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「集団的自衛権と安全保障」その3

2017-03-08 | 気になる本

 自民党の新憲法草案は「国防軍」としている。草案は「自衛戦争のための自衛隊」を否定するもの。「開戦規定」はないが、「日米同盟」に基づく有事法制で事実上の「戦争状態」を可能にする。周辺事態法によりアメリカが開戦宣言しない海外の戦争で、下請けで日本の自衛隊は後方支援に出動する。「審判所」とは何か?「軍法会議」である。「国家安全保障会議」が2013年に発足し、戦略が閣議決定された。そこには「積極的平和主義」が10回ほど使われている。これはノルウェイの世界的平和学者ヨハン・ガルトウングの非暴力を含む平和概念とは違う。軍事力を強化して抑止力を強化するという平和とは非なるものである。

 日本では、米国との関係で湾岸戦争に際し、「国際貢献」の考えがするどく問われ、平和主義は「一国平和主義」と揶揄された。92年にPK0法が通過し、改定により現在に至る。2000年アーミテージ報告は「日本の米国への軍事協力化」で、日米防衛協力指針の改定、周辺事態法の制定、武力攻撃事態法、特定秘密保護法の制定であった。

「憲法も安保も」どちらも手放し難く、今の快適な生活を今後も維持したいという「生活保守主義」であった。いまや憲法9条も安保5条、6条も変わったが、「解釈改憲」どころか「安保の解釈改定」でもある。

 第Ⅲ部 日本の果たすべき国際的役割

「積極的平和主義」は「積極的軍事主義」であり、象徴が武器輸出三原則の撤廃である。「武器を輸出して平和を推進しよう」である。湾岸戦争とは何か、イランに侵攻した侵略戦争であり、独裁者フセインが率いるイラクに対し、「兵器輸出諸大国」が膨大な可燃物資を売りさばいた。モンスターと化したフセインが大火事をおこすと、自らの責任は棚上げして、消化に務めるのは国際社会の責務だという。

「果てなき軍拡」は、アジア無人機戦争の時代に突入した。米国の軍事戦略が宇宙にはりめぐらされた軍事衛星網によって成り立っている以上、中国はすでに2007年には地上発射の衛星攻撃ミサイルの実験を成功させた。深刻な問題は無人機の開発である。同じく懸念されるのは、ロボット兵器の開発である。(学術会議は軍事研究に待ったをかけたが、政府の研究費削減の兵糧攻めに負けないだろうか)

 国を開くためには、「積極的平和主義」など無内容なご宣託を並べるのではなく、日本国憲法前文の「平和のうちに生存する権利」の削除をやめ、東アジアの不戦条約に連なるような平和条項を盛り込む必要がある。いまやグローバリゼーションが進行する中で、「住民自治」が、しかも深刻さを増す中で問われている。

 武力攻撃事態法を読む限り、日本が武力攻撃を受けることが前提になっているが、日本はそもそも80年前に外国を侵略した経験はあるが、外国が日本を侵略したことは、「元寇」が侵略してきた以降、7百数十年間は侵略を受けていない。

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