸データを集積するからだ。
研究会の主題は「中国に如何(いか)に向き合うか」。お決まりの方法は、中国に国際法を守らせ、日米同盟で抑止を図り、挑発しないこと。だがチベット出身の桐蔭横浜大学教授のペマ・ギャルポ氏は「彼らに法治意識なし。国際法は都合のよい時だけ守る」と具体例を挙げた。
すかさず立命館大学教授の加地伸行氏が、中国の弱点は石油と食料と水の不足にあると突く。日本は石油ショックの経験から、約半年分の石油備蓄がある。ところが中国は、「石油がほぼ1カ月分しかないから、そう簡単に戦争はできない」と継戦能力の欠如を見通した。
しかも、耕地面積の少ない中国は小麦を輸入に全面依存しているから、「小麦を買占め、価格をつり上げよ」と加地先生の鼻息は荒い。水不足はさらに深刻で、北西部は雨量が少なく、地下水は限られ、人工雨計画を模索するほどだ。水を求めて、日本の水源地買収まで策しているとの情報も飛び交う。
問答無用の軍事大国に対しては、手を出せば返り討ちにする「強い日本」になることは当然として、中国の弱点をあぶり出す知恵の出しどころである。
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