司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

監査役の辞任のハナシ その3

2019年11月15日 | 役員

おはようございます♪

え~。。。前回は、辞任のタイミングについてのオハナシだったワケですが、ちょっと話は変わります。

「辞任届のほかに必要な書類はないのか???」という点。

いかがでしょうか???
これ、実際にどの程度の会社さんが守っているのか???。。。ちょっと疑問ではあるんだけど、監査役には「監査役選任議案に対する監査役の同意権(会社法第343条第1項)」と「辞任監査役の意見陳述権(会社法第345条第2項、第3項)」が認められておりますよね。

前者に関しては、株主総会において監査役選任議案を提出する際に、監査役の同意が必要とされておりまして、監査役が複数人いる場合には監査役の過半数の同意が必要になります。
今回の会社さんの場合は、監査役が2人ですから2人の同意が必要なんです。

この「同意」は、書面によらず口頭でも良いことになっていますが、実務上は書面を取り付けているみたいです(もっとも、これを気にしている会社に限るんでしょう(~_~;))。

。。。でね。。。今回の会社さんは、もちろん必要であれば同意書面を取り付けるのだと思いますけれども、例えば、監査役が辞任した後に株主総会の招集決定(監査役選任議案の決定)をしたとすれば、もはや同意権はないと考えるのでしょうし、監査役が辞任する前に後任者を選任する(=現任監査役の辞任と後任監査役の就任時期を一致させる)のであれば、同意が必要になるんでしょうからね。。。同意(書)の有無に関しても、監査役の辞任時期による。。。ってことになりそう(◎_◎;)

 

次に、辞任監査役の意見陳述権。。。というモノ。

これ、中小企業ですとね。。。気にしている会社はあんまりないと思うケド (~_~;) 今回の会社さんのような状況ですとね。。。やっぱり気になる。。。でしょう。
一応、条文をご紹介しておきましょうか。

(会計参与等の選任等についての意見の陳述)
第三百四十五条 会計参与は、株主総会において、会計参与の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。
2 会計参与を辞任した者は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨及びその理由を述べることができる。
3 取締役は、前項の者に対し、同項の株主総会を招集する旨及び第二百九十八条第一項第一号に掲げる事項を通知しなければならない。
4 第一項の規定は監査役について、前二項の規定は監査役を辞任した者について、それぞれ準用する。この場合において、第一項中「会計参与の」とあるのは、「監査役の」と読み替えるものとする。

具体的にはどうすれば良いの??。。。ってことデスが、「辞任後最初に招集される株主総会」ですので、書面決議は含まれません。
で、辞任した監査役に招集通知を出して、「意見を述べることができますけど、どうします?」的なことをお知らせするようです。

ただ、あくまでも権利であって義務じゃないので、会社がするべきことはそこまで。
通知を受け取っても、辞任した監査役が権利を行使したいと思われなければ、何もしなくても良いんです。

さて、どうしましょう。。。(~_~;)

次回へ続く~♪

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監査役の辞任のハナシ その2

2019年11月13日 | 役員

おはようございます♪

早速、前回の続きでゴザイマス。

監査役が辞任する。。。って、ぶっちゃけ、どういう事情なのか???。。。ってことが結構重要。。。なので、会社サンに聞いてみました。

すると。。。株主の社員(役員かも?)が、今回の会社さんの監査役になっているんだけど、会社(=株主さん)を退職することになったので、今回の会社の監査役を辞任する。。。ということでした。

つまり、何等かのトラブルがあったワケではない。。。ケド。。。これも良くあるんだけど、有休休暇の消化(?)とかで、実際はあと数日しか出社しない。。。だから、本人から貰う必要がある書類は最終出社日までに徴求しておきたい。。。というハナシになるわけです。

 

なるほどね。
お辞めになる事情は分かりました。

しかしですよ。。。まだ決めないといけないことはありますよね。

まず、辞任日。

後任者を選任する。。。ということは決まっているんだけど、株主総会の日程とかは決まってません。
とすると、後任者の選任日と辞任日を合わせるのか、はたまた、後任者の就任日とは関係なく辞任しちゃってよいのか???

え~とね。。。(*'ω'*)

通常ですと、監査役って1人だけの会社が多いんですよ。
なので、監査役の欠員にならないように、現任監査役の辞任と後任監査役の就任の時点は一致させるのが一般的なのです。

この場合、現任監査役の辞任日を優先するならば、あらかじめ株主総会で後任監査役を選任しておくことになります。
例えば、10月31日をもって現任監査役が辞任するとしますと、10月30日に株主総会決議を行っておき、「10月31日をもって監査役●●氏が辞任するので、補欠監査役として●●氏を選任する」という具合。

こうすると、現任監査役は10月31日24時に辞任し、11月1日0時に補欠監査役が就任します。。。よって、欠員はでない。。。ということですね。

 

一方、後任者の選任時に辞任時期を合わせる。。。というやり方もあります。
後任者の選任決議日が決まらない(あるいは、後任者の人選に時間がかかる)ので、現任監査役の本来の辞任時期を後任者の就任まで延期(?)する。。。というモノです。

どちらにせよ、監査役が一人であれば先に辞任したとしても「権利義務監査役」になってしまいますから、辞任日を若干延ばしてた方が無難。。。ということなのかな~。。。と思います。

 

一般的には、今回のようなケースの場合は前者、親会社の人事異動による交代のようなケースは後者になることが多いような気がします。

 

。。。いずれにしろ、こんな感じで現任者の辞任と後任者の就任時期はどちらかに合わせるのが普通。。。なハズ。。。(^^;)

しかし、今回の会社さん。
監査役が2人います。

しかも、定款上、「監査役は1名以上」とされていますから、1人が辞めても欠員にはなりません。
とすると、現任監査役の辞任日と後任者の就任日がズレても、法的なモンダイはなし。
さらに、辞任と就任の間が若干空いてしまっても、後任者が「補欠」として前任者の任期を承継することが可能ですから、特段の支障はない。。。のよね。

だったら、今回は選択肢が増えるな~。。。ということで、どうしたいのか聞いてみました。

だってね。。。「辞任届」の文言って一通りじゃないですからね~。
やり方を決めて貰わないと、辞任届の文言が決まりませんから。

。。。というワケで、そんなに単純なハナシでもなくてイロイロ悩みました(◎_◎;)

次回へ続く~♪

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監査役の辞任のハナシ その1

2019年11月08日 | 役員

おはようございます♪

本日は、先日ご相談のあった「監査役の辞任」についてでございます。
単に「辞任」。。。されど「辞任」。。。ってコトで、実務上のあれこれをオハナシしたいと思います。

 

 

え~。。。この会社さんは、IPO(株式上場)を目指していらっしゃいまして。。。今年の春ごろからご依頼を頂戴しています。
まだ株主さんはさほど多くはないのですケド、チョー複雑っぽい(?)種類株式を導入するのをきっかけに現在に至ります。

以前の記事でも書いたかも知れませんが、会社類型として株式上場準備中の会社サンというのは、イロイロ気を遣わねばなりません。
まずは、法令違反。
手続上の「瑕疵(かし)」がないようにしないとダメですね。
外部の株主さんも入って来ますし、日程の調整や、手続き書類の作成もしっかりやらないといけません。

これ、もちろん、上場会社サンの場合も同じではあるんですが、上場会社では証券会社や証券代行(信託銀行さんなど)もお手伝いしますし、社員さんも人材が充実していますので、実のトコロお手伝いをすることは多くありません。他社事例が公開されているという点も助かります。
ただ、上場会社特有の事情もありますからね。。。大変なコト。。。というのも、ちょっと質が異なるような気がしております。

 

。。。で、今回。

現在、監査役は2人いらっしゃるのですが、1人が任期途中で辞任することになったのだそうです。
なので、株主総会で後任(補欠)監査役を選任するのだけれども、辞任監査役から「辞任届」以外に徴収する書類はありますか?。。。それ以外に注意することがあれば教えてください。。。というお問い合わせでした。

 

皆さまどう思われます?

まず前提の確認が必要でしょう。。。これも以前書いたような気がしますが、「辞任」と言ってもイロイロなんですよね。
たとえばね。。。以前スゴイハナシ(◎_◎;)がありまして。。。外国の大使に任命されたんで辞めます。。。と。

あ、これは取締役なんですけど。。。ぉぉお~っ!!! 確かに、辞任しないとね。

それから、不祥事による辞任もあります。
これは、結構ナマナマしい辞任届が出てきます。

この前あったのは、不祥事かどうかは良く分からないですが、親会社が「辞任勧告」をした。。。というモノ。
結局、ご本人は辞任しないというので、解任することになっちゃいまして(-_-;)。。。これも、実務上はかなりナマナマしいオハナシです。
そのうち記事にするかも知れません。

一般的によくあるケースとしては、「定年退職」ですかね?
定年退職って、本来は役員の任期には影響しないのですケド、内規では定年に関する規定が設けられているのが一般的なんですよね。
会社によっては任期満了まではそのまま。。。ってトコロもありますが、誕生日で退職すると定めている会社もあり、そういう会社は形式的に「任期途中の辞任」という体裁を取っています。


もちろん、普通に転職して(その会社を)お辞めになる(使用人兼務役員が退職するんで、役員も辞める)。。。ということもあります。
ま、これは本当の意味での「辞任」でしょうかね。

親会社からの出向役員さんが、親会社の人事異動により交代。。。というのは、実務上は一番多いかな??。。。と思います。
こちらも、ご本人の意思ではなく客観的な事情によるもの。。。商慣習といってもよいかも!?。。。なので、本来の意味での「辞任」とはちょっと違いますよね。
ただ、そうはいってもご本人は納得して「辞任届」を書いていらっしゃるんで、特に問題はありません。

 

このように、一身上の都合で本人の意思(だけ)によって辞任するのか、ぶっちゃけ本人の意思ではなく形式的に辞任ということにするのか、トラブルの可能性があるかどうか。。。など、辞任の事情次第で対応を変えないといけないんだろうな。。。という気が致します。
法令順守の程度。。。も、実務上は、会社の状況により異なっております。

 

。。。というワケで、前置きだけですみません(-_-;)。。。次回へ続く~♪

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医療法人の理事の就任承諾書 その6

2019年11月01日 | 役員

おはようございます♪

11月でございます( ;∀;)
本日は、組織再編の登記を数件申請いたします。
そのうち1件は、昨年の夏ごろから計画していたので、「ようやくだ。。。(ノД`)・゜・。」。。。感慨深いモノがゴザイマス。

12月1日も予定はしておりますけども。。。なぜか、1月はなし。。。あれっ??

。。。と思っていたら、1月も来ました(^^;)
ちょっとお手伝いすれば良いクライアントさんなので、個人的には「組織再編」って感じはないのですケド。。。

とは言え、最近の組織再編は、あんまり4半期にこだわってはいない感じが致します。
まぁね。。。人事異動とかはあるんでしょうけど、ちょっと不思議な気がするな~。。。


。。。というワケで、前回の続きデス!
認可書に綴られた定款と就任承諾書をどのように解釈するかによって、結論は異なる。。。というハナシのつづきデス!!

どういうことかというとね。。。株式会社の設立のときのように、「定款は紙」で作成されている。。。けれども、定款の原本が添付されているワケでもない。。。
これに関しては、別途定款を添付せよ!。。。と言われることはないようですが、さすがに認可書に添付された定款の写しだと「作成者=理事」でも、定款を就任承諾を証する書面として援用するのは難しいでしょう。。。。(◎_◎;)

次に、就任承諾書の写し。
主務官庁の認可を得ているわけだから、認可書に添付された就任承諾書の写しが就任承諾を証する書面となる(←認可書の記載を援用する)とする法務局もあり、一方、「ぃやぃや!!就任承諾書の原本出せよ!!」という法務局もある。。。ってことなのかも知れません。

で、今回。

認可書に添付された就任承諾書の写しを「就任承諾したことを証する書面」として援用できるとしても「理事長A」としか書いていないから、別途「理事A」の就任承諾書を添付しなさい、ということだったんじゃないかな?と思います。
ただ、定款に「理事長A」と記載されていて、それに対して「理事長Aに就任します」と言っているんだから、定款の記載を「理事および理事長A」と読み替えてくれるなら、就任承諾書もそれで良いんじゃない?。。。という気がしました。

もっとも、今回S君は、理事長Aの就任承諾書は原本を添付したみたいですから、援用のことは考えてなかった模様です。
仮に。。。理事長Aの就任承諾書の原本を添付しつつ、認可書には「理事A」の就任承諾書の写しが合綴されていたとしたら、それはそれで大丈夫だったのではないかな?。。。と思いました。

 

じゃあ、一般的な実務上の取り扱いはどうなってるんだろ??。。。と思いまして、お知り合いの方々に伺ってみました。

結果、基本的に、定款にはハンコがあろうとなかろうと(←これは認可書を作成するお役所が決めることなので、それぞれ)、設立登記の際に別途「定款原本」の添付を求められることはないようです。
そして、今回のように設立時役員として、「理事長A」としか書かれていない(「理事A」とは書かれていない)定款というモノもあり、その場合は「理事長A」のみの就任承諾書(又は認可書に合綴されたコピー)でOK(別途、理事Aの就任承諾書は求めない)とする法務局もあるそうです。

基本的には、認可書に合綴された就任承諾書がコピーであっても、理事及び理事長の就任承諾を証する書面としては、認可書の記載を援用する取扱いが認められているようなんですよね。
なるほど!!。。。普通は、就任承諾書のコピーなんてダメだけど、認可申請の際に添付され、それを前提として設立が認可された。。。ということなんだから、法務局もそれを認めるということなのかも知れませんね。
もっとも、今回お答えくださった皆様は、一応、就任承諾書は別途作成して原本を添付してます。。。という方が多かったデス。

。。。というワケで、S君が、これまで「理事A」の就任承諾書の添付を求められなかった理由としては、想像ですケド、定款に設立時役員として「理事長A(理事Aはなし)」と定められている関係上、「理事長Aとは、理事Aかつ理事長A」と読み替えられていて、これに対応した「理事長Aの就任承諾書」が添付されている。。。つまり、形式的に「理事A」の就任承諾書はないけれども、実質的には添付されているものと解される。。。ということじゃないかな、と思います。

だけど、そうは思ってはくれない法務局もあって、定款は仕方がないけど、就任承諾書は「理事A」の分も別途添付しなさいよね~。。。って感じだったんじゃないでしょうか。
ま~ね~。。。難しいトコロですケド、ワタシとしては、今回の法務局が仰ることを拒否するのは難しかったんじゃないか。。。って気がいたします (~_~;)

 

。。。そんなことをバラバラとご説明しまして、S君、納得してくださったみたいです。

ワタシも、色々考える機会をいただき、なかなか面白かった。。。ごふんっ (*'ω'*)。。。興味深く、勉強になりました♪

あっちこっち飛び飛びで分かりにくかったかも知れませんが、いかがでしたでしょうか?
ご意見をお寄せくださいね。
それと、「この辺はこんな感じです」的な実務上の取り扱いを教えていただけると嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします m(__)m 

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医療法人の理事の就任承諾書 その5

2019年10月30日 | 役員

おはようございます♪

ハナシがとっ散らかっているかな???
ちょっといったん整理してみましょう。

まず、好ましいかどうかは別にいたしまして。。。設立後に理事長の就任による変更登記を申請する場合。。。理事及び理事長の就任承諾したことを証する書面の添付が必要になるワケでございます。
理事の就任承諾を証する書面が必要というハナシは、先例にも書かれておりました。

変更登記に関してですが、以下、引用します
H28.9.1 民商第132号
理事長の就任を証する書面
理事長が理事に選任された社員総会又は評議員会の議事録,理事の就任を承諾したことを証する書面,理事長を選出した理事会の議事録 及び理事長の就任を承諾したことを証する書面が該当する。

なお、株式会社と同じように、社員総会に出席して席上就任承諾をすれば、理事が就任承諾したことを証する書面としては社員総会議事録の記載を援用することができるそうです。
ということですんで、設立の場合でも「理事の就任承諾したことを証する書面」は必要になる。。。はず。。。よね?

法務省のHPでも、設立登記の解説として理事の就任承諾書は必要とされています。

 

さて!
じゃあ、設立登記の場合に添付される定款ってどんなモノなのか??。。。紙の定款が添付されるのでしょうし、定款にはたぶん理事長さんが押印されているのだと思うのです。
ただし。。。ここ、実務をやっていないワタシにはよくわからないトコロでして(◎_◎;)。。。どういう状態で定款が添付されるのか。。。によるのかなぁ~。。。という気がしました。

それからね。。。そもそもS君のギモンとしては、定款に設立時役員として「理事A」とは書かれていなくて、「理事長A」とだけ書かれている。。。これって、ひな型(←認可するお役所でひな型を作っているみたいです。)なんだけど!?。。。これはこれで良いのか!?。。。ということでした。

むむむ。。。( ;∀;)
認可するトコロが「この内容で作りなさいよ!」と仰るのであれば、認可申請するヒトはそれに従いますよね?。。。と~ぜん!!
それに対して、法務局が「そんな定款ダメじゃん!!」とは言いにくいでしょう。

仮に、これが株式会社だとしたら、「取締役A」が抜けてますよっ!!補正っ!!。。。って言いそうじゃないですか??(~_~;)

それはともかく、理事会設置法人なわけだから、一応、地位の分化はある。。。と考えられます。。。ケド、「理事長A」というのは「理事及び理事長A」と読み替えるのだろうな、と思います。
とすれば、定款はとりあえずOK。

そして、定款ですけれどもね。。。認可書にコピーが合綴されているらしく、どうやらこれが一般的なようです。
さらに、認可書には、「理事長A、理事BC、監事D、の連名の就任承諾書の写し」も合綴されている、ということでした。

なるほどぉ~。。。これをどのように解釈するか。。。ってことでしょうかね?

次回へ続く~♪

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