孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

総選挙後の新政権樹立に難航 イラク、ベルギー・オランダ、そしてオーストラリア

2010-08-23 19:47:35 | 国際情勢

(6月24日に新首相に就任したギラード・オーストラリア首相 超短命首相の可能性も “flickr”より By MystifyMe Concert Photography™ http://www.flickr.com/photos/mystifyme07/4882403004/

【嵐のホイアン】
今、旅行でベトナム中部のホイアンにいます。
今日は朝から雨が降り出しそうな天気。「晴れて暑いよりは歩きやすくていいか・・・」と思っていたのですが、昼前あたりから土砂降りに。さすがに観光どころではなくなってホテルに戻り、何気に言葉のわからないTVをながめていると、台風の進路予想図が。ネットで気象庁の台風情報をみると、なんとホイアンのすぐ近くに台風5号が接近中です。

激しい雨で道路は川のようになっており、たて付けの悪い安宿の窓の上からはポタポタと雨しずくが。窓の近くは水浸し状態。ホテルからは部屋替えの提案もありましたが、広くて眺めがいい今の部屋のままで今晩の台風通過を乗り切ることにしました。カーテンをはずし、モップを借りました。弱い台風のようですが、どうなることやら・・・。
外にも出かけられない状態なので、ブログ更新で時間をすごすことに。
今日は旧暦14日の満月で、本来ならホイアンの旧市街はランタンの明かりで彩られるはずだったのですが・・・。

【イラク、これから協議 首相は?】
緩和休題。
治安悪化も懸念されるなか、3月の総選挙から5カ月以上経過しながら新政権ができないイラクの連立協議に関するニュースが目に入ったので、「やっと新政権ができるのか・・・」と一瞬錯覚したのですが、これから協議にはいる
ことに同意したというもので、相変わらず見通しがたたない状況には変わりないようです。

****イラク:アラウィ元首相 連立協議再開に同意*****
ロイター通信によると、イラクのアラウィ元首相は16日に中断したマリキ首相の政治会派「法治国家連合(SLC)」との連立協議再開に同意した。アラウィ氏の会派「イラク国民運動(イラキヤ)」の幹部が20日明らかにした。しかし、交渉の行方は不透明なままで、3月の総選挙から5カ月以上経過しながら新政権発足の見通しは立っていない。
両会派の幹部によると、SLCは19日に連立内閣と政治行政改革に対する新提案を行っており、これを受けてアラウィ氏が再開を決断した模様だ。
イラキヤは、マリキ首相のテレビインタビューでの発言を「宗派間対立をあおるもの」と批判し連立交渉を中断している。
交渉の最大の焦点は首相人事。続投を狙うマリキ首相と、総選挙で第1党となったイラキヤを率いるアラウィ氏の間で、どちらが首班になるかの調整が難航しているとみられる。

イラクでは最近、政治的空白をついて治安の不安定化を狙ったとみられるテロや攻撃が続いている。17日には新兵募集施設の自爆テロで60人以上が死亡。同事件では国際テロ組織アルカイダ系の団体「イラク・イスラム国(ISI)」が過激派系ウェブサイトで20日、犯行声明を出した。【8月21日 毎日】
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まあ、新政権樹立に向けて一歩前進ではありますが、“交渉の最大の焦点は首相人事”ということですから、当分はまとまりそうにないとも思えます。
政治空白の生む社会不安・治安悪化を考えると、1日も早い政治安定が望まれるのですが・・・。

【過激政党躍進で組閣難航】
選挙後の新政権成立が難航しているのはイラクだけではありません。
****ベルギー・オランダ:「内閣不在」2カ月 連立協議長引き*****
欧州連合(EU、加盟27カ国)の古参、ベルギーとオランダで6月の総選挙以来、新政権発足に向けた連立協議が長引き、事実上の「内閣不在状態」が2カ月以上続いている。北部オランダ語圏と南部フランス語圏が対立するベルギーでは国家予算の分配を巡り南北間の調整が難航中だ。オランダでは中道右派の連立政権発足に向け、極右政党の閣外協力の是非が焦点に浮上している。

ベルギーで連立協議をけん引しているのは総選挙で勝利したフランス語圏社会党のディ・ルポ党首(59)。オランダ語圏の分離・独立を掲げる民族主義派政党・新フラームス同盟が躍進した総選挙結果を踏まえ、各党党首との協議で両言語圏の権限を大幅に強化する構想を提示した。
構想によれば、福祉、税制、司法などの政策権限が連邦政府から両言語圏に移譲され、国家予算の言語圏政府への割り当ては現在の39%から49%に拡大する。これに対し、新フラームス同盟のデ・ウェーフェル党首(39)らオランダ語系政党は(1)社会保障費負担などを通じてオランダ語圏からフランス語圏への「持ち出し」となっている財政不均衡の是正(2)首都ブリュッセルに対するオランダ語圏の影響力強化--を求め、フランス語系政党の反発を招いている。

一方、オランダでは自由民主党、キリスト教民主勢力の中道右派2党と極右政党・自由党の3党首が7月末、「中道右派2党の少数連立政権を作り、自由党が閣外協力で政権を支える」方針で合意、連立協議を開始した。首相候補は、財政再建策の一環としてEUへの拠出金半減を公約に掲げた自由民主党のルッテ党首(43)。
 オランダで少数内閣ができれば第二次大戦後初めて。しかし、21日付オランダ紙トラウによると、イスラム系移民の排斥を主張する自由党の閣外協力にキリスト教民主勢力の2議員が反対しており、連立政権の発足に黄信号がともる可能性があるという。

両国では今回に限らず、近年、総選挙後の連立協議の長期化が恒例となっている。背景には「EUの強大化に伴い、加盟国中央政府の役割が相対的に低下している」(外交筋)事情がある。このため、ベルギーでは南北両言語圏の発言力が強まり、オランダではEUから距離を置こうとする政治的な動きが広がっている。【8月23日 毎日】
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ベルギーのオランダ語圏の分離・独立を掲げる民族主義派政党・新フラームス同盟にしても、オランダの極右政党・自由党にしても、民意を反映しての躍進とは言え、かなり過激な主張をベースにしているため他の政党が連立を組みにくいという事情があって、連立協議が難しくなっています。
そういう従来は“過激”と見られていた意見が、国民の間で一定に支持を広げつつあるという点に注目すべきなのかも。

【「ハング・パーラメント」】
ベルギーのような、もともと連立を前提にした国だけでなく、イギリスのような二大政党制で選挙の勝ち負けが新政権にストレートに反映するはずの国でも、このところ「ハング・パーラメント」(中ぶらりん議会)といった事態が出現しています。
イギリスに続いてオーストラリアの総選挙も微妙な結果となったようです。

****オーストラリア:与野党が多数派工作 総選挙過半数割れ*****
21日投開票されたオーストラリア下院(定数150)の総選挙は、ギラード首相(48)の与党・労働党とアボット自由党党首(52)率いる野党・保守連合(自由党、国民党)のいずれも過半数割れが確実となり、両陣営は22日、政権獲得に向け多数派工作を始めた。

選挙管理委員会によると、開票率78.13%の時点で、党派別の獲得議席は労働党70、保守連合72、緑の党1、無所属2。全議席の確定には、郵便投票の集計などを待つ必要があり、さらに数日かかる見通し。豪公共放送ABC(電子版)は、最終的な獲得議席数を労働党72、保守連合73、緑の党1、無所属4と予想している。
単独過半数に届かない2大政党陣営にとって、政権獲得を目指すには緑の党や無所属議員の取り込みがカギとなる。ギラード首相は選挙から一夜明けた22日、これらの議員との間で政策協議を始めたことを明らかにし、「誠意を持って話し合い、効果的な合意による政権を作りたい」と首相続投に意欲を見せた。アボット党首も同日、無所属議員らとの接触を認め、「過半数に届かない労働党政権は慢性的に分裂し、機能不全になる」と政権交代を訴えた。
左派の緑の党から当選したバント氏は同日、「労働党に傾いている」とコメント。一方、当選が確実な無所属4人のうち3人は元国民党の保守系議員で、保守連合が協力の取り付けに成功すれば3年ぶりの政権奪取に道が開ける。ただ、交渉の結果次第では、2大政党いずれかによる議会少数政権となる可能性も残されている。【8月22日 毎日】
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なお、緑の党は今回、補選以外で初めて下院で1議席を獲得しましたが、同時に実施された上院選(定数76、改選議席40)でも6議席を獲得して躍進、非改選分と合わせて現有5議席から9議席となる見通しです。
緑の党は強力な気候変動対策を主張しており、労働党の環境政策に不満を持つ支持層の票を大量に獲得したとみられており、予算や法案の否決権を持つ上院で同党がキャスチングボートを握る可能性が高まっていると報じられています。【8月22日 読売より】

各国それぞれに事情があっての状況ですが、民主主義は何かと手間隙のかかるものです。

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