巣窟日誌

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ハンドルネームでなにがわかる?

2004-06-25 23:17:18 | インターネット (CMC)
HNs.gifネットのコミュニケーションについての研究の中に、「ハンドルネームには、本人のアイデンティティや願望が反映されている確率が高い」というものがある。一方、「ハンドルネームは、それが実際の本人のアイデンティティを現してはいないものが多いにも関わらず、ネットでは相手を人となりを判断する有力な手がかりとして使用されている」という調査もある。

たとえば、だれかが「ヨンさまのメガネ」というハンドルネームで、日中の時間帯を中心に、特定のBBSに連続して投稿しているとする。ここで多くの人は、この人間が熱狂的なペ・ヨンジュンのファンの女性だと思うかもしれない。

ペ・ヨンジュンを「ヨンさま」と呼んでいるし、「メガネ」は彼がいつも身につけているものであるから、このハンドルネームに「ヨンさまといつもいっしょにいたい」という願望が出ている。昼間の投稿が多いところから、働いていないのだろう。ペ・ヨンジュンのファンには既婚女性が多いから、おそらく「ヨンさまのメガネ」は専業主婦に違いない!

頭の中で「ペ・ヨンジュンの熱狂的なファンの専業主婦」という、この「ヨンさまのメガネ」氏の人物像がいったん出来上がると、その後のこの人物からの発言は、すべて「主婦が発言した」という色眼鏡で見られて判断される。

こういう判断のしかたは、とても危険なことだ。

かつて、ジェイムズ・ティプトリーJr. (1915 ? 1987)という、非常に質の高い作品を書くアメリカ人のSF作家がいた。ペンネームが男性名だったことと、この作家の経歴が「男性的」??探検家と作家の間に生まれ、CIAに勤務経験がある博士号取得者??だったために、当初は男性だと思われていたが、実は女性だったのである。

あまりにも固く「男性作家だ」と信じられていたおかげで、バリバリのフェミニズムSF(1970年代にアメリカで流行した、フェミニズムの影響を受けたSF。女流作家が主な書き手だった)を書いているのにもかかわらず、男性作家たちからは「さすがに、ティプトリーJr.だ。男がフェミニズムSFと書くと、女が書くものとは異なって完成度が高い。」「さすが男だ。どうだ。女性にあのようなフェミニズムSFは書けないだろう。」と賞賛され、女流SF作家からのティプトリーJr.作品への批判は、ますます厳しくなるという、後になってみれば笑える状況が長らく続いた。

最初から彼女が女性だとわかって、その作品を読んでみると、いかにも女性ならではの作品だ。しかし、「男だ」という信じ込みが、作品に対する評価にバイアスをかけてしまったのだ。

ネットも同じだ。実は「ヨンさまのメガネ」が、女性だという証拠は何もない。昼間に書き込みが集中しているということも、50代の男性が、失業中に暇をもてあまして書いているのかもしれないし、仕事で夜勤シフトの多いだけなのかもしれないし、会社からネットに接続して、こそこそと書きこみをしているのかもしれない。

また、ネットでの自己紹介は、それが本当だとは限らない。わたしも「ふくしまゆみ」と名のっているが、本当は女ではないかもしれない。研究者なんかではなく、女房の稼ぎで食っている、ただのタワケかも…って、いまさら言ってみても、遅いか。

とにかく、自分のハンドルネームを創るときは慎重になろう。ハンドルネームがあなたに対する思いもよらない誤解を、他人に与えてしまうかもしれないから。そして、ハンドルネームから相手の人となりを判断するときは、気をつけよう。必ずしもそれが、その人間のアイデンティティや願望を表しているとは限らないし、ときには実際の自分とは異なる人物の印象をわざと与るべく、考えられたものかもしれないからだ。


「ネコ」ポリス その33

2004-06-25 01:31:45 | ノラネコ
「ネコ」ポリス その32の美しさにいまだ酔いしれ、その余韻にひたっている皆さまには、誠に申しわけないのだが…ホレ! 見てみぃ!

cat_33a.jpg

cat_33b.jpg既出のネコだが、最近顔をあわせるたびに挨拶をしてくるようになったので、「撮ってくれ」という合図にちがいないと思い、撮影。

その挨拶だが、いつも低いハスキーボイスで、短く「ギャン」と言うだけ。中途半端に長い毛並みや、全体的な顔つきや体つきから、血統書つきの洋ネコと筋金入りのノラの間に生まれたのではないかと、推測する。(まぁ、ネコの愛は猫種を楽に超えるからなぁ。)

3132、そしてこの33を見みると、「キミたちは本当に、同じネコの仲間なのか?」と、思わず問いつめてみたくなる。