山家悠紀夫(Yanbe.2008年2月)『日本経済見捨てられる私たち』青灯社
この本は世界経済の危機が表面化する前に書かれたもので、暮らしが良くならない理屈がわかりやすく展開されています。序章で日本経済が激変したのは、1998年からだとしています。それは自殺が毎年3万人を超えたこと、賃金が上昇しなかったことを例にしています。この変化はグローバル化なのか構造変化なのか、さらに「小さな政府」の3つの誤解があるとしています。
第2話、グローバル化とは何か。一昔前の国際化との違いは何かで、①水準の違い、②範囲の違い、③質の違いをあげています。そして、国家の力が相対的に弱くなったことが特徴で、それによって利益格差も生じています。第4話、グローバル化で国際競争力が必要か?企業は「国際競争力という呪文」で、賃金を抑え税金をまけてもらいました。著者は一番重要な要素は商品の質と円相場だとしています。第6話、ドル暴落(円高)はありうる。さすが元銀行マンです。みごと予測があたりました。円安調整のために0金利政策で、輸出企業の利益を援護したという節も見られます。トービン教授の取引税の提案も紹介しています。しかし、円キャリーで設けていたウォール街やヘッジファンドの意向で、アメリカ政府は賛成をしませんでした。ルールなき資本主義の強欲さが失敗の根本かもしれません。未だにそのルールは確立せず、借金大国の米、日は財政出動で「景気対策」を進めようとしています。7話ではアジアの通貨危機を説明しています。
第8話からは構造改革の評価で、「企業が儲かるような経済構造へ」と改革し、企業が儲かれば日本経済も活力を取り戻し、景気もよくなる主張であったとし、規制緩和の経過を説明しています。全くそうでなかったことが今日明確になっています。しかし、麻生内閣はその反省もなく、補正予算では大企業・大銀行にテコ入れです。9話では、構造改革はアメリカからの要望で、「年次改革要望書」を例にあげています。11話では、「構造改革」の恩恵で企業は儲かるようになった、シワは人々の暮らしに寄せられたとして、国民の可処分所得の悪化、非正規の増大をあげています。終章で、今後の日本の在り方として、労働環境を整える、社会保障制度の再構築を提案しています。至極当然のことで、今度の総選で政党がマニュフェストにどう盛り込むか、また、国民の正しい選択が望まれます。
この本は世界経済の危機が表面化する前に書かれたもので、暮らしが良くならない理屈がわかりやすく展開されています。序章で日本経済が激変したのは、1998年からだとしています。それは自殺が毎年3万人を超えたこと、賃金が上昇しなかったことを例にしています。この変化はグローバル化なのか構造変化なのか、さらに「小さな政府」の3つの誤解があるとしています。
第2話、グローバル化とは何か。一昔前の国際化との違いは何かで、①水準の違い、②範囲の違い、③質の違いをあげています。そして、国家の力が相対的に弱くなったことが特徴で、それによって利益格差も生じています。第4話、グローバル化で国際競争力が必要か?企業は「国際競争力という呪文」で、賃金を抑え税金をまけてもらいました。著者は一番重要な要素は商品の質と円相場だとしています。第6話、ドル暴落(円高)はありうる。さすが元銀行マンです。みごと予測があたりました。円安調整のために0金利政策で、輸出企業の利益を援護したという節も見られます。トービン教授の取引税の提案も紹介しています。しかし、円キャリーで設けていたウォール街やヘッジファンドの意向で、アメリカ政府は賛成をしませんでした。ルールなき資本主義の強欲さが失敗の根本かもしれません。未だにそのルールは確立せず、借金大国の米、日は財政出動で「景気対策」を進めようとしています。7話ではアジアの通貨危機を説明しています。
第8話からは構造改革の評価で、「企業が儲かるような経済構造へ」と改革し、企業が儲かれば日本経済も活力を取り戻し、景気もよくなる主張であったとし、規制緩和の経過を説明しています。全くそうでなかったことが今日明確になっています。しかし、麻生内閣はその反省もなく、補正予算では大企業・大銀行にテコ入れです。9話では、構造改革はアメリカからの要望で、「年次改革要望書」を例にあげています。11話では、「構造改革」の恩恵で企業は儲かるようになった、シワは人々の暮らしに寄せられたとして、国民の可処分所得の悪化、非正規の増大をあげています。終章で、今後の日本の在り方として、労働環境を整える、社会保障制度の再構築を提案しています。至極当然のことで、今度の総選で政党がマニュフェストにどう盛り込むか、また、国民の正しい選択が望まれます。