goo blog サービス終了のお知らせ 

孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア  記録的猛暑で穀物輸出禁止、国内核施設に森林火災が迫る

2010-08-06 22:59:06 | 災害

(周辺の森林火災や泥炭層火災によるスモッグに煙るモスクワ・赤の広場 “flickr”より By mitbbs2008 http://www.flickr.com/photos/29117764@N08/4835567073/)

【モスクワ38.2度】
日本では猛暑が続いており、今日6日は北海道でもオホーツク海側を中心各地で猛暑日となり、北見市は観測史上最も高い37.1℃、また、女満別でも36.4℃を観測しています。
ただ、もっと過酷な猛暑に襲われているのがロシアで、首都モスクワでは、7月26日には130年前の観測開始以来最高の37.2度を記録しましたが、29日は38.2度とさっさり記録更新。
今日も、MSNのお天気サイトによれば、16時現在のモスクワの気温は38度となっています。また、今後も連日37度が予想されています。

猛暑はロシア全土で続いており、干ばつや森林火災などの被害が広がっています。モスクワ郊外では猛暑による森林火災や泥炭層の火災が続き、モスクワ市内は白いスモッグで覆われています。
この暑さによる死者も急増しているようです。

****モスクワの7月死者数50%増、記録的熱波で*****
数十年ぶりの記録的な熱波に襲われているロシア・モスクワで、7月の死者数が前年同月比で50%の急増となった。モスクワ市当局高官がAFPに6日語った。
モスクワ市当局のYevgenia Smirnova氏によると、7月のモスクワの死者数は1万4340人で、前年同月より4824人増えた。6月まではあまり変化がなかったが、死者数の増加は7月になって始まったという。同氏は、「間違いなく熱波の影響だ」と語った。
これまでにも7月に入ってモスクワの死者数が大幅に増加したとの報告があったが、当局者が否定を続けていた。【8月6日 AFP】
******************************

【小麦価格、2年ぶりの高値】
これだけでも相当なニュースですが、このロシアの猛暑の影響はこれだけにとどまりません。
ひとつは、大きく報じられているように、干ばつと森林火災のため、小麦などの穀物輸出を今年いっぱい禁止する措置に出たことです。
****ロシア、穀物輸出禁止へ 深刻な干ばつと森林火災で*****
世界第3位の小麦輸出国であるロシアは5日、記録的猛暑による干ばつ被害と森林火災による農地の大規模な消失を受け、今月15日から今年末までの穀物輸出禁止に踏み切った。
ウラジーミル・プーチン首相による突然の発表は、世界の穀物供給への懸念を増大させ、穀物市場における小麦価格は過去2年の最高値を更新した。
同国は、猛暑により過去最悪ともいえる森林火災に見舞われており、これまでに50人が死亡。火災は南部にまで拡大しつつあり、放射熱の影響などが懸念されている。
同国の前年の穀物生産量は9700万トンだったが、過去数十年で最悪の干ばつを受け、政府は今年の予測を7000万~7500万トンへ下方修正した。
穀物の輸出についても、前年は2140万トンだったが、専門家らは大幅に引き下げられる可能性を指摘していた。【8月6日 AFP】
*******************************

ロシア政府はまた、関税同盟を結んでいるベラルーシとカザフスタンに対し、同様の穀物の輸出禁止措置を取ることを提案しています。ただ、両国はいまのところ同調する姿勢は明示していません。
****カザフスタン、穀物輸出禁止の可能性について協議する方針*****
カザフスタン経済予算計画省は5日、税関同盟のパートナーであるロシアからの輸出制限要請について今月の会合で検討する方針を明らかにした。
記録的な干ばつに見舞われているロシアは、年末まで穀物の輸出を禁止する方針で、新貿易圏パートナーのベラルーシとカザフスタンにも同様の措置を取るよう求めることを計画している。
カザフ経済省のプレスサービスは「この問題は8月17―18日の税関同盟委員会の会合で協議される」とした。
ただ同省は、穀物の出荷を即座に禁止する計画はないとしている。
ベラルーシ政府はコメントを拒否した。
中央アジア最大の小麦生産国カザフスタンは、ロシアほど深刻な干ばつの影響を受けていない。
同国農業省は2010年の穀物収穫高が1350万トンと、過去最高だった前年の2080万トンを35%下回るものの、過去数年の平均に近い水準になると予想している。【8月6日 ロイター】
*******************************
ロシアがどういう理由で、関税同盟を結んでいる両国に輸出禁止への同調を求めるのか・・・そのあたりは理解できません。

いずれにしても、世界第3位(4位とする記事もありますが・・・)の小麦輸出国であるロシアの輸出禁止は、世界の穀物相場に強烈なインパクトを与えています。5日のシカゴ商品取引所の小麦先物相場は急騰し、2年ぶりの高値を付けました。
猛暑によるロシアの不作や輸出制限への懸念は以前からあり、すでに7月段階で、国際市場での小麦価格は2割ほど上昇していました。

****猛暑ロシア、干ばつ広がる 小麦の国際価格、20%上昇*****
猛暑が続くロシアで干ばつ広がり、全土の3割近い26の地域が非常事態を宣言、ロシア政府によると穀物の作付面積の2割が深刻な打撃を受けている。世界有数の小麦輸出国ロシアからの輸出量が減る可能性が高まり、国際市場の小麦価格はすでに上がり始めている。国内では食品価格高騰などインフレへの懸念が強まっている。 (中略)
その後も記録的な猛暑が続き、ロシア農工業連盟は、今年の小麦収穫は前年比約2割減になると予測している。保険業界は損失を10億ドル(約900億円)と見込んでいるが、その倍になるとの見方もある。ロシアの独立新聞などによると、米シカゴの穀物市場の小麦価格はここ2週間で23%上昇。ロンドン市場でも7月に入って20%上昇しているという。
ロシア国内の穀物消費量は年間7500万トンとされ、今年の生産がこの水準を割り込んだ場合、輸出を維持するには備蓄分(約2400万トン)を回すしかない。しかし、備蓄の3分の1以上は内陸部のシベリアにあり、輸送コストがかかるなど難点も多い。
小麦価格の上昇はパンの値上がりにとどまらず、穀物飼料の上昇で肉や牛乳など他の食品価格の値上がりに連鎖するため、インフレが懸念されている。今後、こうした食料価格が10~20%上昇するとの専門家の予測も出ている。
今年の記録的な猛暑に伴い、ロシアでは水死者が急増。ノーボスチ通信が緊急事態省のまとめとして報じたところでは、6、7月に全土で計約1900人が水死した。 【7月21日 朝日】
********************************

世界各地で食料品価格が上昇し、飢餓や暴動が頻発したのが08年4月でしたが、“2年ぶりの高値”ということは、その頃の水準に近づいているということでしょうか。
当時も、食料生産国が輸出禁止措置をとったことで、貧しい消費国は非常に苦しい立場に追い込まれました。
ロシアの輸出禁止措置によって2年前の混乱が繰り返されることがないように、関係国・国際機関等の慎重な対応を期待します。

【核開発閉鎖都市サロフに迫る森林火災】
ロシアの猛暑、それによる森林火災の影響のもうひとつが、ロシアの核施設への影響です。
****ロシア火災 核開発拠点に延焼懸念 「サロフ」を防衛せよ*****
ロシアで猛暑と干魃(かんばつ)を受けた森林火災が深刻さの度を増し、西部の核開発閉鎖都市サロフ(旧アルザマス16)でも4日までに火の手が上がった。同市にある核兵器開発拠点、連邦原子力センターの施設に延焼した場合には破局的な事故につながる恐れがあり、関係当局による懸命の消火作業が続いている。森林火災は各地で拡大の一途をたどっており、政権の対応を批判する声も強まってきた。
サロフ市では4日、消防車両116台と航空機6機などを投入し、2千人以上による消火活動が続いた。軍や原子力センターの職員も作業に加わっている。市当局は「火の手はいくつかに分散され、炎上面積も狭まっている」としている。
3日に現地入りした国策原子力統合企業「ロスアトム」のキリエンコ総裁は「原子力センターにはいかなる脅威もない」と強調。ただ、実際の火勢や核施設との距離、原子炉と核燃料の保護状況や延焼した場合の影響は全く不明だ。原子力分野に最も重要な情報公開の面で、この国が大きく立ち遅れている現実が改めて浮き彫りになっている。

サロフ市の人口は約9万人。外国人はおろか自国民も自由に立ち入りできない「閉鎖都市」の一つだ。ソ連時代には軍事基地や核関連施設が存在するとの理由で150ともいわれる都市や居住区が“鎖国状態”に置かれ、現在も40近くの閉鎖都市が残っている。
森林火災による死者は西部と中部を中心に48人にのぼり、3500人以上が住居を失った。20以上の地方が非常事態を宣言しており、15万人態勢の消火活動が続く。メドベージェフ大統領は3日、ウクライナとアゼルバイジャン両国が申し出た航空機提供の支援を受け入れる考えを示した。
モスクワ郊外の軍事基地では7月末、基地本部と13の格納庫などが焼けたことも明らかになっている。
4日付の独立新聞は、プーチン前政権が国の森林行政機関を解体したことが今の被害拡大につながっているとし、火の猛威を押さえ込めない政権を真っ向から批判した。モスクワ州によると、森林火災の大半はたき火やたばこの不始末など人為的要因で発生している。
ロシアの干魃を受け、小麦の国際先物価格は7月に4割も上昇。ロシアの一部地方では穀類の買い占めが始まっており、政権が食料品価格の統制に乗り出すとの観測も出ている。【8月5日 産経】
********************************

国営原子力企業「ロスアトム」のキリエンコ社長は4日、大統領が主宰した拡大安全保障会議で、連邦原子力センターから爆発性の物質や放射性物質をすべて運び出したと報告、「核の安全は確保されている」と述べたそうですが、どうでしょうか・・・。

なお、モスクワ南東部のコロムナにある海軍基地に森林火災の火が燃え移り施設や格納庫が焼失した問題をめぐって、メドベージェフ大統領は、「職責を果たさなかった」として総司令官を含む海軍高官ら数人の更迭を言い渡しています。メドベージェフ大統領は、森林火災から国民を守るよう軍に命じたにもかかわらず、「国防省は自らの施設さえも守れていない」と関係者を非難したそうです。

気になるこんなニュースも。
****ロシア火災、チェルノブイリ事故の汚染物質拡散も=非常事態相*****
ロシアのショイグ非常事態相は5日、同国西部で被害が広がっている森林火災を封じ込めなければ、1986年にチェルノブイリ(現ウクライナ)で起きた原発事故により放射能に汚染されたブリャンスク地域で、放射性物質の拡散が懸念されると述べた。
ショイグ非常事態相は、国営テレビに対し「火災によって放射性物質が(大気中に)舞い上がり、汚染地域が広がる恐れがある」と説明。ただ、それ以上の詳細には言及しなかった。
また同相は、これまでにブリャンスク地域の2カ所で火災が発生したが、すぐに鎮火したと明らかにした。(後略)【8月6日 ロイター】
***************************

穀物価格上昇といい、核施設への森林火災の影響といい、単なる猛暑のニュースではすまない、深刻な問題です。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする