(オーストラリア)
(ニュージーランド)
(中国)
【ロイター COVID-19 TRACKER 】
【日本 個人の行動規制法整備が議論に】
日本では、感染拡大が続くなかで、国民の間では“コロナ慣れ”“コロナ疲れ”が強まっており、従来の自粛要請では効果が上がりにくい状況ともなっています。
こうした状況に基本的対処方針分科会では、個人の行動制限、つまり法的根拠を持った強制措置としてのロックダウン・外出制限といったものを求める意見も出されています。
****「個人の行動制限法整備を」分科会で複数の専門家****
新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象地域拡大などを議論した17日の基本的対処方針分科会で、複数の専門家が、個人の行動制限に関する法的枠組みの整備を政府に求めた。
終了後に西村康稔経済再生担当相が記者団に明らかにした。
西村氏は「多くの専門家から、今の感染状況やクラスター(感染者集団)の状況などを見て『個人の行動制限に関する法的仕組みについてもぜひ、検討を進めてほしい』『特措法をはじめ、運用改善でできるものがあれば、早く取り組んでほしい』といった多くの意見をいただいた」と語った。【8月17日 産経】
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****分科会 尾身会長“一般の人々への行動制限の仕組みづくりを”****
「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は会合のあと報道陣の取材に応じ、緊急事態宣言に関する政府の方針を了承したと述べました。
その上で「これまで飲食店など、事業者に対していろいろな制限をかけてきた一方で、一般の人々に対する行動制限は完全にお願いベースで行ってきた。
感染状況がここまでくると、分科会のメンバーの一致した見解として、個人についても感染リスクの高い行動を避けてもらえるよう、保障するようなことが可能になるような新たな法律の仕組みをつくることや、あるいは現行の法律で対応できるならその活用をお願いしたいと考えている。
これまで医療機関や医療従事者にお願いベースで行ってきたコロナ対応への協力要請も同じだ。単に協力をお願いするだけではこの事態を乗り越えられないことを想定し、法的な仕組みの構築や現行の法律のしっかりした運用について、早急に検討してほしいという強い意見が出た」と説明しました。(後略)【8月17日 NHK】
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個人的には、政府のワクチン接種への取り組みの失敗、医療システム全体でコロナに対応する態勢がとられてこなかったことなどの結果、個人・一部業種への負担がますます重くなる・・・という印象があって、違和感を感じる議論です。
【豪NZでは「感染者1人」でロックダウン】
諸外国では強制力を持ったロックダウン(都市封鎖)・外出制限が多くみられますが、最近の報道で印象的だったのは、感染レベルはそう高くないオーストラリアや、ほとんど完全に封じ込んできたニュージーランドの“感染者1人でロックダウン”という厳しい対応です。
****豪首都キャンベラ、急きょロックダウン 1年ぶりの陽性者****
豪首都キャンベラは帰国者ではない新型コロナウイルス陽性者1人が約1年ぶりに確認されたことを受け、現地時間12日午後5時から1週間のロックダウンに入ることになった。感染経路が明らかでないため、約40万人が住むオーストラリア首都特別地域の全域が対象になる。
ロックダウン期間中、対象地域の住民は不要不急の外出が認められない。
ロックダウン開始に向けて、スーパーなどでは住民が行列しているという。
オーストラリアでは感染抑制に苦慮しており、二大都市シドニーとメルボルンではロックダウンが続いている。シドニーのあるニューサウスウェールズ州の大部分がロックダウン中で、ヴィクトリア州でもメルボルンに少なくともあと1週間は行動制限が続く予定。
ニューサウスウェールズ州政府は、シドニーでのロックダウン実施を徹底するため、軍の投入を追加する可能性もあると話している。シドニーではすでに非武装の兵約580人が、行動制限の実施徹底のために配備されている。
オーストラリアではワクチン接種率が人口の25%に達していない。累計感染者数は3万7377人、死者は945人と、大半の先進国に比べて少ない(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間12日午前9時時点)。
一方、ロックダウンの規制に反発する人たちが、シドニーなど各地で抗議デモを繰り返している。【8月12日 BBC】
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オーストラリアでは6月頃までは1日の新規感染者を10人前後に抑えていましたが、7月.8月に急増し、8月13日の新規感染者は492人。ただ、欧州・アメリカはもちろん、日本と比べても桁違いに少ない状況です。
オーストラリア以上に少ない「ゼロコロナ」を実現していたのがニュージーランド。
そのニュージーランドでは、2月末以降始めての市中感染者があり、しかも感染力が強いデルタ株と推定されることから、全土でロックダウンの措置に。
****ニュージーランド、感染者1人確認で全国ロックダウン デルタ株の疑い****
ニュージーランドのアーダーン首相は17日、国内で新型コロナウイルスの感染者が約半年ぶりに1人確認されたとして、全国で感染警戒レベルを最上位の「4」に引き上げ、ロックダウン(都市封鎖)措置を導入すると発表した。
アーダーン氏によると、検出されたウイルスのゲノム解析はまだ完了していないが、感染力の強いデルタ株と推定される。
保健省のブルームフィールド長官によれば、最大都市オークランドに住むワクチン未接種の58歳の男性が検査で陽性反応を示した。男性は最近、同じ北島のコロマンデル半島を訪れた旅行歴があり、国境とのかかわりが判明している。
アーダーン氏は、17日午後11時59分から3日間、全国にレベル4の警戒態勢を敷くと宣言した。市民の外出を禁止し、必需品を扱うスーパーや薬局以外の店舗を閉鎖する。同国でレベル4が適用されるのは1年ぶり。オークランドとコロマンデル半島では1週間継続する可能性が高い。
アーダーン氏は会見で、これまでデルタ株が見つかっていなかったのは世界でもまれなケースだと指摘。ニュージーランドは諸外国の経験から、どんな対策に効果があって何が無効かを学べる立場にあると強調した。
さらに「デルタ株は(感染の流れを変える)ゲームチェンジャーと呼ばれてきたし、実際にその通りだ。ということはつまり、拡大を食い止めるには強く、素早く行動する必要がある。制圧できなければどうなるか、私たちはすでに外国の状況を見てきた。チャンスは1度だけだ」と訴えた。
同国はこれまで厳しい国境管理で感染拡大を抑え、市民はほぼ通常の生活に戻っていた。ただしCNNの集計によると、ワクチン接種を完了した人は人口の2割未満にとどまっている。【8月17日 CNN】
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感染力が強いデルタ株、ワクチン接種率が低いという現状を考慮しての政治決断のようです。
なお、オーストラリア・ニュージーランド両国はともに感染が封じ込めているということで、隔離なしの両国間の往来を認めるトラベルバブルが4月から取られてきましたが、前述のようにオーストラリアにおける感染拡大を受けて、この「バブル」も停止されています。
****豪NZ間の「バブル」しぼむ=隔離なし往来を停止―新型コロナ****
ニュージーランド(NZ)政府は23日、オーストラリアの新型コロナウイルス感染拡大を受け、到着後に隔離不要の相互往来を一時停止すると発表した。往来はコロナ感染抑制を前提とした特別措置で「トラベルバブル」と呼ばれるが、インド由来のデルタ株の流行によりバブルがしぼんだ格好だ。
停止期間は(7月)23日深夜から少なくとも8週間。豪州では3州でロックダウン(都市封鎖)が導入され、外出規制の対象が豪国民の半数以上に及んでいる。アーダーンNZ首相は声明で「自国民への健康リスクが高まっている」と強調した。
豪州とNZは4月に自由な相互往来を再開していた。NZ政府は今後7日間で、豪州に残された自国民の帰国を進める。【7月23日 時事】
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【収束に向かう中国】
ニュージーランドの「ゼロコロナ」に近い状態を維持していた中国が最近の感染拡大で外出制限や市民一斉PCR検査といった対応をとっていることは、8月12日ブログ“中国 人民・大手IT企業、更にはウイルスさえも管理・統制する習近平指導部”で取り上げましたが、その甲斐あってか、感染状況は収まってきたようです。
****中国、新規のコロナ国内感染者が3日連続減 7月30日以来の低水準****
中国国家衛生保健委員会は、12日の新型コロナウイルスの新規の国内感染者数が47人だったと発表した。新規国内感染者は3日連続で減少し、7月30日以来の低水準となった。
7月20日に江蘇省南京で始まった直近の感染拡大局面が、落ち着きつつあることが示された。
国営メディアによると、コロナ感染予防で最も厳しい規制が課せられる「高リスク」地区は13日現在、27カ所で変わらなかった。
一方、「中リスク」地区の数は、今週付けたピークの210超から127に減少した。「中リスク」地区は、新規の国内感染者が14日間発生しないと、「低リスク」に分類が変更される。
国家衛生保健委の当局者は会見で「感染が確認された48都市中、36都市以上は5日以上、新たな感染が報告されていない。全国的な大規模な流行のリスクは小さい」と述べた。
ただ同委員会は13日、屋外の人が多く集まる場所でのマスク着用を義務付けた。
中国は8月31日まで夏の行楽シーズン。そのピークで起きた感染拡大は旅行や対面サービスなどのサービス業に打撃を与えた。エコノミストは、旅行関連の消費が減速するとみて、第3・四半期の成長率予想を引き下げている。
国家衛生保健委によると、同国でコロナワクチンの接種が完了した人の数が12日時点で7億7700万人超となった。【8月13日 ロイター】
7月20日に江蘇省南京で始まった直近の感染拡大局面が、落ち着きつつあることが示された。
国営メディアによると、コロナ感染予防で最も厳しい規制が課せられる「高リスク」地区は13日現在、27カ所で変わらなかった。
一方、「中リスク」地区の数は、今週付けたピークの210超から127に減少した。「中リスク」地区は、新規の国内感染者が14日間発生しないと、「低リスク」に分類が変更される。
国家衛生保健委の当局者は会見で「感染が確認された48都市中、36都市以上は5日以上、新たな感染が報告されていない。全国的な大規模な流行のリスクは小さい」と述べた。
ただ同委員会は13日、屋外の人が多く集まる場所でのマスク着用を義務付けた。
中国は8月31日まで夏の行楽シーズン。そのピークで起きた感染拡大は旅行や対面サービスなどのサービス業に打撃を与えた。エコノミストは、旅行関連の消費が減速するとみて、第3・四半期の成長率予想を引き下げている。
国家衛生保健委によると、同国でコロナワクチンの接種が完了した人の数が12日時点で7億7700万人超となった。【8月13日 ロイター】
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【欧州・アメリカ ワクチン接種証明書で「ウィズコロナ」】
一方、欧州やアメリカなど感染者がすでに蔓延している国では、「ウィズコロナ」な方向で、ワクチン接種証明書で日常生活を再開させる流れにあります。
****仏で「衛生パス」提示義務を飲食店などに拡大…「事実上の接種強制だ」と反発の声も****
フランス政府は9日から、新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「衛生パス」の提示義務を飲食店などに拡大した。「ワクチン接種の事実上の強制だ」と反発の声も出ている。
衛生パス提示は美術館などですでに導入されており、9日からは航空機や長距離鉄道の乗客らにも対象が拡大された。違反者には135ユーロ(約1万7000円)の罰金が科される。ただ、政府は今後1週間は経過措置として厳しい取り締まりは行わない方針だ。
インド由来の変異ウイルス「デルタ株」の感染がフランス国内でも拡大しており、仏政府は都市封鎖(ロックダウン)を回避するための措置として衛生パスの活用拡大を決めた。
7日にはフランス全土で衛生パス反対のデモが行われ、仏メディアによると約24万人が参加した。【8月9日 読売】
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「自由の国」フランスですから当然に強い反対はありますが、それなりに定着する様相もあるようです。
****飲食店での“ワクチンパス”提示義務化 「面倒くさい」の声も徐々に定着 同時に反対デモも大きく 仏****
フランスで9日から、カフェやレストランへの入店の際に、ワクチンの接種完了や陰性を証明する、いわゆる“ワクチンパスポート”が義務となった。提示しない客は135ユーロ(約1万7000円)の罰金が課されるほか、確認を怠った店も業務停止となる可能性がある。
ワクチンパスポート提示義務化への人々の反応について、ANNパリ支局の金指光宏支局長は「皆さん席につくと、店員さんに聞かれなくてもスマホを開いてQRコードを提示していたり、テラス席でもパスがいるかどうかを聞くおばあちゃんもいたが、その人も紙のパスを持っていたりして、すでにフランスの中でワクチンパスは定着してきている印象を受ける。お客さんに聞くと、コーヒー1杯を飲むのにもパスの提示が必要ということで、『ちょっと面倒くさい』という声はあがっている。ただ、コロナ禍を考えれば、ワクチンパスの制度は『致し方ないんじゃないか』という声が多い」と説明する。
ワクチンパスポート提示義務化への人々の反応について、ANNパリ支局の金指光宏支局長は「皆さん席につくと、店員さんに聞かれなくてもスマホを開いてQRコードを提示していたり、テラス席でもパスがいるかどうかを聞くおばあちゃんもいたが、その人も紙のパスを持っていたりして、すでにフランスの中でワクチンパスは定着してきている印象を受ける。お客さんに聞くと、コーヒー1杯を飲むのにもパスの提示が必要ということで、『ちょっと面倒くさい』という声はあがっている。ただ、コロナ禍を考えれば、ワクチンパスの制度は『致し方ないんじゃないか』という声が多い」と説明する。
では、ワクチンを接種していない人はお店に入ることができないのか。フランスでは、薬局などでPCR検査や抗原検査を受けることができ、そこで陰性が証明されればパスとして使えるため、大きな混乱などは起きていないという。
また、映画館はすでに7月21日から提示が義務化されているが、金指支局長が取材したところによると、「お客さんがガクッと減ったと。最初の頃は7、8割減ってしまって、若干戻ったが、5割ぐらいになっているようだ。映画館は気軽に行けるところなのに、いちいちパスを用意していくというところで抵抗感が出ているのではないか、と担当者は分析していた」とのことで、経済の面で影響が出ているようだ。
そんな中、ワクチンパスポートに反対するデモが、ここ4週間連続で土曜日に行われている。参加者らの主張は、「自分の体に何を入れるかは、自分の判断でやりたい」「コロナ禍とはいえ、それを強制されるのはおかしい」といったもので、義務化に対する反発が大きい。
また、映画館はすでに7月21日から提示が義務化されているが、金指支局長が取材したところによると、「お客さんがガクッと減ったと。最初の頃は7、8割減ってしまって、若干戻ったが、5割ぐらいになっているようだ。映画館は気軽に行けるところなのに、いちいちパスを用意していくというところで抵抗感が出ているのではないか、と担当者は分析していた」とのことで、経済の面で影響が出ているようだ。
そんな中、ワクチンパスポートに反対するデモが、ここ4週間連続で土曜日に行われている。参加者らの主張は、「自分の体に何を入れるかは、自分の判断でやりたい」「コロナ禍とはいえ、それを強制されるのはおかしい」といったもので、義務化に対する反発が大きい。
これに対して、マクロン大統領は「接種しないという自由のせいで他人を感染させるなら、それは自由ではなく無責任だ」と強気の姿勢を示している。
また、フランス国民であればPCR検査や抗原検査は無料(外国人の抗原検査は25〜30ユーロほど)だが、政府は秋にはフランス国民でも有料化する方針を示していて、有料の検査よりも無料のワクチンを受けるように強く促している形だ。
8月30日からは従業員側のパスの提示の義務化、9月30日以降は提示義務化の対象が12歳以上に拡大される。金指支局長は、「毎週行われているデモも、当初に比べて参加者が2倍になっていて、どんどん反対する人の声は大きくなっている印象はある。パスを持っている人と持っていない人で明らかに差ができてしまっているので、『それは差別だ』と訴える気持ちもわかる」とした。【8月11日 ABEMA TIMES】
8月30日からは従業員側のパスの提示の義務化、9月30日以降は提示義務化の対象が12歳以上に拡大される。金指支局長は、「毎週行われているデモも、当初に比べて参加者が2倍になっていて、どんどん反対する人の声は大きくなっている印象はある。パスを持っている人と持っていない人で明らかに差ができてしまっているので、『それは差別だ』と訴える気持ちもわかる」とした。【8月11日 ABEMA TIMES】
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マクロン大統領は「私たちは社会生活において、ともに協力し、頼りながら生活しています。自由というのは、一人だけのものではなく、みんなが持っているものです。他人を思いやり、他人の自由も尊重した上で、個人の自由が成り立ちます。ワクチン接種や検査を受けること。それが、責任を伴う自由であり、国民としての自由であるのです」【8月16日 FNNプライムオンライン】と。
もっとも、イスラム風刺画に対するイスラム諸国の反発に、マクロン大統領は「冒涜する自由」を主張していましたが、そのあたりと整合性がとれるのか?
アメリカ・ニューヨークでも。
****罰金10万円以上 ワクチン接種証明義務化 ニューヨーク屋内施設で****
アメリカ・ニューヨーク市では、新型コロナウイルスワクチンの接種証明の提示義務化に向け、初回の罰金は日本円でおよそ11万円以上であることなどが明らかにされた。
ニューヨークのデブラシオ市長は16日、飲食店やジムなどの屋内施設を利用する際、接種証明の提示を義務づける命令に署名した。
完全に施行される9月13日以降は、初回の違反で1千ドル、日本円でおよそ11万円の罰金が科され、違反回数が増えるごとに金額が上がる。
マンハッタンではレストランが対応を始めていた。
店のオーナー「これまで市や州から多くのガイドラインが出され、全て従ってきたし、今回もそうする。個人的には義務化はよくないと思う」
ワクチン未接種の客「僕みたいに時間がなくてワクチン未接種の人は、時間をつくって受けにいこうという後押しになるかな」
変異ウイルスが猛威を振るう中、ニューヨーク市は「接種がカギ」だと強調している。【8月17日 FNNプライムオンライン】
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