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新・日米安保論

2020-01-09 | 気になる本

「柳澤、伊勢崎、加藤(2017)『新・日米安保論』集英社新書

 特に柳澤協二の著書に興味を持って、この本も読んだ。彼は防衛官僚の経験もあり、現実的で理論的な論理展開をしている。個人的には、積極的平和主義や抑止論、憲法9条、憲法と安保、侵略戦争の歴史、核戦争などに関心がある。これまでに、都留重人、森英樹、白石聡などの本を読んできた。安倍政権になって、秘密保護法、共謀罪、そして安保法制と憲法に逆らっている。この本は冷戦後の情勢変化を、トランプの戦略、中国の派遣、北朝鮮、日米地位協定、日本の国家像と展開している。特に関心を引いたのは、「同盟というジレンマ-結びにかえて」で、以下要約メモである。( )書きは、私のコメント。

 安倍首相は2017年予算委員会で、北朝鮮のミサイル発射の際、アメリカが報復してくれる。強固な日米関係が必要、と述べている。日本のミサイル防衛システムはアメリカ製でできている。撃ち漏らした場合、アメリカが反撃してくれることを、期待して信じている。が、回避はできない。何発かは落ちても国は滅びないから、耐えましょう。北朝鮮は体制の崩壊につながるアメリカの報復を招く攻撃はしないだろう、という思い込みだけである(イラクでは一方的に米軍に攻められたことから、核武装化に北朝鮮は進んだ)。報復の抑止は100%保証できない。アメリカが必ず報復することも確実ではない。北朝鮮はアメリカの都市に届く核ミサイルを開発中である。アベ首相は、防衛費増大の努力と安保法制による作戦面での対米協力によって、アメリカの日本防衛の遺志を確認しようとしている。アメリカにとって一番気を使うのは、勧告と日本にいる米国人の避難である。(「横田空域」と首都での米軍基地の意味から理解できる。)

 北朝鮮が最も怖いのはアメリカの核、2番目はグアムや日本にある米軍基地からの爆撃機の出撃である。北朝鮮は日本の米軍基地を標的にしている公表している。日米防衛協力指針では、実践的な訓練で相手に報復を恐れさせる脅威を与える演習を行う。それは相手が脅威を感じ焦れば、「やられる前にやる」という発想で攻撃することもありうる。石油制限を受けた日本が、真珠湾攻撃で勝機を早くつかもうとした。誤算を防ぐには、攻撃しなければこちらも攻撃しない、メッセージが伝わらなければならない。抑止は挑発の意味をも持つ。

 冷戦構造が終わり、アメリカの関心事は中東と中国である。日本がアメリカに貢いでも、日本防衛の保証もなく、防衛費も国力を超え際限がなく増える。日本がアメリカに対し、望む戦争と望まない戦争を仕分ける必要がある。覇権の戦争が日本を戦場にして戦うことは避けなければならない。アメリカの先制攻撃を制約しなければならない。(イラク戦争もイランの軍幹部攻撃も理由なき先制攻撃であった。日本はトランプに何も言えないばかりか、自衛隊の派遣を決めている。トランプが戦争拡大しない声明後に、首相はこれを評価すると事後声明でしかない。)南スーダンの駆け付け警護など検証する必要がある。(情報公開も必要である。イラク戦争支持も検証すべきである)。

コメント
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