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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  立候補届け出締め切る 周到に準備進める軍政側

2010-08-30 22:58:51 | 国際情勢

(今年5月にスリランカ・コロンボで行われたミャンマー軍政批判のデモ こうした海外での活動は各地で行われていますが、肝心の国内での活動は軍政によって厳しく制約されています。海外の抗議行動などは軍政にとっては痛くもかゆくもないものでしょう。何らかの影響力を持つためには、やはりどんな議会であっても、そこに一定の勢力を持つ必要があるように思えるのですが。“flickr”より By Burma Partnership
http://www.flickr.com/photos/burmapartnership/4643857883/)

【軍政批判禁止】
ミャンマーで行われる11月総選挙は、予想されたこととはいえ、民主化勢力には厳しい展開になりそうです。
****ビルマ 正当性のかけらもない 11月総選挙の茶番****
ビルマ(ミャンマー)の総選挙11月7日に実施されることが決まった。90年に行われた前回の総選挙で敗北を喫した軍事政権は、そこで学んだ教訓に基づいて、今回はより効果的に「管理」するつもりのようだ。

ビルマは62年から軍紋下にある。88年に学生による民圭化運動が起きたことを受け、軍事政権は90年に政党を結成して総選挙を実施した。野党候補の脅迫・逮捕などを行ったが、結局は自宅軟禁されていたアウン・サン・スー・チー率いる国民民主連盟(NLD)が地滑り的勝利を収めた。だが軍事政権は選挙結果を無効とし、スー・
チーは今も軟禁されている。

軍事政権は08年、新憲法を強引に成立させた。新憲法には、議会の総議席の4分の1を軍部が指名するといった条項が含まれている。
一方で、野党には以前にも増して厳しい規制を課している。11月の総選挙の立候補者は、少なくとも1週間前には選挙活動を行う許可を得なければならない。スローガンを叫んだり、旗を掲げることは禁止。演説では軍事政権を批判したり、「治安に悪影響を及ぼして」はならない。
政権運営に適任なはずの公務員や僧侶は立候補できない。過去に有罪が確定した者(その多くは政治犯)は、軍事政権から特別な許可がない限り立候補できない。各政党は、政党登録に当たって少なくとも1000人分の党員名簿を提出しなければならない。
野党・連邦民主党のピョー・ミン・テイン議長は8月上旬、総選単が公平なものになり得ないとして辞任した。スー・チーのNLDは既に総選挙のボイコットを決め、解党している。

軍事政権のやり方では、総選挙を正当に見せ掛けることさえできない。それでもASEAN(東南アジア諸国連合)加盟各国や中国などにとっては、大した問題ではないだろう。彼らは民主的に選ばれてもいない軍事政権を受け入れている。だが欧米諸国は違う。今後も当分はビルマヘの制裁を解除しないはずだ。
アメリカ政府は先日、ビルマ軍事政権が犯した戦争犯罪や人道に対する罪についての国連の調査を支持する意向を表明した。調査の結果は、11月の総選挙の結果と同じくらい予想どおりのものとなるだろう。【9月1日号 Newsweek】
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【ASEAN 「歓迎する」】
内政不干渉を前提することでかろうじての一体性を保っているASEANのミャンマーに対する及び腰の対応には、私自身も不満ではありますが、「大した問題ではないだろう」とまで言われると若干弁護もしたくなります。
遠く離れた欧米と同じ域内の国では対応にも差がでることもあろうかと思われます。
ただ、ASEAN議長国ベトナムの発言などをみると、「まあ、“大した問題ではないだろう”と言われても仕方ないかな・・・」という感も。

****ASEAN:議長国ベトナム、ミャンマーの総選挙を歓迎****
東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のベトナムは17日、加盟国ミャンマーが11月7日に総選挙を実施すると発表したことについて、「歓迎する」とする声明を発表した。
声明は「自由、公正で誰もが参加する総選挙実施の重要性」を強調したものの、民主化運動指導者、アウンサンスーチーさんの軟禁解除や選挙参加には触れず、また「選挙への協力の用意」は表明したものの、7月の外相会議で提案した選挙監視団派遣については具体的に言及しなかった。【8月18日 毎日】
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大体、ベトナム自身が共産党の一党独裁国家ですから、ミャンマー軍政を批判する理由もないのでしょう。
なお、ベトナムでは、最高指導者である共産党書記長について、これまでの密室討議ではなく、党大会代議員の投票による選挙で決める方式の導入を検討しているとも伝えられています。党内の「民主化」要求の高まりを受けた動きだそうです。【7月31日 共同】
「民主化」については、そういう段階・事情の国々を含むASEANですので、ミャンマーへの対応も限界があります。

【立候補者数でも翼賛政党が圧倒】
ミャンマーでは総選挙に向けて候補者の立候補届け出が締め切られましたが、数の面だけ見ても、圧倒的に軍政を背景にした翼賛組織が優位な情勢です。

****ミャンマー:選挙立候補1000人以上か 届け出締め切り*****
ミャンマーで11月7日に実施される20年ぶりの総選挙で、選挙管理委員会は30日、各政党からの立候補者名簿の届け出を締め切った。選管は候補者の人数などを明らかにしていないが、軍事政権が選挙に向けて創設した翼賛政党「連邦団結発展党」(USDP)は、上下院と地方議会選に合わせて1000人以上の立候補を届け出たとみられる。
 一方、前回90年の選挙で圧勝した民主化運動指導者、アウンサンスーチーさん率いる「国民民主連盟」(NLD)から分派して選挙に参加する「国民民主勢力」(NDF)は約140人、別の野党勢力「民主党」は約60人にとどまったとみられる。選管は今後、届け出書類を審査して候補者を確定する。【8月30日 毎日】
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“選管は今後、届け出書類を審査して候補者を確定する”ということなので、民主化勢力は今後さらに排除される可能性もあるのでは?

軍政側は、軍幹部を翼賛政党「連邦団結発展党」(USDP)から立候補させ、軍人枠以外の残り4分の3の議席においても、これを支配する目論見です。
****ミャンマー軍政、最高幹部ら退役 総選挙出馬に向け準備*****
ミャンマー(ビルマ)の情報筋によると、軍事政権序列3位のトゥラ・シュエ・マン大将と5位のティン・アウン・ミン・ウー大将が27日、軍を退役した。今年4月に4位のテイン・セイン首相が退役したのに続く軍人事で、選挙への立候補などに向けた動きとみられる。
これで軍政のほとんどの最高幹部が軍を離れたことになる。11月7日の総選挙に向けて、軍の政治活動が本格化してきた。
これまで退役した軍幹部らの多くが、テイン・セイン首相が党首を務める軍政直系の政党「連邦団結発展党」(USDP)に関与することは確実。首相は近く内閣総辞職して選挙管理内閣を発足させ、選挙に専念するとされており、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんら影響力のある民主化勢力不在の総選挙で確実に勝てるように態勢固めに出た形だ。【8月28日 朝日】
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【スー・チーさん 「NLD支持者は他党に投票しなくてもいい」】
こうした実質的に軍政正当化につながる総選挙を否定したアウン・サン・スー・チーさんは、NLDから分派して選挙に参加する「国民民主勢力」(NDF)を含め、民主化勢力を支援しない方針のようです。

****ミャンマー総選挙 民主化勢力、苦境に スー・チー氏、支持消極的*****
11月7日に行われるミャンマー総選挙の立候補者名簿の提出が30日に締め切られる。議席を独占する狙いで軍政幹部がそろって軍を離れ、軍の影響力を残したまま「民政」への移行を進めるのに対し、民主化を掲げる野党各党は候補者や資金集めが難航。民主化勢力内での足並みの乱れも表面化しており、議席獲得は厳しい状況だ。軍政与党の圧勝が確実視される。

ミャンマー軍政筋は29日、軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長が軍最高司令官の地位を降り、後任にトゥラ・ミン・アウン軍務局長が就いたことを明らかにした。ただ、タン・シュエ氏はSPDC議長にとどまり同国トップの地位は変わらない。選挙後には、新設される国防安全保障評議会(NDSC)の議長に就任し、軍、政府をすべて統括するとみられる。
すでにテイン・セイン首相以下、閣僚はすべて軍籍を離れ、文民となって選挙への出馬を決めている。これは、新憲法では議席の25%を軍人に割り当てているが、元軍人は含まれないため、軍人と、文民となった元軍人とで議席を独占することが狙いだ。

一方、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんは、解党した国民民主連盟(NLD)以外の政党支持に消極的とされ、NLDに代わる新党の国民民主勢力(NDF)をはじめ、反軍政を掲げる各党は苦戦を強いられている。
今回の選挙は下院・人民議会330、上院・国民議会168、地方議会689の計1187議席を争うが、投票日の発表から届け出まで半月足らずだったこともあり、候補者探しは難航。NDFの立候補予定者は国会、地方議会を含め約100人だけだ。平均年収に匹敵する1人500米ドル(約4万3千円)の供託金集めも容易ではない。
NDFは選挙が迫れば、スー・チーさんから支持を得られるものと予想し、金銭面でもNLD支持者からの支援を期待していた。しかし、スー・チーさんの側近のニャン・ウイン氏は25日、自宅軟禁中のスー・チーさんが「NLD支持者は他党に投票しなくてもいい」と発言したと述べた。
今回登録した42政党のうち民主派勢力はNDFのほかミャンマー民主党(DP)や連邦民主党(UDP)などにすぎない。各党は候補者が競合しないよう選挙協力を進める考えだが、民主化勢力は厳しい状況におかれている。【8月30日 産経】
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軍政を実質的に維持するための「茶番」と言ってしまえばそうなのですが、ただ、今後ミャンマーの政治に関与していくためには、この枠組みのなかで一定の勢力を持つしかありません。
解党を選択し、政党としての活動もできなくなったNLD、およびスー・チーさんに、どのような展望があるのでしょうか。

議会で民主化勢力が一定の勢力を得ることができれば、次の展開もありうるのでは・・・と思っていたのですが、軍政側の徹底した選挙準備、厳しい選挙参加・活動の制約、スー・チーさんの非協力などで、軍政側の圧勝に終わりそうな気配です。

コメント
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