司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

外国会社の事業の廃止 その5

2013年01月24日 | 渉外関係

おはようございます♪

早速昨日の続きです。

昨日ご紹介した先例(1)で気になるトコロ。

A.外国銀行の日本における営業所が営業を廃止した場合には、「営業所の廃止と清算人の登記」をする。
(登記事項は「営業所を廃止した旨、その年月日、清算人の氏名および住所」)

→現在は、営業所設置義務が撤廃され、営業所を設置した外国会社が営業所を閉鎖したら、「営業所閉鎖」の登記をし、日本における代表者の個人住所地に登記記録を移すことになります。本店移転のような登記です。

さらに、旧法の「営業所廃止」の登記は、実体法の手続きも登記の手法も先例当時とは異なっていて、「営業所廃止」の登記は無くなっているはずです。

。。。というワケで、考えたのは、「年月日 営業所の廃止」ではなく、「年月日 清算手続開始」というのが良いのではないだろうか?というコト。

これ、昨日ご紹介した先例(2)のケースでして、会社法だと第822条です。

(日本にある外国会社の財産についての清算)
第八百二十二条  裁判所は、次に掲げる場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、日本にある外国会社の財産の全部について清算の開始を命ずることができる。
 外国会社が第八百二十七条第一項の規定による命令を受けた場合
 外国会社が日本において取引を継続してすることをやめた場合
 前項の場合には、裁判所は、清算人を選任する。
 第四百七十六条、第二編第九章第一節第二款、第四百九十二条、同節第四款及び第五百八条の規定並びに同章第二節(第五百十条、第五百十一条及び第五百十四条を除く。)の規定は、その性質上許されないものを除き、第一項の規定による日本にある外国会社の財産についての清算について準用する。
 第八百二十条の規定は、外国会社が第一項の清算の開始を命じられた場合において、当該外国会社の日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。)の全員が退任しようとするときは、適用しない。

↑ ね!? どうですか?
裁判所の命令じゃなくって、管轄官庁の認可にはなりますが、すごく良く似ています。

この場合、清算開始の旨は裁判所の嘱託登記になり、清算人選任については通常通り登記申請を行うコトになるのだそうです。
今回のケースだって、「清算が開始する」のですし、見た目もピッタリじゃないですか?

そしてもう一つ。
清算人の氏名および住所を登記するということですが、現在、日本の株式会社では、「清算人の氏名」と「代表清算人の氏名および住所」が登記事項になっています。
だとすれば、日本の株式会社に類似する外国会社においても、清算人の登記事項は日本の株式会社と同じになるべきではないでしょうか?

次に、
B.登記の申請人は清算人または日本における代表者いずれでも良い。
→これは、平成5年の先例(2)によって、変更されているということだと思いますケド、清算開始命令ではないからな。。。どうなんでしょうね?

最後に
C.添付書類は銀行業廃止にかかる大蔵省の認可証と清算人の選任を証する裁判書の謄本である。
D.清算結了の際は、清算結了登記が必要で、添付書類は「清算人の作成にかかる清算に関する書類」である。
(登記事項は「清算結了の旨、その年月日」)

これは、変更なしってことで異論はございません。

。。。というワケで、現在の取り扱いについて、東京法務局に確認してまいりました!

続きはまた明日♪

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外国会社の事業の廃止 その4

2013年01月23日 | 渉外関係

おはようございます♪

全くワタシは間抜けです。。。。はぁ~。。。^_^;
先例を見つけた途端、チカラが抜けてしまいました。
ナンデ最初に調べないかなぁ~。。。ぃやホント、順番がおかしい。。。
とはいえ、条文を調べるコトは端折れなかったハズなので、良しとしましょう。。。

で、モンダイの先例です。

(1)S57.12.22民四7688号
外国銀行の日本における営業所を廃止した場合の登記申請について
ただし、先例のケースは、複数ある営業所のうちの1つだけを廃止した、というモノです。

(2)H5.10.6民四6522号
清算人選任登記がされた場合の日本における代表者の取り扱いについて

内容を要約しますと、こんな感じです↓↓

(1)の先例
A.外国銀行の日本における営業所が営業を廃止した場合には、「営業所の廃止と清算人の登記」をする。
(登記事項は「営業所を廃止した旨、その年月日、清算人の氏名および住所」)
B.登記の申請人は清算人または日本における代表者いずれでも良い。
C.添付書類は銀行業廃止にかかる大蔵省の認可証と清算人の選任を証する裁判書の謄本である。
D.清算結了の際は、清算結了登記が必要で、添付書類は「清算人の作成にかかる清算に関する書類」である。
(登記事項は「清算結了の旨、その年月日」)

(2)の先例
外国会社が日本における営業を廃止したことにより、裁判所において日本における財産の清算開始決定がなされ、清算人が選任されたときは、日本における代表者の登記は朱抹する。

レアだけど、同じようなケースはあるんですね~。
ちゃ~んと先例になってるじゃないですか。。。

だけど、(2)はそのとおりで良いとしても、(1)はいくつか気になる点があります。
なにせ、現在の商業登記は先例が出た時とは異なっているんでね。。。そのまんまだと、どうもおかしい気がするのです。

皆様はいかがお考えでしょうか?
続きはまた明日♪

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外国会社の事業の廃止 その3

2013年01月22日 | 渉外関係

おはようございます♪

昨日のギモン。。。皆様はどのようにお考えでしょうか?
ワタシは、次のように考えました。。。とりあえず。。。^_^;

≪1と3について≫

すべての日本における代表者の退任の手続きというのは、オオザッパですけど、実質的には、日本の会社の「解散+清算」のようなものですよね。
つまり、解散登記をすっ飛ばして、清算結了登記するようなものです。
。。。で、この制度が新設される前(営業所の設置義務があった時代)は、単に「営業所を廃止します」という本国の決定だけで、「営業所廃止」の登記申請をしておりました。ちなみに、この登記は営業所廃止の効力発生要件ではなく、この登記によって、登記簿(登記記録)は閉鎖されていた。。。ということだったと思います。

そして今回。。。う~ん。。。う~ん。。。
会社法第915条と918条から929条の規定は外国会社に準用されているんですよね~。
だったら、「解散又は支店廃止」と「清算結了」か。。。とも思ったのですけれども、「解散するわけでなし」「支店廃止なら、営業所廃止になっちゃうけど、今はその登記は無くなってるよね。。。?」それに「清算結了って支店にもあるっけ?」とか思ってしまいました。

だったら、違うんだよなぁ~。。。(~_~;)

ま、でも、「登記すべき事項」はともかくとして、実体法上は、「解散」のような登記と「清算結了」のような登記をすべきなんじゃないか。。。と思いました。
厳格な清算手続きをしなければならないのですから、「解散」のような登記をした時点で登記記録を閉鎖することはないでしょう。。。

それならば。。。
「解散」のような登記はせずに、「清算結了」のような登記だけするってのはどう?
とも思ったのですが、清算人が選任されるんですから、そこは登記しなきゃならないハズです。
。。。あ!そうか!
考えてみれば、清算人選任の登記をすれば、少なくとも清算手続きに入ったことは分かりそうなモンです。

そこで。。。とりあえずは、「解散」のような登記はせず、「清算人選任」の登記と「清算結了」のような登記をするんじゃなかろうか。。。という結論に至りました。

さて、そしてもう一つ。
ま、こちらは些細なコトでありますが、「日本における代表者」。

清算人が選任されれば、日本の会社の取締役のように、日本における代表者は職権で朱抹されるような気がしますけど、商業登記法第128条は「外国会社の登記の申請については、日本における代表者が外国会社を代表する。」と規定されています。
これには例外は見当たりません。

ということで、規定がないから、「日本における代表者」は清算人の登記がされてもそのまま残り、登記申請は日本における代表者がすることになりそう。。。。

。。。と、ここまで考えたトコロで、「とりあえず、先例を確認してみようかな」と思いましてね。。。ま、あんまし期待せずに調べたんですよ。。。
そうしたら何とっ!あるじゃないですかっ!?

同じような「外国銀行の支店廃止」のケースが。。。
ただし、かなり古い。。。営業所設置義務が廃止される以前の先例です。

さてこの先例。。。現在も生きているのか。。。それとも。。。???
続きはまた明日~♪

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外国会社の事業の廃止 その2

2013年01月21日 | 渉外関係

おはようございます♪

え~。。。久々の外国会社でした。
ウチの事務所のクライアントさんは、外資系の会社サンがとても多いんで、当然のことながら、外国会社も結構ございます。
ただしっ!!
ワタクシ自身は、英語が不得手なものですから、基本的には日本語のオシゴトを担当させていただいています。
でもねぇ~。。。
外資系の会社サンも担当しておりますんで(あ、もちろん、担当者の方は日本人です)、英語が登場する場面も、外国会社が登場する場面もそれなりに。。。なんです^_^;

。。。というわけで、外国会社。。。
久しぶりなのに、レアケースです。
面白いケド難しい。。。(~_~;)

今回のケースがさらに難しいのはですね。。。
例えば日本法人の場合だとしても、銀行が解散(普通清算)する場合って、普通の株式会社よりも手続きが厳格ですよね!?
けれども、あくまでも「株式会社」です。
つまり、通常の株式会社の解散・清算手続きのほかに、特別法で定められた手続きがプラスされる、という仕組み。
なので、ソコのところ(特別法でプラスされる手続き)が詳しく書かれた文献なんて。。。ない。。。(~_~;)
もちろん、登記申請に関してもほとんどございません。

ということは、とりあえず、頼みの綱は「条文」です。
とにかく準用が多くって、日本法人の場合はこうで、外国会社の場合はココは準用され、コッチはされない。。。という具合でした。
で、結果、要約すると昨日のような手続きが必要であるということが判明しましてね。。。で、登記申請です。

ギモンな点はいくつかあります。

まず、1つ目。
特別法の規定によって、今回の外国会社の日本における事業の廃止に関しては、会社法第820条は適用が除外されているんです。
ということは、すべての日本における代表者の退任の登記もしないハズです。
じゃ、代わりにどんな登記申請をするのでしょう?

2つ目
日本における事業を廃止いたしますと、清算人が選任され、清算事務を行うワケですが、「日本における代表者」はどうなるんでしょうか?日本の株式会社の取締役のように退任するんでしょうか?それとも、そのまま。。。?
登記申請行為は誰がするんでしょ~?

そして3つ目
1つ目とも関連しますが、すべての日本における代表者の退任の登記は、登記が効力要件になってますよね?で、この登記によって登記記録は閉鎖されるワケです。
コレ、日本の会社に当てはめると、ま、清算結了登記(こっちは効力要件じゃありませんが)のようなモンです。
しかし、どうやら、今回の外国会社の場合は、まず事業を廃止した時点でいったん登記(+清算人の選任登記もし)するようなんですね。。。とすると、日本の会社のように、清算結了のような登記が必要なんでしょうか?

う~ん。。。困った。。。(~_~;)

結局、「外国会社であって、外国会社の手続きはせず」「日本の会社の清算手続きと似ているけど、外国会社だから一緒ではない」という感じ。。。。

ま、でも、一つ一つ考えてみました。
続きはまた明日~♪

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外国会社の事業の廃止 その1

2013年01月18日 | 渉外関係

おはようございます♪

本日は、先日予告させていただいたレアケースのこと。

え~。。。どんな案件かと言いますとね。。。
「ある外国の金融機関が日本における事業を廃止するのだけれども、登記申請はどうなりますか?」というもの。

まずはおさらいです。
外国会社が日本における事業を廃止する場合、原則としてはこういう手続きになりますね。

(1)本国において、日本における事業を廃止することの意思決定
(2)全ての日本における代表者の退任公告
(3)日本における事業に関する債権者への債権申出催告
(4)手続終了後、登記申請(登記が効力要件になります。)

そして、登記申請の添付書類は、

・本国官憲の認証のある宣誓供述書(本国において全ての日本における代表者が退任する旨の意思決定がなされたことが記載されたもの)
・公告したことを証する書面
・債権者に対して個別催告したことを証する書面
・登記申請の委任状(代理人が登記申請する場合)  です。

なのですが、今回のように金融機関が事業を廃止する場合は、そうはいきません。

まず、事業を廃止するためには管轄官庁の認可が必要なんですよね。。。
次に事業を廃止した後は、清算人が選任されまして、清算事務を行うのだそうです。
もちろん、公告も必要になります。
で、最後は、清算結了。。。

つまりですね。。。外国会社でありながら、日本の会社が解散した場合と同じような手続きが必要になるってワケです。

。。。と簡単に書きましたが、正月ボケのアタマでここまでのことを理解するのには、相当苦労いたしました ^_^;

じゃあ、一応の手続きの流れが分かったところで、今度は登記申請でございます。
普通とは違うことは分かりましたけど、登記すべき事項や添付書類はさっぱり。。。(~_~;)
法務局に相談に行かねばなりませんけれども、自分なりの結論を出さないといけませんよね~。。。

さて、結果はいかに!?
続きはまた来週~♪

オマケ: 関係する先例があるのをご存じの方。。。とりあえず、ナイショにしといてくださいませね ^_^;

コメント (2)
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