電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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信用は正直に苦労して働くところにあり
( グロバー・クリーブランド )
Honor lies in honest toil.
( Grover Cleveland )
◆正直の頭に神宿る
『読むクスリ 30』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1998/12)、p17 )
東証一部に『イエローハット』というカー部品、アクセサリーの店舗を全国に展開している会社がある。
ある日のこと、佐賀・伊万里の店に、四十代の紳士が立ち寄った。
「タイヤに傷がついているんだ。一本だけだけど、これから長崎へ帰らなければならないので、新品と交換してもらえないかね」
店の若い従業員が見てみると、確かにタイヤにはこすったらしい跡があるが、傷というより汚れのようなもので、このまま使っていても支障はない。
だが客にしてみれば、長崎まで帰る途中でパンクしたら困る。高速走行中なら生命にかかわる、という不安があるだろう。
そこで、若者はいった。
「お客さん、このタイヤはまだ十分使えます。でも、ご心配でしょうから、スペアタイヤと取り換えてあげましょう」
「しかし、スペアタイヤじゃ……」
スペアタイヤとはトランクルームに入っている予備のタイヤだが、これにはメーカーがコストダウンのために、手軽なホイールを使っていることが多い。
あくまで応急用で、あまり丈夫ではないから、長距離の高速ドライブには向いていない。
それに、タイヤの1本だけホイールが違っていると、見た目もよくない。
客はこの二つの理由から、スペアタイヤに取り換えるのを渋った。
それでも若者は、にこにこという。
「なに、簡単なことですよ。ゴムの部分は同じですから、スペアタイヤのを外して、こっちに付け替えてあげます」
そうすれば、四輪とも同じホイールで走れることになる。
若者は手早く交換をすませ、“傷”のあるタイヤをスペアタイヤとしてトランクルームに収めた。
客が請求されたのは、わずかな交換の工賃だけだった。
*
そのまま紳士は長崎へ帰ったが、その日のうちに伊万里の店の経営者に電話がきた。
聞けば、長崎で手広く食品を扱う会社の社長だという。
「私は今日、お店の若い人のしてくれたことに感心、いや感激しました」
社長はいった。
新品のタイヤを買いたい、と客のほうでいっているのだから、黙って1本売れば、そのほうがよほど儲けは大きかったはずだ。
ところが若い従業員はそれをせず、わざわざ手間をかけて、客の負担を軽くなるように計らってくれたのだ。
「こんないい従業員がいるということは、お店の経営方針や教育がよほどしっかりしているからに違いありません」
「………」
「そういういいお店が繁盛するような世の中になってほしい。そう考えてお願いすることにしたのですが、ウチの営業車用にタイヤを104本売って下さい」
社長の会社には営業車が26台ある。タイヤが104本。
営業車のタイヤは消耗が激しいので、ひんぱんに取り換える必要があるのだが、それをまとめて頼みたい、というのだ。
若者が1本のタイヤを売らなかったために、思いもかけぬ大量の商談があちらから来ることになった。
昔はこういう出来事をたとえるのに、
「正直の頭(こうべ)に神宿る」
といった。
正直な人には神の加護がある、の意味だ。
*
「その長崎の社長さんも偉い、と私は敬服させられたんです」
と『イエローハット』の社長、鍵山秀三郎さん。
「といいますのはね、ふつう百本を越えるようなタイヤの商談では、一割引いてほしい、とかいう話になるものなんです。それをその社長さんはひと言もおっしゃらず、全額、すぱっ、と現金で払って下さったそうです」
正直者が少なくなり、こすからい商法ばやりの昨今、御伽噺(おとぎばなし)を聞くような話である。
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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信用は正直に苦労して働くところにあり
( グロバー・クリーブランド )
Honor lies in honest toil.
( Grover Cleveland )
◆正直の頭に神宿る
『読むクスリ 30』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1998/12)、p17 )
東証一部に『イエローハット』というカー部品、アクセサリーの店舗を全国に展開している会社がある。
ある日のこと、佐賀・伊万里の店に、四十代の紳士が立ち寄った。
「タイヤに傷がついているんだ。一本だけだけど、これから長崎へ帰らなければならないので、新品と交換してもらえないかね」
店の若い従業員が見てみると、確かにタイヤにはこすったらしい跡があるが、傷というより汚れのようなもので、このまま使っていても支障はない。
だが客にしてみれば、長崎まで帰る途中でパンクしたら困る。高速走行中なら生命にかかわる、という不安があるだろう。
そこで、若者はいった。
「お客さん、このタイヤはまだ十分使えます。でも、ご心配でしょうから、スペアタイヤと取り換えてあげましょう」
「しかし、スペアタイヤじゃ……」
スペアタイヤとはトランクルームに入っている予備のタイヤだが、これにはメーカーがコストダウンのために、手軽なホイールを使っていることが多い。
あくまで応急用で、あまり丈夫ではないから、長距離の高速ドライブには向いていない。
それに、タイヤの1本だけホイールが違っていると、見た目もよくない。
客はこの二つの理由から、スペアタイヤに取り換えるのを渋った。
それでも若者は、にこにこという。
「なに、簡単なことですよ。ゴムの部分は同じですから、スペアタイヤのを外して、こっちに付け替えてあげます」
そうすれば、四輪とも同じホイールで走れることになる。
若者は手早く交換をすませ、“傷”のあるタイヤをスペアタイヤとしてトランクルームに収めた。
客が請求されたのは、わずかな交換の工賃だけだった。
*
そのまま紳士は長崎へ帰ったが、その日のうちに伊万里の店の経営者に電話がきた。
聞けば、長崎で手広く食品を扱う会社の社長だという。
「私は今日、お店の若い人のしてくれたことに感心、いや感激しました」
社長はいった。
新品のタイヤを買いたい、と客のほうでいっているのだから、黙って1本売れば、そのほうがよほど儲けは大きかったはずだ。
ところが若い従業員はそれをせず、わざわざ手間をかけて、客の負担を軽くなるように計らってくれたのだ。
「こんないい従業員がいるということは、お店の経営方針や教育がよほどしっかりしているからに違いありません」
「………」
「そういういいお店が繁盛するような世の中になってほしい。そう考えてお願いすることにしたのですが、ウチの営業車用にタイヤを104本売って下さい」
社長の会社には営業車が26台ある。タイヤが104本。
営業車のタイヤは消耗が激しいので、ひんぱんに取り換える必要があるのだが、それをまとめて頼みたい、というのだ。
若者が1本のタイヤを売らなかったために、思いもかけぬ大量の商談があちらから来ることになった。
昔はこういう出来事をたとえるのに、
「正直の頭(こうべ)に神宿る」
といった。
正直な人には神の加護がある、の意味だ。
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「その長崎の社長さんも偉い、と私は敬服させられたんです」
と『イエローハット』の社長、鍵山秀三郎さん。
「といいますのはね、ふつう百本を越えるようなタイヤの商談では、一割引いてほしい、とかいう話になるものなんです。それをその社長さんはひと言もおっしゃらず、全額、すぱっ、と現金で払って下さったそうです」
正直者が少なくなり、こすからい商法ばやりの昨今、御伽噺(おとぎばなし)を聞くような話である。